インタビュー ヤマトホールディングス(株)代表取締役社長 長尾裕氏
『YAMATO NEXT 100』もう一度お客さまに、しっかり向き合う
先月に経営改革プラン『YAMATO NEXT 100』を発表したヤマトホールディングス。4年間で大胆な構造改革の実現を目指す同プランについて、プランにかける長尾裕社長の思いと今後の施策を聞いた。
――「YAMATO NEXT100」発表の会見で言及した「現在13の経営課題を抱えている」とは。
昨年の春、現職に着任し、現状把握の一環として当社が直面する課題をあらためて特定しました。
その前提として、私自身が感じていた一番大きな課題は「もう一度お客さまに向き合う体制にするためにはどうするべきか」です。
ヤマトグループが2005年に純粋持ち株会社体制になって15年が経過しましたが、振り返ると結果として良かった点、悪かった点両面があったと認識しています。
各事業会社は独立して収支をもったため、どうしても会社間に壁ができてしまい、いわゆる「サイロ化」が進んだと感じていました。さらに、それぞれの会社が管理組織を持っているため、グループ全体で見ると同じようなセクションがあちこちに存在しました。
純粋持ち株会社の本来のミッションは、成長分野を見定め適切に資金を投じる、いわゆる投資家としての役割だと思います。ヤマトグループは当初宅急便以外の事業成長を目標としていたのですが、結果として思うように実現できていません。そのため、現状のように、機能ごとに会社を設け、おのおのがお客さまに営業にうかがうのではなく、ヤマトグループ一体でお客さまに正面から向き合い、最適なソリューションを提供するために経営資源を再配置した方が良いという仮説を打ち立てました。
その仮説を実現するために課題を洗い出した結果、その数が13項目に上ったという訳です。
その中でも特に大きな課題は、デリバリー事業、つまりヤマト運輸の構造改革です。第一線のSDがお客さまに良いサービスを提供するためには、需要と業務量を正確に予測し、それに基づき最適に経営資源を配置しなければなりません。その仕組みをどうやって構築するか考えた結果、デジタルデータに基づく精度の高い需要予測が必要という結論に達しました。
実はすでに昨年の12月に、機械学習による業務量予測を実行しており、結果として従来手法と比べ、非常に高い精度を実現することができました。現在はさらなる精度向上に取り組んでいます。
資源の最適配置に関しては、今後は専門組織を設け、より広い視野をもって実行していきます。データを基に各現場の適正戦力を役職者に示し、現場で調整の必要があれば修正します。現場では予測しづらい事象が発生するため、その実態をデータに学習させることで、予測精度をさらに向上させるのです。
予測とこれに基づく計画の精度が向上すれば、労働時間の予測、またその時間でサービス品質や安全運転が担保できるかといった確実性、そして会社の収益性といったことまで、高い精度で事前に分かります。
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