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2019年6月10日付 2751号

働き方改革完成させ、顧客を創り増やす 労組研修会で講演  ヤマト運輸栗栖社長

栗栖社長

 ヤマト運輸の栗栖利蔵社長は5日、新潟県湯沢町の湯沢カルチャーセンターで開催されたヤマト運輸労働組合(森下明利委員長)の中央研修会で講演。支部まで含め約1300人の組合幹部を前に、2019年度は「お客さまを創り出し、増やす」ことで成長を目指す方針を示した。

 栗栖社長はまず、巨大EC企業が自前の配送網を構築するなど競争環境が大きく変化しつつあることを指摘した上で、19年度は働き方改革を完成させ、生み出された時間を活用して、SDが顧客を創り増やして成長していくとした。

 そのために、宅急便ではアンカーキャストの採用強化・定着率向上やデジタル化による効率的な集配支援、AIの活用による配達ルート設計の見直しなどに取り組み、法人顧客対応ではソリューション提供の拡大による収益拡大を図るとしたほか、ネットワークでもベース店によるセンター大口配送や法人集配と横持ちの一元配車によるセンターの実集配時間の増加、ベース店作業の平準化による安定的な品質を実現していくとした。

 一方、EC荷物の配達に宅急便以外の配送網構築を検討していくことや、業務量見通しの精緻化に向けて、取扱店まで含めた情報のデジタル化を一層進めていく考えも示した。

 栗栖社長はまた、顧客満足度を向上させるためには、社員一人一人が生き生きと働くことが重要と指摘。コンプライアンス遵守の観点からも、個人個人が正確な労働時間を申告することが重要と訴えながら、会社の成長も含めて"全員が同じ方向を向く"ことの重要性を強調。自身も現場とのコミュニケーションを重視しながら、問題解決に取り組んでいく姿勢を示した。

中国欧州間鉄道輸送で定期便(週3便)を開始、発着一貫管理で  日通

 日本通運(齋藤充社長)は4日、中国・西安から欧州向けの中国欧州間クロスボーダー輸送サービス「Eurasia Train Direct」の定期便サービスを開始した。

 日通国際物流(中国)と欧州日本通運が連携し、週3便(毎週火・木・金曜日発)で西安からポーランド・マワシェビチェ、ドイツ・ハンブルクとデュイスブルクに到着する定期便サービスを提供するもの。西安鉄道運行事業者とブロック・スペース契約を締結し、低廉・大量・柔軟なスペース確保が可能となった。

 定期便を活用し、上海の自社コンテナフレートステーション(CFS)からデュッセルドルフの自社CFSに週1便(毎週金曜日発)の発着一貫管理を行う混載輸送サービスも開始。発着ともに日通グループによる高品質サービスを提供するとともに、CFS間のリードタイムは24~26日と、従来の海上輸送の約40日に比べ、大幅なリードタイム短縮を実現するとしている。

 今後、欧州発中国向けの定期便サービスの検討を進め、混載輸送サービスは年内に週2便に拡大予定。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集・営業倉庫
     寄稿-国土交通省大臣官房参事官(物流産業)・多田浩人氏
      『物流の生産性 飛躍的向上に向け』
     インタビュー-日本倉庫協会常務理事・小笠原審氏
    ☆特集・通運
     寄稿-全国通運連盟理事長・川勝敏弘氏
      『通運連盟の19年度事業、鉄道貨物輸送の信頼回復』
     トピック
      『JR貨物のスマートターミナル構想』
     インタビュー-JR貨物取締役常務執行役員鉄道ロジスティクス本部長・犬飼新氏
      『通運・真荷主と一体で良いサービス提供』
     各利用運送事業者担当者に聞く2019年度営業施策
      日本通運通運部長・小泉芳久氏
      全国通運専務取締役・小野善明氏
      日本フレートライナー常務取締役・五島洋次郎氏
    ☆四文字 『戦後の変化「規制緩和」』

  • ☆国交省が共同物流の後押しで物効法の告示改正し認定対象を明確化
    ☆日通が九州医薬品センターを着工、新医薬品サプライネットワーク構築の核に
    ☆日貨協連が新規事業展開などに向け副会長10人体制に、吉野会長2期目
    ☆国交省が荷役作業や附帯業務を乗務記録の記載対象に追加、長時間労働是正に向け
    ☆国交省等、日本マクドナルドと読売新聞グループの食塩と新聞の共同輸送を物効法計画に認定
    ☆SGLが江東区のグループ拠点でEC事業者向けセンター新設、複数のEC事業者が設備等を共有可能
    ☆全ト協が理事会、標準的な運賃の告示はまずコスト集計・分析から
    ☆自民党の物流倉庫議員連盟が総会、日倉協・日冷倉協が「倉庫税制」着実な延長を要望
    ☆日通所属の女子ゴルフ・原選手がリゾートトラスト・レディスで初優勝
    ☆テルウェル東日本アメニティフォーラムがNTTグループ引越研修会、人事発令日前倒しの効果など討議・発表
    ☆国交省が物流のCO2削減対策促進事業の2次募集を開始、連結トラックや低炭素型輸送モードへの転換など

今週のユソー編集室

  • ▼1日に発生した横浜市の新交通システム「シーサイドライン」の逆走事故では、乗客14人が重軽傷を負った。
    ▼報道によると、事故車両の内部で断線が発見され、システム上の欠陥もあって事故が引き起こされた可能性があるようだ。
    ▼旅客であれ貨物であれ、運輸事業の至上命題が安全であることは変わらない。重軽傷者14人という被害は重く受け止めなければならない。鉄道よりも高度な技術が求められる自動車の自動運転においては、欠陥が潜む可能性も高くなるはずだ。
    ▼だからこそ、自動運転上で事故を未然に防ぐ技術を徹底的に磨き抜いてほしい。安全のためならば、スケジュールの遅れなどは一顧だに値しない。

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