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2019年12月9日付 2774号

標準的運賃の告示により待遇改善を現実に、ドライバーに誇りを  全ト協坂本会長

会見する坂本会長

 全日本トラック協会の坂本克己会長は5日、東京都港区の第一ホテル東京で開かれた第183回理事会後に会見し、年度内に予定されている標準的運賃の大臣告示はドライバーの待遇向上に不可欠であるとの考えをあらためて強調するとともに、行政が荷主対策の深度化や規制の適正化などと組み合わせた施策の展開を行うことで取引環境の適正化が進み、昨年成立した改正貨物自動車運送事業法という「仏」に魂を入れることができるとの認識を示した。また、理事会では国土交通省自動車局の伊地知英己貨物課長が標準的運賃の「考え方」について説明し、「タリフ型・貸切・3車種区分」で調整を進めていることなどを明らかにした。

 坂本会長は、標準的運賃について、国土交通省が年度内の告示に向け作業を進めていることを説明した上で、「ドライバーに暮らしの豊かさと誇りを持ってもらえる2020年度にしたい」と述べ、告示による待遇改善の実現に強い期待感を示した。

 また、実効性を高めるには、行政が改正事業法に盛り込まれたほかの項目とともに効果的に施策を展開する必要があるとし、会員による荷主情報の積極的な提供が重要であると指摘。加えて、厚生労働省による指導なども効果が大きいとし、労働関係機関への情報提供も呼び掛けた。

 標準的運賃の「考え方」について理事会で説明した国交省の伊地知貨物課長は、タリフ型を中心に、当面は貸切契約で設定すると説明。距離制だけでなく時間制についても想定しており、小・中・大型の3車種の区分として、トレーラーや冷凍・冷蔵などについては別途料金として請求することを念頭に置いていることなどを明らかにした。

 また、車両費の償却費用については、法定耐用年数を前提とすることや、実車率50%で費用が回収可能となる設定とすることなどを解説。このほか、利潤の部分については、事業者の経常利益に反映できる設定とする方向で調整を進めていることなどを説明した。

 スケジュールについては、12月中旬にも施行日を定める政令を出して、来年1月に運輸審議会に諮問を行い、年度内の告示を見込んでいるとした。

荷主・運送関連企業など6社で高効率な幹線輸送、混載で積載率向上 東京~名古屋~大阪間で

 日野自動車(下義生社長)の子会社であるNext Logistics Japan(NLJ、梅村幸生社長)とアサヒグループホールディングス(小路明善社長)、江崎グリコ(江崎勝久社長)、千代田運輸(水野功社長)、トランコム(恒川穣社長)、ユーネットランス(今井眞一郎社長)の6社は4日、荷主企業・運送事業者・求貨求車サービス企業・車両メーカーといった物流に関わる各企業の知見や技術を結集し、深刻化する物流の課題解決に向けて新たな幹線輸送スキームを事業化すると発表した。各社はNLJへ総額約1億円を出資し、きょう9日に東京~名古屋~大阪間の幹線輸送の効率化・省人化を目指して新たな輸送スキームの運用を開始する。

 新たな輸送スキームでは、運送事業でのドライバー不足や幹線輸送での積載効率低下が進んでいることなどを踏まえ、物流への危機意識を同じくする企業が連携して、東京~名古屋~大阪間の幹線輸送で、東西2ヵ所にクロスドックを設け、荷主各社の荷物を集約。荷物と車両の情報から算出した最適パターンで混載を行い、積載効率の最大化を図る。大きさ・重量・輸送頻度といった特性の異なる荷物を混載することにより、車両の積載可能重量・容積を最大限に活用でき、需要時期の違いによる年間を通じた積載率の平準化も可能となる。

 車両は、積載効率を高めた専用開発の全長25メートル級ダブル連結トラックを用いることで、ドライバー1人で大型トラック2台分の荷物を輸送し、物流の省人化を図る。

 また、安心・安全で持続可能な輸送を実現するため、ドライバー・車両・荷物の三位一体の情報活用に向けて、日野自動車のICTサービス「HINO CONNECT」で得られるデータの活用に加え、各種センサーによる荷室内の「見える化」や、ドライバーの体調管理に寄与する睡眠改善プログラムも取り入れる。

 さらに、ドライバーの働き方改革に向けて、輸送・荷役作業の分離や長時間労働の抑制などに取り組む。

 今後、実運用を通じてノウハウを蓄積するとともに、参画企業の輪を広げて、幹線輸送スキームを進化させ、将来的には、あらゆる荷主企業・運送事業者が利用できる物流の仕組みを確立する。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(137) 『便乗値上げの実態(その2)』
    ☆物流応援歌(21)『「2020東京五輪」と物流・人流(3)=「人流」に関する懸念=』
    ☆聖火が初めてやってきた東京1964(6)『無事故で前半戦終わる 日通のオリンピック輸送輸送でも金メダルを』
    ☆ウォッチ(103) 『最近のシンガポールの国際物流の取り組みの動向』

  • ☆セイノーHD、陸上輸送とドローンのリレーによる買い物代行で実証実験
    ☆運輸労連が運輸セミナー、20春闘では産業間格差是正へ正々堂々要求を
    ☆三菱倉庫が西神配送センターの2期棟竣工、延べ床面積11万7500平方メートルの規模に
    ☆国交省が交通事故対策検討会開く、次期総合安全プランに盛り込む特定テーマに飲酒、ICT活用、高齢者の3項目を設定
    ☆日立物流、日立ライフ承継会社の全株式取得の契約締結
    ☆厚労省の過重労働相談ダイヤルへのトラックドライバーの相談事例
    ☆東ト協が都の予算ヒアリングに出席、グリーンエコプロジェクトやTDM推進を要望
    ☆国交省が労働時間改善懇談会開催、建設資材の搬出入効率化でアプリの効果検証
    ☆関交協が理事会開催、上期は減収減益も利用分量配当へ努力
    ☆ヤマト福祉財団、第20回小倉昌男賞の贈呈式
    ☆JPR・群馬大・明治大、AIでマッチングさせる業界横断型共同輸送がNEDOの助成事業に採択
    ☆アート、ミッキーマウスなどデザインしたオリジナルポケットボトルをプレゼントするキャンペーン展開
    ☆損保ジャパン日本興亜、ホワイト経営テーマとしたアドバイスセミナーを開催
    ☆全ト協・日貨協連、11月のWebKIT成約運賃指数は高水準も3ヵ月連続前年割れに
    ☆物流連、第21回物流環境大賞を募集中
    ☆SGHD、絵画コンクールの環境大臣賞を発表
    ☆キュラーズがアンケート調査、災害時の第二の保管場所にトランクルームが浸透

今週のユソー編集室

  • ▼今年の流行語大賞には、ラグビーワールドカップに出場した日本代表チームのスローガン「ONE TEAM(ワンチーム)」が選ばれた。
    ▼多国籍の選手が一つのチームにまとまり、共通の目標に向かって協力しあう姿を象徴する言葉として、大会における日本代表チームの躍進とともに、何度もメディアで好意的にとりあげられていたことは、記憶に新しい。
    ▼その言葉は、さまざまな業界がそれぞれ異なる課題を抱えながら人手不足問題の解決に取り組んでいる、物流を取り巻く状況に、そのまま重なる。効率的輸送や省力化された物流の実現のために、今、強く「ONE TEAM」になることが求められている。

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