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2019年9月30日付 2764号

青函トンネル共用問題、今後の貨物列車のあり方は幅広い検討の途上 水嶋国交省鉄道局長が会見

水嶋局長

 7月に就任した国土交通省の水嶋智鉄道局長は9月27日に開かれた会見で、青函トンネルの新幹線・貨物列車共用走行区間について、来年度にも旅客繁忙期の一部時間帯で新幹線列車の高速運行を行い、貨物列車の運行を止める「時間帯区分方式」を実施する見込みであることを明らかする一方、北海道新幹線の札幌延伸時の本州~北海道間の貨物列車運行のあり方については、「さまざまな角度から幅広い検討を行っている」と述べるにとどまり、現段階では代替輸送案や新技術による輸送方式の検討などの具体的な絞り込みは行っていないとの立場を強調した。

 水嶋局長は、青函トンネル共用区間について、昨年9月に貨物列車と新幹線列車によるすれ違い時の安全確認試験を行い、問題がなかったことから、今年3月の改正で新幹線列車の最高速度を従来の140キロメートルから160キロメートルに引き上げたことを説明。その上で、新幹線列車のさらなるスピードアップに向け現在、時速200~260キロメートルでの走行試験を行っており、その結果を踏まえ早ければ2020年度内に、ゴールデンウィークやお盆時期などの旅客繁忙期に、一部新幹線列車を高速化して貨物列車の運行を止める「時間帯区分方式」の実施に踏み切る計画であることを明らかにした

 一方で、北海道新幹線の札幌延伸を見据えた今後の北海道~本州間の貨物列車のあり方については、「新幹線高速化への期待がある一方で、貨物列車は重要な役割を担っており、両者のバランスをどうとるかが大事」とし、多様な可能性を視野に入れながら検討を進めているとした。

 JR貨物の経営については、17・18年度に鉄道事業で黒字を達成したものの、各種支援制度による「下支え」が前提になっており、「現段階で上場について言及することは時期尚早」とした。

 【水嶋智(みずしま・さとる)鉄道局長略歴】1963年6月生まれの56歳。86年東大法学部卒、運輸省入省。総合政策局公共交通政策部交通計画課長、大臣官房総務課長、大臣官房審議官(総合政策局、鉄道局担当)、鉄道局次長、海事局長などを歴任。京都府出身。趣味は、模型作りとプロレス。

香港発インド向け新海上混載サービス、ケニア向けも計画  日通

 日本通運(齋藤充社長)は25日、香港発インド・ナバシェバ向けの海上混載サービスを開始したと発表した。発着ともに日通グループによる一貫輸送を提供する。新サービスは週1回の定期運航を行い、リードタイム13日間。中国華南エリア発の電機・電子部品、日用雑貨品・アパレル関連などをターゲット貨物とする。

 今後、ナバシェバ発、アフリカ・ケニア向けの自社仕立て一貫混載輸送サービスの開発を進めていく計画で、ナバシェバで日本や東南アジア発の貨物をインドからの貨物と合わせて混載し、アフリカ・ケニア向けの自社輸送サービスを構築する。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(131) 『駆け込み需要の規模は予想外に小さかった(その1)』
    ☆四文字 『問題の原点「過当競争」』
    ☆日中ビジネスワンポイント(191) 『2018年中国の流行語について』
    ☆人物ウィークリー、日本物流団体連合会・長谷川伸一理事長

  • ☆YLC、10月から決済端末の導入から管理までキャッシュレス事業者をトータルでサポートする新サービス開始
    ☆日通、インドの小売り大手から物流子会社の株式取得
    ☆トナミ運輸労組が定期大会、山本副委員長ら新任
    ☆国交省が通達改正でパブコメ、社保等未納付に対して20日車の処分新設
    ☆国交省の中井大臣官房参事官(物流産業)が就任後初の会見、倉庫税制の特例延長に注力
    ☆ヤマト運輸とアルフレッサが調剤薬局向けの新サービス開発、ITで在宅医療を支援
    ☆日通総研が19年度貨物輸送量見直しを発表、国内貨物量は2年連続マイナスに
    ☆佐川急便が日本橋室町三井タワーの全フロアの管理業務受注、同タワー商業施設開業に伴い
    ☆東ト協が取引環境・労働時間セミナー、パネルディスカッションで荷主に改善提案を「言えなかった」実態明らかに
    ☆丸運がセーフティドライバーコンテスト、
    ☆SBSリコーロジが福岡市内に物流センター開設、東南アジア見据えた拠点に
    ☆SBSスタッフが改正労働者派遣法対応の新会社「ジョブライト」設立
    ☆日貨協連が事務局役職者連絡会議、働き方改革に向けた高速道路料金引き下げの社会実験求める
    ☆Hacobuが三井不動産と資本業務提携、デジタル物流情報プラットフォーム構築し物流課題の解決へ
    ☆東ト協が警視庁下谷署主催の交通安全パレードに参加

今週のユソー編集室

  • ▼7月から9月にかけて、物流大手の労働組合が大会を開催している。そこから見えてくるのは、時短が進む一方で、少なくとも一部の従業員の賃金が減少しているという実態だ。
    ▼春闘の結果などから平均賃金は上昇傾向にあると見られる反面、他産業との格差は依然として大きく、労働条件の改善による人材確保の道のりは険しいままとなっている。
    ▼そこで期待されるのが、国交省が年度内にも公表する見込みの「標準的運賃」だ。物流業界の未来を左右する標準的運賃が、適正コストの積み上げによる理想追求型となるのか、現在の実勢運賃をベースとした現状追認型となるのか、関係者は固唾を飲んで見守っている。

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