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2019年12月2日付 2773号

改善基準告示見直しのため専門委員会を設置、年内にも初会合  労政審労働条件分科会

 労働政策審議会労働条件分科会は11月25日、東京都千代田区の厚生労働省で第156回会合を開き、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)見直しに向け、「自動車運転者労働時間等専門委員会」(仮称)の新設を決めた。専門委員会は、年内にも初会合を開き、トラックドライバーの働き方改革に向けた検討をスタートさせる。
 自動車運転者労働時間等専門委員会は、分科会の下に設置され、トラック・バス・タクシーの3分野それぞれに、公益委員・使用者側委員・労働者側委員各2人を選任。公益委員2人のうち、1人は労働条件分科会の委員が就き、オブザーバーとして、国土交通省の担当官が加わる。

 調査事項は①改善基準告示の見直しに係る事項②その他、自動車運転者の健康確保、過労死防止や労働時間の短縮等に関し必要な事項―としている。

 現行の改善基準告示は1989年に中央労働審議会で関係労使の合意の下に策定され、大臣告示として制定。トラックについては、1ヵ月の拘束時間を293時間とすることなどを定めている。2018年に成立した働き方改革関連法で「過労死等の防止の観点から、改善基準告示の総拘束時間等の改善について、関係省庁と連携し、速やかに検討を開始すること。また、改善基準告示の見直しに当たっては、トラック運転者について、早朝・深夜の勤務、交代制勤務、宿泊を伴う勤務など多様な勤務実態や危険物の配送などその業務の特性を十分に踏まえて、労働政策審議会において検討し、勤務実態等に応じた基準を定めること」とする参議院厚生労働委員会での附帯決議が行われたことや、衆院厚生労働委員会の附帯決議に「自動車運転業務については、長時間労働の実態があることに留意し、改正法施行後5年後の特例適用までの間、過労死の発生を防止する観点から改善基準告示の見直しを行うなど必要な施策の検討を進めること」が盛り込まれたことから、改善基準告示の見直しに向け、専門委員会が設置されたもの。

初のECプラットフォームセンターを蓮田営業所に開設、生産性大幅に向上  SGL

ステーションでの出荷作業

 佐川グローバルロジスティクス(SGL、森下琴康社長)は11月28日、埼玉県蓮田市に所在し、きょう2日から本格稼働する、蓮田ECプラットフォームセンターの内覧会を開催した。

 ECプラットフォームセンターは、最新のロボット機器を導入し作業の標準化・効率化を追求、複数の中小EC事業者が共同利用することで、従量課金制による固定費の削減や早期の事業開始などのメリットを提供できる施設。SGLでは初の試みで、蓮田に加え、来年2月に東京都江東区で稼働予定のSGHDグループ大型物流施設「Xフロンティア」でも稼働を計画している。

 蓮田のセンターは、オリックスの物流施設に入居する同社蓮田営業所の1フロア約2600平方メートルを使用し、保管棚574台と中国Geek+製の自動搬送機「EVE500」32台を導入、入荷・出荷両用のステーションを六つ備えている。入荷時・出荷時ともにステーションまで棚が自動搬送されるので、作業員はステーションを離れることなく作業できるほか、作業手順がパネル上に示され、ミスした際にはパネル上に警告が表示されるなど、初心者でも一定の効率で作業が行える点が特長。

 SGLではこれまでのセンターと比較して、約3倍の生産性向上効果と必要人数を半減以下とする省人化効果が得られると見込んでいる。同日開催された顧客向けの内覧会には、約60人の中小EC事業者関係者らが参加した。

 メディア向け内覧会で会見した林弘志取締役は、蓮田のセンターに関して、40~60社程度の利用で保管スペースが埋まることや、近隣に所在する佐川急便営業所からの配送機能と連携することで、即日配送や越境ECなどサービス向上による拡販効果も期待できる点をアピール。来年の稼働を予定している「Xフロンティア」では、自動倉庫のオートストアや自動梱包機の導入により、さらなる効率化を計画していることも説明した上で、「顧客と一緒に、こうあるべきという新しい物流の形を作っていきたい」と語り、実運用段階で改善を重ねながら、他の地域でも同様のセンターを構築していく考えを示した。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(136) 『便乗値上げの実態(その1)』
    ☆四文字 『まず足掛かり「協同組合」』

  • ☆赤羽国土交通大臣が自動車運転戦略本部で発言、安全の重要性強調
    ☆物流連の渡邉会長が会見、外国人就労者拡大へ勉強会を立ち上げ
    ☆物流連が「モーダルシフト取り組み優良事業者表彰式」開催、18社19件対象に
    ☆運輸労連の年末一時金闘争、大手単純平均は減額
    ☆神奈川ト協が創立50周年記念式典を挙行
    ☆社整審計画部会・交政審交通体系分科会計画部会が合同で会合、15年策定の社会資本整備・交通政策基本計画見直しで検討作業スタート
    ☆全ト協、都道府県ト協に対し車輪脱落への緊急対応で周知要請文書を発出
    ☆東ト協出版・印刷部会が懇談会を開催、商習慣の構造改革には発売日等の見直しを
    ☆埼玉ト協が理事会開催、標準的運賃に意見を
    ☆佐川急便と松浦鉄道が貨客混載輸送を開始、同事例で九州初の効率化計画
    ☆国交省が加工食品物流改善へリードタイム延長の実証実験、検品時間削減も
    ☆ユピテル、20年2月にスマートドライブと連携した法人向けドラレコ発売へ
    ☆インド日通がハイデラバード空港貨物地区内の倉庫で医薬品の認証を取得
    ☆物流連が千葉のセンコー施設で本年度見学会を開催、会員ら38人が参加
    ☆SBSHDがグループドライバー対象に第4回ドラコン開催、リコーロジの近藤選手が優勝
    ☆エコモ財団が「エコドライブシンポジウム」を開催、活動コンクール表彰式挙行

今週のユソー編集室

  • ▼労働力不足と技術革新を背景に、あらゆる分野で省人化の動きが加速している。飲食店や小売店などで目にすることの多くなったセルフレジなどは、その身近な例だろう。
    ▼かつて第3次産業は、サービスレベルや品質の向上により顧客の確保を競っていたが、不況による価格競争を経て、今では人材不足の中で運営の維持に腐心せざるを得なくなったのだと、陶器から紙コップに切り替わった某ファストフード店のコーヒーカップを眺めながら思う。
    ▼物流は、これまで人手に頼る部分が大きかった分、ロボットなどに置き換える余地が大きいと指摘する有識者も多いが、投資に踏み切ることができる事業者は限られるだろう。

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