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2020年2月17日付 2782号

インタビュー ヤマトホールディングス(株)代表取締役社長 長尾裕氏
『YAMATO NEXT 100』もう一度お客さまに、しっかり向き合う

 先月に経営改革プラン『YAMATO NEXT 100』を発表したヤマトホールディングス。4年間で大胆な構造改革の実現を目指す同プランについて、プランにかける長尾裕社長の思いと今後の施策を聞いた。

――「YAMATO NEXT100」発表の会見で言及した「現在13の経営課題を抱えている」とは。
 昨年の春、現職に着任し、現状把握の一環として当社が直面する課題をあらためて特定しました。

 その前提として、私自身が感じていた一番大きな課題は「もう一度お客さまに向き合う体制にするためにはどうするべきか」です。

 ヤマトグループが2005年に純粋持ち株会社体制になって15年が経過しましたが、振り返ると結果として良かった点、悪かった点両面があったと認識しています。

 各事業会社は独立して収支をもったため、どうしても会社間に壁ができてしまい、いわゆる「サイロ化」が進んだと感じていました。さらに、それぞれの会社が管理組織を持っているため、グループ全体で見ると同じようなセクションがあちこちに存在しました。

 純粋持ち株会社の本来のミッションは、成長分野を見定め適切に資金を投じる、いわゆる投資家としての役割だと思います。ヤマトグループは当初宅急便以外の事業成長を目標としていたのですが、結果として思うように実現できていません。そのため、現状のように、機能ごとに会社を設け、おのおのがお客さまに営業にうかがうのではなく、ヤマトグループ一体でお客さまに正面から向き合い、最適なソリューションを提供するために経営資源を再配置した方が良いという仮説を打ち立てました。

 その仮説を実現するために課題を洗い出した結果、その数が13項目に上ったという訳です。

 その中でも特に大きな課題は、デリバリー事業、つまりヤマト運輸の構造改革です。第一線のSDがお客さまに良いサービスを提供するためには、需要と業務量を正確に予測し、それに基づき最適に経営資源を配置しなければなりません。その仕組みをどうやって構築するか考えた結果、デジタルデータに基づく精度の高い需要予測が必要という結論に達しました。

 実はすでに昨年の12月に、機械学習による業務量予測を実行しており、結果として従来手法と比べ、非常に高い精度を実現することができました。現在はさらなる精度向上に取り組んでいます。

 資源の最適配置に関しては、今後は専門組織を設け、より広い視野をもって実行していきます。データを基に各現場の適正戦力を役職者に示し、現場で調整の必要があれば修正します。現場では予測しづらい事象が発生するため、その実態をデータに学習させることで、予測精度をさらに向上させるのです。

 予測とこれに基づく計画の精度が向上すれば、労働時間の予測、またその時間でサービス品質や安全運転が担保できるかといった確実性、そして会社の収益性といったことまで、高い精度で事前に分かります。

インタビューの続きは電子版かコンビニプリントサービスでお読みいただけます。

AI・IoT・物流機器の最先端ショールーム 6月、新砂にオープン  日通

ショールームのイメージ図

 日本通運(齋藤充社長)は12日、東京都江東区新砂2の4の10日通新砂5号3階に、最先端の物流機器を導入し、AI・IoT技術を活用したショールーム型の最先端物流施設「NEX―Auto Logistics Facility」を開設すると発表した。6月の稼働開始を予定。

 物流センター内の各作業工程を細分化し、物流現場の効率化・省人化を実現するため、先端技術を活用した複数の物流機器を導入。また、アパレル関連の商品を取り扱い、入庫から保管・ピッキング・梱包・出庫に至るまでの物流センターとして実稼働している物流機器等を見学してもらうショールーム型の施設とする。

 顧客ごとの施設、商材の特性等を踏まえ、最適な最先端の物流機器と同社の「現場力」を融合した新しいソリューション「NEX―Sustainable Logistics on New Style」としてシェアリングサービス等の実現により、ロジスティクスに関する課題解決に向けた、物流ソリューションを提供していく。

 導入予定の最先端物流機器は◎保管効率を最大限に高めたロボットストレージシステム「AutoStore」◎保管効率の向上、省人化を目的とした自動搬送ロボット「EVE」◎省人化を目的とした無人自動フォークリフト「RACK FORK AUTO」◎ロールコンビのガイドレス自動搬送装置「AGV」◎倉庫作業の省人化を目的とした追従運搬ロボット「THOUZER(サウザー)」◎画像処理技術を応用したデジタルピッキングシステム「プロジェクションピッキングシステム」◎RFIDタグを活用した検品作業の効率化「RFIDトンネルゲート」。

 物流管理システムは◎同社のグローバル標準倉庫管理システム「WMS」◎日通総合研究所の倉庫作業分析ツール「ろじたん」◎RFIDを利用したICタグによる入退室管理システム「Smart Card」。

 このほか◎プレゼンテーションエリア◎社内向けロジスティクストレーニングセンター◎最新物流機器の展示エリア―の設置を計画している。

今週掲載トピック一覧

  • ☆ウォッチ(105) 『新型肺炎が広がる中の中国物流の今』
    ☆日中ビジネスワンポイント(196) 『最近、中国で感心したこと』

  • ☆SBSHDが日本政策投資銀行とファンド設立合意、地域物流配送網維持など目的
    ☆日通がクラウドでグループの資金見える化実現
    ☆日立物流が4月1日付執行体制を発表、新執行役副社長に津田日立製作所代表執行役を内定
    ☆豊田自動織機が最新技術&導入事例発表会開催、日通が自動運転フォークリフト7台追加導入
    ☆三菱倉庫がサプライチェーンの最適化でコンサルティングサービス開始
    ☆佐川急便が北海道新幹線の貨客混載輸送で3月上旬に実証実験、新函館北斗~新青森間
    ☆千葉県改善協議会、協力会社との連絡ミス防止にIT活用等検討へ
    ☆東京納品代行が創業50周年記念式典を開催、新ユニフォーム等発表
    ☆三井不動産が千葉・船橋に『ICT LAB 2.0』開設、旧施設を大幅に拡大
    ☆センコーが尼崎PDセンターを竣工、延べ床面積4万4千平方メートル
    ☆アートがアニメーションムービーを公開、未来の引越を描く
    ☆国民生活センター、19年引越サービスの相談件数は12月末時点で前年比減少
    ☆帝国データバンクが1月調査結果公表、『運輸・倉庫』の景況感は2ヵ月連続の悪化
    ☆物流各社の第3四半期連結決算

今週のユソー編集室

  • ▼2月も中旬を迎え梅の開花が進んでいるようだが、こちらの花はいつ開くのか。
    ▼年度内の告示に向け、昨年から作業が進められてきたトラックの標準的運賃だが13日現在、未だ運輸審議会への諮問に至っていない。
    ▼平均で約2ヵ月と言われる答申までのリードタイムを考えると、年度内の告示が微妙な情勢となってきた。
    ▼一方、昨年施行された荷主対策の深度化では、国土交通省とはじめとする関係機関が荷主に関する情報を集めているが、トラック事業者からの情報提供が少なく、なかなか先に進んでいないという。
    ▼運賃も荷主との関係改善も、トラック事業者が一歩踏み出して新たな制度に魂を入れることが重要だ。

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