10年後のロジスティクス、ユートピア実現へ コンセプト’30を公表 JILS
日本ロジスティクスシステム協会(JILS、遠藤信博会長)は10日、東京都千代田区の経団連会館で新年記者発表会、新春講演会、賀詞交歓会を開き、10年後のロジスティクスのあるべき姿をまとめた「ロジスティクスコンセプト2030」を披露した。
「ロジスティクスコンセプト2030」は①ロジスティクスの再定義②サプライチェーンの再構築③標準化の猛烈な推進④適切な投資⑤データ共有型プラットフォーマー育成⑥「ユートピア」への準備―などの提言を柱に構成されており、ロジスティクスの再定義については、これまでのボトムアップ思考からトップダウンへの変革を要求。標準化については、既存の法制度や慣習に基づく規格から多業種多層連携を可能にするオープンプラットフォームの構築を目指すべきとしている。
「ユートピア」への準備については、現状の延長にある「ディストピア」からの脱却により、良好なロジスティクス環境が「どこにでもある」状況を目指して、高度人材の育成などを進める必要があるとしている。
記者発表会で遠藤会長は、これまでのロジスティクスの改善は、それぞれの現場での「地に足の着いた改革」であり、一定の成果につながったとの見解を示す一方、物流全体を見渡すとトラックの積載率は平均40%にとどまるなど、改善の余地があると指摘。今後は、全体最適の視点から、ICTやビッグデータ、AIなどを活用することで、平均積載率の60%への向上や働き方改革の実現も不可能ではないとの考えを示すとともに、データなどの標準化や高度人材の育成にも力を入れていく必要があると述べた。
渡邉健二副会長は、物流の生産性向上には、パレット化による荷役作業の負担軽減やドライバーの手待ち時間削減、共同輸送の推進などが重要であると説明。加えて、サプライチェーン全体でのデータ連携や荷姿の標準化なども不可欠であるとの考えを強調するとともに、今後は物流以外の業界からのロジスティクス分野への参入も見据えた人材育成も必要であるとした。