徹底したデジタル化等でヤマトを取り戻す 経営構造改革プラン発表 ヤマトHD
ヤマトホールディングス(長尾裕社長)は23日、2020~23年度の4年間を期間とする経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」を発表。同日記者会見した長尾社長は、プランについて「経営体制の刷新により経営と現場の距離を縮め、スピーディーに要望に応えるヤマトを取り戻す。デジタル化の徹底で勘や経験に依存した経営を改めるとともに、現場SDの余計な負担を取り除き、オープン化の推進で新たな“運ぶ”を創り出すことに挑戦する」と強調した。
プランでは①顧客、社会のニーズに正面から向き合う経営への転換②データに基づいた経営への転換③共創による物流のエコシステムを創出する経営への転換―の三つの基本戦略を掲げ、それを実現するために三つの事業構造改革(宅急便のデジタルトランスフォーメーション、ECエコシステムの確立、法人向け物流事業の強化)と、三つの基盤構造改革(グループ経営体制の刷新、データ・ドリブン経営への転換、サスティナビリティの取り組み)を実行する。
このうち、宅急便のデジタルフォーメーションでは、デジタル化による徹底したデータ分析とAIの活用、ロボティクスの導入で輸配送工程とオペレーション全体の最適化、標準化を進め、集配の生産性を向上。宅急便SDが顧客との接点により多くの時間を費やせる環境を構築し、関係を強化する。現在ベースとセンターで行っている仕分作業をベースで一括して行い、ネットワーク全体の仕分生産性を4割向上させるなど、取扱個数の増減だけに影響されない、安定的な収益構造に改める。
ECエコシステムの確立では、本年4月からEC事業者や物流事業者と協業してネットワークを整備し、宅急便より簡素で安価なサービスを希望するEC利用者のニーズに適合したオープンな新配送サービスを一部地域で開始する。統合受発注・輸配送・在庫管理・決済などを一括管理できるオープンなデジタル・プラットフォームを構築し、21年4月からの提供を目指す。
法人向け物流事業の強化では、人材や物流機能、幹線ネットワークなど法人向けの経営資源を結集し、顧客目線のアカウントマネジメントを推進。データ基盤として「Yamato Digital Platform(YDP)」を構築し、高精度でリアルタイムの情報を軸とした法人向け物流ソリューションの提案力を強化することで、サプライチェーン全体を最適化するソリューションの開発に注力する。