課題多い食品流通の合理化方策を検討、初会合を開催 経産省・国交省・農水省
経済産業省・国土交通省・農林水産省の3省は、トラック業界の労働力不足が進む中、手荷役が多く、小ロット・多頻度輸送が多いなどの課題を抱える食品流通について、課題抽出や対応方策などの検討を行うため「食品流通合理化検討会」を設置。11日に東京都千代田区の都道府県会館で初会合を開き、青森県・新潟県・三重県の各知事らから地方自治体での食品流通確保のための取り組みなどについて説明を受けるとともに、トラック業界の課題などについて国交省の一見勝之自動車局長が報告を行った。
検討会は、食品(花卉を含む)を生産する発荷主関連の団体や全日本トラック協会をはじめとする物流関連団体、日本チェーンストア協会などの着荷主関連団体の関係者や関係省庁の担当官らで構成。水産物関連流通の検討については、「水産分科会」を設置する。
初会合では、産地である地方自治体の知事や市長が、食品流通の維持・確保に向けた取り組みを披露した。
青森県の三村申吾知事は、2014年にヤマト運輸と連携協定を結び、青森県総合流通プラットフォーム「A!Premium」を構築して、「活ホタテ」などの魚介類を鮮度を維持したまま中部以西に出荷した実績を報告。19年3月には県・ヤマト運輸・ヤマトグローバルロジスティクスジャパンの3者で「新青森県総合流通プラットフォームに係る連携協定」を締結し、中ロットでの海外出荷に対応する体制整備を進めていると述べた。
新潟県の花角英世知事は、主要農産物であるコメの輸送に関して、パレット規格の統一や製品情報の電子化・データ連携などの必要性を強調。三重県の鈴木英敬知事は、県内産地と首都圏ホテルを結ぶ流通ルート確保に向けた実証実験を19年11月と20年2月ごろに実施する計画を明らかにした。
トラック業界の課題と今後の対策について説明した国交省の一見自動車局長は、「労働力不足により、モノがあっても運べなくなる事態が起こり得る」と述べた上で、改正貨物自動車運送事業法に盛り込まれた標準的運賃について、「告示されれば、運賃は上がらざるを得ない」と説明。食品流通の維持には、手待ち時間改善をはじめとする取引の適正化や輸送の効率化・合理化が不可欠であるとの考えを強調した。