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2019年10月28日付 2768号

会員相互の連携促進へ 名古屋でフォーラム、講演会など行う  通運連盟

パネルディスカッションの模様

 全国通運連盟(渡邉健二会長)は21日、名古屋市中区の名古屋東急ホテルで、第2回通運事業フォーラムを開催した。鉄道コンテナのラウンドユース促進のため会員同士の連携や交流を深めることを目的として、前年度に仙台でスタートした取り組みで、2回目の本年度は名古屋で開催。中部地方を中心に全国から会員関係者ら約150人が参加した。

 冒頭あいさつした渡邉会長は、鉄道利用運送(通運)事業者でもドライバー不足が深刻化しつつある現状を指摘した上で「鉄道コンテナ輸送がモーダルシフトの受け皿としての機能を発揮するためには、ラウンドユースによる生産性向上が大切であり、連携・共同促進のためにフォーラムを開催することとした」と述べ、フォーラム開催の意義を説明した。

 引き続き、トヨタ・リサーチ・インスティチュート・アドバンスト・ディベロップメントの松尾芳明ディレクターによる「将来のモビリティ社会に向けた自動運転技術の開発」をテーマとする講演と、湯浅コンサルティングの湯浅和夫社長をコーディネーターとした「物流危機が切り拓く物流の未来」をテーマとするパネルディスカッションが行われた。

 このうちパネルディスカッションでは、キユーピーの藤田正美上席執行役員ロジスティクス本部長と、サンスターグルーブSTARLECSの荒木協和理事ロジスティクス担当がパネリストとして参加。まず湯浅社長が物流業界の現状として、現場の労働力不足から荷主との関係性にパラダイムシフトが発生しており、不必要な附帯サービスの削減や適正運賃の収受など「物流危機は好機と捉えるべきであり、本来あるべき姿に近づきつつある」と指摘。さらに「物流の効率化は1社単独でやるべき話ではない」とも語り、荷主企業も物流企業も連携が重要であることを強調した。

ヤマト運輸労使共催の第9回全国安全大会、南関東支社が2連覇 51選手が腕競う

運転実技の模様

 ヤマト運輸(栗栖利蔵社長)とヤマト運輸労働組合(森下明利委員長)は10月20~21の2日間、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキット交通教育センターで、第9回ヤマト運輸全国安全大会を開催した。安全意識向上などを目的に毎年開催しているもので、本年は南関東支社が団体で2連覇を遂げた。分割前の旧関東支社時代も含めれば4連覇となる。

 大会には、全国11支社の代表44人に加え、沖縄ヤマト運輸から4人、ヤマトグローバルエキスプレスから3人の合計51人が出場(うち13人は運行管理者)。SDは2トンMPバンマニュアル車(MT)、同オートマチック車(AT)、女性ドライバーの3部門に分かれ、筆記試験・日常点検整備・運転実技の各技能を競った。運行管理者は筆記試験のみ行った。

 表彰は、個人表彰として各部門の1位から3位までと、団体表彰として所属全選手の総合得点が最も高かった支社に対して行われた。

 このうち個人表彰者は次のとおり。選手名・所属の順。敬称略。

【MT】
 ◎優勝=澤田純・南関東支社湘南主管支店◎準優勝=鹿嶋淳・関西支社北大阪主管支店◎3位=井元政宗・北海道支社千歳主管支店。

【AT】
 ◎優勝=河合真也・四国支社香川主管支店◎準優勝=村田由人・北関東支社茨城主管支店◎3位=増田大助・関西支社東大阪主管支店。

【女性ドライバー】
◎優勝=柳澤雅子・北信越支社長野主管支店◎準優勝=西山雅美・南関東支社横浜主管支店◎3位=水津千春・九州支社熊本主管支店。

 栗栖社長は大会の総評として「全国安全大会の開催を通じて、個々のレベルアップを図るだけでなく『安全第一・営業第二』の理念を再認識し、全社の安全意識のさらなる向上につなげることが重要。これまでに学んできた安全知識・運転技術を日頃の業務に役立てるのはもちろん、プライベートでの運転時や歩行時も含め、交通ルールを守り、安全第一での行動に努めてほしい」と呼び掛けた。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(133) 『駆け込み需要の規模は予想外に小さかった(その3)』
    ☆四文字 『近代化へ「業界全体」』
    ☆聖火が初めてやってきた東京1964(3)『火薬から名産品まで 種々雑多な五輪貨物』
    ☆日中ビジネスワンポイント(192) 『ロシアの旅(その1)モスクワ』
    ☆人物ウィークリー、(一社)東京都トラック協会・原島藤壽副会長

  • ☆ヤマト運輸が松戸市の商業施設にネコサポステーション開設、多摩市以外で初
    ☆運輸労連大手組合の年末一時金要求出揃い19秋闘本格的にスタート、ヤマ場は11月中旬に
    ☆関東ブロック女性協議会が第2回研修会、女性組織未設置ト協へ積極的に働きかけ
    ☆建荷協が特自検強調月間展開、スローガンは『安心と心のゆとり特自検』
    ☆JR貨物が台風19号後の運転状況発表、東北線29日再開へ
    ☆全ト協が公明党議連に20年度税制・予算要望、大口・多頻度最大50%割引の将来的な維持求める
    ☆東京モーターショー2019で国内トラックメーカー各社が展示、自動運転実験使用車など出品
    ☆日野自動車が『第48回日野自動車全国販売会社サービス技術コンクール』開催、愛知日野が総合優勝
    ☆JA-LPAが第13回セミナー開催、新時代の物流不動産
    ☆千葉ト協が流山市と『トラックの森づくり』植樹祭開催

今週のユソー編集室

  • ▼全国通運連盟が、先週名古屋で開催したフォーラムを取材した。パネルディスカッションでは、荷主の物流担当者が、自社の物流改善の取り組みを紹介していた。
    ▼彼らの発言で特に印象的だったのは「商慣行を是正しなければならない」「われわれの売り方が悪かったせいで、物流事業者に負担が押し付けられていた」など、およそ荷主関係者とは思えない言葉だ。
    ▼多少のリップサービスもあったのかもしれないが、より強く感じたのは、非効率な物流で経営が立ち行かなくなるという、荷主側の強烈な危機感だ。荷主の理解の重要性が叫ばれる中、現状の危機を好機と捉え、少しでも状況の改善につなげていきたい。

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