加速する物流の省力化
ロボット技術を活用した物流現場への省力化機器導入が加速しており、物流現場の近未来像は、ロボットと人の連携によって切り開かれようとしている。写真は佐川グロ―バルロジスティクスの蓮田ECプラネットフォームセンターに導入された自動搬送機。
ロボット技術を活用した物流現場への省力化機器導入が加速しており、物流現場の近未来像は、ロボットと人の連携によって切り開かれようとしている。写真は佐川グロ―バルロジスティクスの蓮田ECプラネットフォームセンターに導入された自動搬送機。
政府は12月20日、2020年度予算を閣議決定した。国土交通省全体の一般会計予算は、前年度並みの5兆9311億円だが、「臨時・特別の措置」を含めると6兆7363億円となり、19年度比14%の増加となった。
自動車局関連の一般会計予算額は、19年度予算比5%減の19億4400万円で、トラック事業における働き方改革の推進は39%減の9500万円(要求額は2億円)、ASV(先進安全自動車)やドライブレコーダー(ドラレコ)等の導入支援は12%減の8億7400万円、自動車運送事業者に対する監査体制の強化は1%増の5800万円、事業用自動車の重大事故に関する事故調査機能の強化は11%減の5700万円、健康起因事故防止のための運転者向けスクリーニング検査の普及促進は13%減の4000万円となっている。
トラック事業での働き方改革推進では、19年度に加工食品、住宅用資材、紙・パルプで開催してきた手待ち時間改善に向けた懇談会を、その他の品目についても開催するとともに、荷待ち・荷役・労働時間などに関する実態調査を行う。
ASV導入支援では、これまでの衝突被害軽減ブレーキ、車線逸脱防止警報装置、車両安定性制御装置、ドライバー異常時対応システム、先進ライト、側方衝突警報装置に、可変式速度超過防止装置を新たに対象に加えた上で、導入費用の2分の1を補助。デジタル式運行記録計・ドラレコについては導入費用の3分の1、過労運転防止のための先進機器の導入補助では「ITを活用した遠隔地における点呼機器」「運転者の疲労状態を測定する機器」「運転者の睡眠状態等を測定する機器」を対象に、費用の2分の1を補助する。
環境関連では、電気・ハイブリッドトラックなどに補助を行う地域交通のグリーン化に向けた次世自動車の普及促進で3%減の5億1200万円を計上しているほか、大型車の低炭素化に向けた長期的な対策の推進としてICT技術活用によるソフト対策などの調査・検討として新規に2600万円を盛り込んでいる。
自動車局関連のエネルギー対策特別会計(エネ特)では、中小トラック事業者の新型トラック導入に補助を行う低炭素ディーゼルトラック等普及加速化事業で29億6500万円、電動化トラック等導入加速事業で10億円を環境省との連携事業として盛り込んでいる。
低炭素ディーゼルトラック等普及加速化事業では、標準的燃費水準の車両との差額について、買い替えでは2分の1、新規購入では3分の1を補助。このほか、経済産業省との連携事業として、貨物輸送事業者と荷主の連携等による運輸部門省エネルギー化推進事業で62億円の内数、トラック隊列走行の社会実装に向けた実証などを行う「高度な自動走行・MaaS等の社会実装に向けた研究開発・実証事業費」で50億円の内数を計上している。
公共交通・物流政策審議官部門では、物流生産性向上の推進で19年度比35%増の5千万円、アジアを中心とした質の高い物流システムの構築・国際標準化の推進に3%減の1700万円が認められている。
このほか、エネ特による環境省との連携事業として、「自立型ゼロエネルギー倉庫モデルの導入支援」(新規)、「連結トラック・スワップボディコンテナ車両の導入支援」「過疎地等における無人航空機を活用した物流の実用化」(新規)で7億8200万円の内数、冷凍冷蔵倉庫への省エネ型自然冷媒機器の導入支援で73億円の内数が計上されている。
☆各界年頭あいさつ
☆新春特集『加速する物流の省力化』
◎安藤康行MH協会副会長インタビュー「規格の標準化目指し『ワンチーム』で」
◎注目機器紹介
※IHI物流産業システム「パレタイズ・デパレタイズシステム」
※オカムラ「ロボットストレージシステム オートストア」
※MUJIN「MUJINコントローラ」
※オークラ輸送機「トラックローダ」
☆臨海鉄道特集・京葉臨海鉄道『関連事業の強化図る、安定的収入確保に貢献』
☆赤羽国交大臣新春インタビュー、持続可能な物流実現には荷主の当事者意識が不可欠
☆日通が経営体制変更を検討、純粋持ち株会社移行も選択肢
☆労政審労働条件分科会、自動車運転者の改善基準告示見直しへ初会合開く
☆日通が荷役作業の省力化に向け搬送支援AGV「リモート積収クローラー」導入、
☆全ト協が19年度引越安心マークに33事業者125事業所を認定、合計1839事業所に
☆日通総研見通し、20年度国内貨物輸送はマイナス3.2%と予測
☆物流連が業界研究セミナー東京を開催、学生250人が参加
☆東電物流がフォークリフト競技会、優勝は群馬支社の坂井選手
☆ロボット工業会等が展示会を開催、物流の省人化技術など最新ロボットを展示