標準的運賃の告示により待遇改善を現実に、ドライバーに誇りを 全ト協坂本会長
全日本トラック協会の坂本克己会長は5日、東京都港区の第一ホテル東京で開かれた第183回理事会後に会見し、年度内に予定されている標準的運賃の大臣告示はドライバーの待遇向上に不可欠であるとの考えをあらためて強調するとともに、行政が荷主対策の深度化や規制の適正化などと組み合わせた施策の展開を行うことで取引環境の適正化が進み、昨年成立した改正貨物自動車運送事業法という「仏」に魂を入れることができるとの認識を示した。また、理事会では国土交通省自動車局の伊地知英己貨物課長が標準的運賃の「考え方」について説明し、「タリフ型・貸切・3車種区分」で調整を進めていることなどを明らかにした。
坂本会長は、標準的運賃について、国土交通省が年度内の告示に向け作業を進めていることを説明した上で、「ドライバーに暮らしの豊かさと誇りを持ってもらえる2020年度にしたい」と述べ、告示による待遇改善の実現に強い期待感を示した。
また、実効性を高めるには、行政が改正事業法に盛り込まれたほかの項目とともに効果的に施策を展開する必要があるとし、会員による荷主情報の積極的な提供が重要であると指摘。加えて、厚生労働省による指導なども効果が大きいとし、労働関係機関への情報提供も呼び掛けた。
標準的運賃の「考え方」について理事会で説明した国交省の伊地知貨物課長は、タリフ型を中心に、当面は貸切契約で設定すると説明。距離制だけでなく時間制についても想定しており、小・中・大型の3車種の区分として、トレーラーや冷凍・冷蔵などについては別途料金として請求することを念頭に置いていることなどを明らかにした。
また、車両費の償却費用については、法定耐用年数を前提とすることや、実車率50%で費用が回収可能となる設定とすることなどを解説。このほか、利潤の部分については、事業者の経常利益に反映できる設定とする方向で調整を進めていることなどを説明した。
スケジュールについては、12月中旬にも施行日を定める政令を出して、来年1月に運輸審議会に諮問を行い、年度内の告示を見込んでいるとした。