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2019年11月18日付 2771号

課題多い食品流通の合理化方策を検討、初会合を開催  経産省・国交省・農水省

食品流通合理化検討会の初会合

 経済産業省・国土交通省・農林水産省の3省は、トラック業界の労働力不足が進む中、手荷役が多く、小ロット・多頻度輸送が多いなどの課題を抱える食品流通について、課題抽出や対応方策などの検討を行うため「食品流通合理化検討会」を設置。11日に東京都千代田区の都道府県会館で初会合を開き、青森県・新潟県・三重県の各知事らから地方自治体での食品流通確保のための取り組みなどについて説明を受けるとともに、トラック業界の課題などについて国交省の一見勝之自動車局長が報告を行った。

 検討会は、食品(花卉を含む)を生産する発荷主関連の団体や全日本トラック協会をはじめとする物流関連団体、日本チェーンストア協会などの着荷主関連団体の関係者や関係省庁の担当官らで構成。水産物関連流通の検討については、「水産分科会」を設置する。

 初会合では、産地である地方自治体の知事や市長が、食品流通の維持・確保に向けた取り組みを披露した。

 青森県の三村申吾知事は、2014年にヤマト運輸と連携協定を結び、青森県総合流通プラットフォーム「A!Premium」を構築して、「活ホタテ」などの魚介類を鮮度を維持したまま中部以西に出荷した実績を報告。19年3月には県・ヤマト運輸・ヤマトグローバルロジスティクスジャパンの3者で「新青森県総合流通プラットフォームに係る連携協定」を締結し、中ロットでの海外出荷に対応する体制整備を進めていると述べた。

 新潟県の花角英世知事は、主要農産物であるコメの輸送に関して、パレット規格の統一や製品情報の電子化・データ連携などの必要性を強調。三重県の鈴木英敬知事は、県内産地と首都圏ホテルを結ぶ流通ルート確保に向けた実証実験を19年11月と20年2月ごろに実施する計画を明らかにした。

 トラック業界の課題と今後の対策について説明した国交省の一見自動車局長は、「労働力不足により、モノがあっても運べなくなる事態が起こり得る」と述べた上で、改正貨物自動車運送事業法に盛り込まれた標準的運賃について、「告示されれば、運賃は上がらざるを得ない」と説明。食品流通の維持には、手待ち時間改善をはじめとする取引の適正化や輸送の効率化・合理化が不可欠であるとの考えを強調した。

人手不足で悩む顧客に課題解決の価値提供 田口社長が方針示す  セイノーHD

 セイノーホールディングスの田口義隆社長は15日、東京都千代田区のトラストシティカンファレンス・丸の内で2020年3月期第2四半期連結決算説明会を開き、営業利益が11期連続で増益となったことを報告するとともに、今後は顧客の課題解決に向け、輸送と保管・流通加工を組み合わせるロジ・トランス機能の強化に注力していく姿勢を強調した。

 説明会の冒頭、田口社長は、「経営を取り巻く環境の“潮目”が変わってきており、対応が必要になる」と述べ、今後は自社での労働力確保にとどまらず、人手不足に苦しむ顧客の課題解決につながる価値の提供に取り組む方針を示した。

 ロジ・トランス機能の強化については、今後3年間で約620億円を投じ、既存拠点の移転・拡充などを進めていく。運賃については、2010年タリフ換算での収受率が3月末の62.1%に対し、9月末では63.0%と0.9ポイント改善。20年3月末の目標である65.0%達成に向け、顧客と粘り強い交渉を続ける。また、7月に国土交通省に届け出を行った新たな運賃に顧客の約13%が移行し、9月末までに4700~4800万円程度の効果が出ている。

 一方、労働力不足を背景に上昇傾向にある傭車料を抑制するため、路線便の自社化を進めているが、目標の8割に対し、9月末時点では74.6%にとどまっており、定年延長者の待遇改善や高卒者の大型免許取得促進、ダブル連結トラックの増便などを通じて、自社化率向上につなげる。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集、日本通運中部警送支店・関東警送支店年末防犯訓練大会

  • ☆トナミHDの綿貫社長が決算会見、過去最高の経常利益も営業減益等で評価「いまひとつ」
    ☆運輸労連の年末一時金妥結の状況、は大手組合で増額組合が減少
    ☆赤羽国交大臣が衆院国交委で答弁、標準的運賃は実運送事業念頭に
    ☆全ト協7~9月期の景況観、判断指標わずかに改善も今後の見通しは厳しく
    ☆全ト協・日貨協連、10月のWebKIT成約運賃指数は高水準ながら2ヵ月連続の前年割れに
    ☆日通が引越コンテスト開催、女性チームが4位と健闘
    ☆SGモータースが第2回メカニックコンテスト、東京店が初優勝
    ☆JR貨物、台風19号の影響で減少量約40万トン
    ☆全ト協、自民党トラック議連に20年度予算・税制改正で要望
    ☆日倉協・日冷倉協、自民党倉庫議連に20年度予算・税制改正で要望
    ☆国交省の労働時間改善懇談会、洋紙・板紙物流課題解決ガイドラインの骨子案をおおむね了承
    ☆埼玉ト協が交通安全・環境フェア開催し1万4500人が来場、絵画コンクール表彰式も
    ☆物流各社の第2四半期決算

今週のユソー編集室

  • ▼国土交通省をはじめとする関係省庁や物流団体関係者、食品卸・小売り関係者などで構成される「食品流通合理化検討会」が発足した。
    ▼トラックの労働力不足が進む中、食品に関する輸送は手待ち時間が長く手荷役作業が多い傾向にあることに加え、小ロット多頻度輸送が多いなど、働き方改革や輸送効率化に向けたハードルが高く、トラック関係者から敬遠される事態も発生しているという。
    ▼鮮度が求められる農産品や小刻みに消費・賞味期限が設定された食品を、切れ目なく売り場や消費者に届けるための物流の維持には、消費者を含めた関係者全体で負担を受け入れる必要があることを前提に議論を積み重ねてほしい。

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