物流・輸送の専門紙、輸送新聞はこれからも輸送産業の発展に貢献してまいります。

文字サイズ

2020年2月24日付 2783号

トラックの標準的運賃、間もなく運審に諮問 早期の告示目指す  国交省一見自動車局長

会見する一見局長

 国土交通省の一見勝之自動車局長は19日の定例会見で、年度内の告示を目指して調整を進めてきたトラックの標準的運賃について、同日までに告示の前段階となる運輸審議会への諮問に至っていないことを明らかにするとともに、「年度内告示の看板はまだ下ろしていない」と述べ、できるだけ早期の告示実現に向け、引き続き注力する姿勢を強調した。

 一見局長は標準的運賃について、「現在、告示に向けた作業を進めている最中で、なるべく早く運輸審議会に諮問したい」と、19日現在で諮問に至っていないことを報告。諮問から答申まで2ヵ月程度かかることに加え、公聴会が開かれる公算が高いことから年度内の告示は物理的に困難であるとみられるが、一見局長は「看板は下ろしていない。今は胸突き八丁」とし、調整が済み次第、速やかに諮問する考えを示した。

 1月にパブリックコメントの募集を行った異常気象時の輸送に関する措置の目安については、台風などによるトラックの横転事故が2018年度に78件発生していることなどを踏まえ、通達を発出して荷主企業・団体に周知するとともに、輸送の強要が確認された場合には、関係省庁と改善に向けた働き掛けなどを行う方針を示した。

スマート物流実現へ5G活用の実証実験、積載状況を可視化  日通

5Gの基地局

 日本通運(齋藤充社長)は19日、5G(第5世代移動通信システム)を活用したスマート物流の実現に向けた実証実験を実施したと発表した。

 Wireless City Planning(WCP)、シャープ、ソフトバンクと協力し、総務省の5GIoT機器向けのLTE規格Cat. M1(カテゴリーエムワン)などを活用して、物流の効率化によるスマート物流の実現に向け、日通の江古田流通センター(東京都練馬区)と奈良ロジスティクスセンター(奈良県大和郡山市、シャープの奈良事業所周辺)で、1月下旬から2月下旬まで実施した。

 江古田流通センターでは、トラックの荷室の空き状態を可視化し遠隔地にいる管理者に伝送する実験を実施。5Gの大容量通信とMEC(端末から近い位置にデータ処理機能を配備することで通信の最適化や高速化をすることができる技術)サーバーを活用することで、荷室の点群データのリアルタイムな伝送・解析が可能となり、管理者画面で積載状況を可視化した。また、高頻度でデータを伝送するセンサーを荷物に取り付けて、センサーの加速度データ・位置情報データをもとに、荷物が荷室へ積み込まれたかどうかを判定する検証を行い、今後、積載率の低いトラックを可視化して空いているスペースの有効活用の検討が可能になることや、ドライバーによる積載状況の確認作業を省力化することが期待される。

 奈良ロジスティクスセンターでは、荷物の温度を確認するため、Cat. M1を採用した温度センサーを荷物に取り付けてトラックに積み込み、走行試験を実施。遠隔地にいる管理者の画面で、走行中もリアルタイムに荷物の温度を確認できた。また、重量センサーを荷室に設置してトラックドライバーと遠隔地の管理者が、シャープ開発のアプリケーションから荷室の総重量や偏荷重を確認できることを検証した。これまではドライバーの経験に基づいて積載していたが、偏荷重が発生するとアプリケーションの表示が変わるため、このアプケーションを確認しながら荷室の重量が均一になるように積載することが可能になる。今後、冷蔵品や常温品、割れやすい品など、さまざまな荷物の状況に迅速に対応できる物流の実現が期待される。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(141) 『景気は10月よりさらに悪化(その1)』
    ☆四文字『限界が見える「輸送構造」』
    ☆トラック運送業における働き方改革のヒント(4)

  • ☆ヤマト運輸がEVウォークスルー導入、モニター走行開始
    ☆SBSHDが読売新聞社と共同して宅配サービス開始、7月に23区へ拡大
    ☆運輸労連難波委員長が春闘情勢など語る、個人消費の落ち込み回避へ企業側に注文示す
    ☆内閣府が第2回オープンイノベーション大賞決定、国土交通大臣賞に佐川急便などにより軽貨物でモノのMaaS実現例
    ☆全ト協が19年10~12月景況感公表、判断指標25ポイント悪化
    ☆日通が中国~欧州間クロスボーダー鉄道輸送を利用した中国太倉経由の欧州発日本向け複合輸送サービスを新発売
    ☆千葉ト協が交通事故・労災防止大会開催、安全最優先の信念もって事故・災害防止を
    ☆社整審・交政審環境部会、地球温暖化対策計画に位置付けられる国土交通省関連施策の見直しの検討作業開始、新たにドローン物流など提案
    ☆西濃運輸・セイノー引越が「エコな引越+エコ・ループ」提供開始、不用品をリユース
    ☆日通が異業種連携の働き方改革コミュニティ「MINDS」に参画
    ☆三八五労組が年次大会で春闘方針など決定、組合員の期待に応えるためぎりぎりの交渉へ
    ☆押入れ産業の黒川社長が会見、経営方針に「新たな成長分野への進出」を掲げる
    ☆日通が4月1日付役員人事決定、堀切専務が副社長に
    ☆日通がBCP対応の輸入貨物配達ソリューション新商品発売、東京港の混雑を回避
    ☆日通が海外会社の第3四半期業績発表、戦力確保やマスク調達など中国での再開に尽力
    ☆SBSロジコム、横浜市金沢区に開発の3PLセンター起工
    ☆物流連が業界研究セミナー大阪開催、学生273人が参加
    ☆改善基準告示見直しのトラック検討会が会合、運転者の労働時間等の実態調査を審議
    ☆埼玉ト協が埼玉DMATへ車両2台寄贈、11年から本年までに計23台
    ☆三菱倉庫が南本牧配送センターを竣工、災害に強いエコ倉庫

今週のユソー編集室

  • ▼先月はSGホールディングスのXフロンティアが竣工し、今週はJR貨物の東京レールゲートWESTが竣工する。延べ床面積は前者が17万平方メートル、後者が7万平方メートルだ。
    ▼これらの施設の最大の特徴は、その機能もさることながら、一見して圧倒されるほど巨大であることだと思う。そしてそれこそが、普段物流になじみのない人々に対して、強烈なアピールになる。
    ▼ヤマトの羽田クロノゲートには見学者用コースがある。Xフロンティアでは地域住民との交流が検討されているとも聞く。一般人に物流をより身近に感じてもらうためにも、巨大施設の圧倒的な存在感を活用しないのは、もったいない話だと思うのだ。

戻る