働き方改革完成させ、顧客を創り増やす 労組研修会で講演 ヤマト運輸栗栖社長
ヤマト運輸の栗栖利蔵社長は5日、新潟県湯沢町の湯沢カルチャーセンターで開催されたヤマト運輸労働組合(森下明利委員長)の中央研修会で講演。支部まで含め約1300人の組合幹部を前に、2019年度は「お客さまを創り出し、増やす」ことで成長を目指す方針を示した。
栗栖社長はまず、巨大EC企業が自前の配送網を構築するなど競争環境が大きく変化しつつあることを指摘した上で、19年度は働き方改革を完成させ、生み出された時間を活用して、SDが顧客を創り増やして成長していくとした。
そのために、宅急便ではアンカーキャストの採用強化・定着率向上やデジタル化による効率的な集配支援、AIの活用による配達ルート設計の見直しなどに取り組み、法人顧客対応ではソリューション提供の拡大による収益拡大を図るとしたほか、ネットワークでもベース店によるセンター大口配送や法人集配と横持ちの一元配車によるセンターの実集配時間の増加、ベース店作業の平準化による安定的な品質を実現していくとした。
一方、EC荷物の配達に宅急便以外の配送網構築を検討していくことや、業務量見通しの精緻化に向けて、取扱店まで含めた情報のデジタル化を一層進めていく考えも示した。
栗栖社長はまた、顧客満足度を向上させるためには、社員一人一人が生き生きと働くことが重要と指摘。コンプライアンス遵守の観点からも、個人個人が正確な労働時間を申告することが重要と訴えながら、会社の成長も含めて"全員が同じ方向を向く"ことの重要性を強調。自身も現場とのコミュニケーションを重視しながら、問題解決に取り組んでいく姿勢を示した。