荷待ち時間改善に向け、ガイドライン策定へ 懇談会ごとに年度内めど 国交省
国土交通省は昨年度から、トラックドライバーの荷待ち時間が長い貨物の上位3分野について、改善策などの検討を進めてきたが、本年度も検討や実証実験を継続して年度内に「ホワイト物流推進ガイドライン」(仮称)を策定する。
国交省では、アンケート結果から荷待ち時間が長い「加工食品」「紙・パルプ」「建設資材」について、昨年度分野ごとに懇談会を設け、荷主と運送事業者の協力による生産性向上やドライバーの労働時間改善に向けた対応策の検討などを行ってきた。
本年度は、これまでの議論を踏まえ、荷待ち時間の長いドライバーの置かれている現状・課題の整理を行うとともに、実証実験や実態調査の深堀りを進めた上で、年度内に「ホワイト物流推進ガイドライン」を策定することとし、「加工食品」と「紙・パルプ」については、本年度第1回の会合を開いた。
3日に開かれた「第4回加工食品物流における生産性向上及びトラックドライバーの労働時間改善に関する懇談会」では、昨年度の議論を踏まえ①受発注条件の見直し②荷待ち時間削減③荷役時間削減④検品時間削減―について、調査・検討を進めることを決めた。
受発注条件の見直しについては、リードタイムを1日前から2日前に前倒しすることで車両の回転率や配車、荷卸に与える効果や影響などを分かりやすく整理するとともに、週末や月末月初などに物量が増加する「波動」の平準化に向けた定量的分析や解決策について検討を進める。
荷待ち時間削減については、30分以上の荷待ちを対象とした要因分析や、改善手法の検討などを行った上で、KPI(重要業績評価指標)による改善とPDCAサイクルによる継続実施のあり方を探る。
6月25日に開かれた「第3回紙・パルプの物流における生産性向上及びトラックドライバーの労働時間改善に関する懇談会」では、輸送特性の異なる「洋紙・板紙」と「家庭紙」に分けて、議論を行った。
洋紙・板紙では、発注期限が守られない一方で納品時間指定が厳しいなどリードタイムの確保に課題があるほか、雑誌販売日などの影響で特定日・曜日に物量が集中することによる繁閑差の増大などの課題が明らかになっている。
あす9日には、「第2回建設資材物流における生産性向上及びトラックドライバーの労働時間改善に関する懇談会」を開き、建設資材物流の改善に向けた本年度の取り組みの方向性などについて話し合う。
各懇談会ごとに、年度内にガイドラインを取りまとめ、「ホワイト物流推進運動」の枠組みを活用しながら、荷主を中心とした関係者に荷待ち時間改善の必要性について意識の浸透を図るとともに、物流事業者と連携した取り組みを促す。