青函トンネル共用問題、今後の貨物列車のあり方は幅広い検討の途上 水嶋国交省鉄道局長が会見
7月に就任した国土交通省の水嶋智鉄道局長は9月27日に開かれた会見で、青函トンネルの新幹線・貨物列車共用走行区間について、来年度にも旅客繁忙期の一部時間帯で新幹線列車の高速運行を行い、貨物列車の運行を止める「時間帯区分方式」を実施する見込みであることを明らかする一方、北海道新幹線の札幌延伸時の本州~北海道間の貨物列車運行のあり方については、「さまざまな角度から幅広い検討を行っている」と述べるにとどまり、現段階では代替輸送案や新技術による輸送方式の検討などの具体的な絞り込みは行っていないとの立場を強調した。
水嶋局長は、青函トンネル共用区間について、昨年9月に貨物列車と新幹線列車によるすれ違い時の安全確認試験を行い、問題がなかったことから、今年3月の改正で新幹線列車の最高速度を従来の140キロメートルから160キロメートルに引き上げたことを説明。その上で、新幹線列車のさらなるスピードアップに向け現在、時速200~260キロメートルでの走行試験を行っており、その結果を踏まえ早ければ2020年度内に、ゴールデンウィークやお盆時期などの旅客繁忙期に、一部新幹線列車を高速化して貨物列車の運行を止める「時間帯区分方式」の実施に踏み切る計画であることを明らかにした
一方で、北海道新幹線の札幌延伸を見据えた今後の北海道~本州間の貨物列車のあり方については、「新幹線高速化への期待がある一方で、貨物列車は重要な役割を担っており、両者のバランスをどうとるかが大事」とし、多様な可能性を視野に入れながら検討を進めているとした。
JR貨物の経営については、17・18年度に鉄道事業で黒字を達成したものの、各種支援制度による「下支え」が前提になっており、「現段階で上場について言及することは時期尚早」とした。
【水嶋智(みずしま・さとる)鉄道局長略歴】1963年6月生まれの56歳。86年東大法学部卒、運輸省入省。総合政策局公共交通政策部交通計画課長、大臣官房総務課長、大臣官房審議官(総合政策局、鉄道局担当)、鉄道局次長、海事局長などを歴任。京都府出身。趣味は、模型作りとプロレス。