働きやすい環境構築し、強みをさらに強く 今後の方針など語る 佐川急便本村社長
佐川急便の本村正秀社長は4日、都内で専門紙誌記者団と会見し、今後の事業運営や展望などについて語った。
本村社長は1980年に当時の東京佐川急便に入社。2005年に佐川急便の専務取締役を退任し、出版やタクシー会社の役員を歴任した後、15年にSGホールディングスグループに復帰した自身の経歴を振り返り「佐川急便にはシステムの素晴らしさや従業員の団結力の強さなど、外部に出て初めて気づく強みがあった。今後は強みをさらに強くして、改善すべきところを改善していきたい」と抱負を述べた。
また、キャリアを通じて顧客に信頼されることを大事にし、外部では従業員の定着率向上に努めたことなどにも触れながら「従業員一人一人がやりがいをもって生き生きと働けるよう、今以上に働きやすい環境を構築していきたい」と述べ、人材確保の観点からも「若い人たちにあの会社で働きたいと思ってもらえるよう新しいものにチャレンジし、良いサービスを皆で作り上げていきたい」と強調した。
事業運営については「これまでの流れは変えない」と言及。宅配便の取扱個数増大を図るとともに、重量物・特殊貨物・軽貨物など宅配以外の分野を包括的に扱うTMS(Transportation Management System)を事業の柱に育てていく方針を示した。
このうち宅配便の取扱個数増大については、現在東京都江東区で開発中の大型物流施設「Xフロンティア」に入居する佐川急便の中継センターが、全国24ヵ所ある同センターの中でも最大規模になるとした上で、稼働後の仕分能力が理論値として16%向上するとの見通しを明らかにし、デジタル化などの業務効率化策とも併せ、セールスドライバー(SD)が営業活動を行う時間を生み出し、取扱個数を拡大していく方向性を示した。
また「約100万社ある顧客にSDがほぼ毎日顔を出し、物流に関する課題を聞いていることが当社の財産」と表現し、潜在的な需要を掘り起こせる人材の育成にも力を入れていくとした。
一方で通販業界から課題視されている宅配便の適正運賃収受に関しては「やみくもにやっているわけではない」として、人材確保や外部委託費の増加などコスト増が重なっていることを指摘し、理解を求めた。
【本村正秀(もとむら・まさひで)佐川急便社長略歴】1960年3月生まれの59歳。80年4月東京佐川急便入社。2005年3月佐川急便専務取締役、同年9月JL社長、07年7月ANZENGroup社長、11年6月Kmホールディングス取締役、12年8月国際自動車取締役、15年3月SGフィルダー理事、18年3月佐川急便理事、同年6月同社取締役輸送ネットワーク・品質担当、19年4月同社社長。
好きな言葉は「至誠通天」。福岡県出身。