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2019年6月3日付 2750号

改正事業法への対応 荷主対策の深度化は今夏の施行見込み、規制適正化等は11月予定  国交省奥田自動車局長

 国土交通省の奥田哲也自動車局長は、5月30日の定例会見で、昨年12月に成立した改正貨物自動車運送事業法に盛り込まれた①規制の適正化②事業者が遵守すべき事項の明確化③荷主対策の深度化④標準的な運賃の告示制度の導入―のうち、規制の適正化と事業者が遵守すべき事項の明確化について、7月ごろにも改正省令・通達の公布・発出を行い、11月ごろに施行する予定であることを明らかにし、改正案に対するパブリックコメントの募集を開始した。また、荷主対策の深度化については、現在関係省庁などとの調整を進めており、夏ごろの施行を目指すとしている。

 貨物自動車運送事業法施行規則の一部改正案では、許可基準の明確化として、輸送の安全に関する審査内容を「事業用自動車の運行管理の体制」「事業用自動車の点検および整備の体制」「乗務員の休憩または睡眠のための施設」「そのほか輸送の安全を確保するために必要な事項」と規定。

 事業の継続的遂行に関しては、「営業所の規模」「事業用自動車の種別ごとの数」「自動車車庫の規模」「そのほか、事業を継続して遂行するために必要な事項」を省令で定めるとしている。

 事業の遂行能力については、「一般貨物自動車事業の円滑な運営を確保するために必要な資金に関する計画」「法令に関する知識」「社会保険料の支払い能力」「損害賠償の支払い能力」などを審査するとしている。

 また、約款で運賃と料金とを区別して収受する旨を定める必要のない特別の事情がある場合については、「申請に係る運送約款の対象となる運送等が、その役務の提供の性質上事業法第10条に規定する運賃および料金を分別して収受することが困難であると国土交通大臣が認める場合」と規定している。

 パブコメの募集期間は、6月28日までとなっている。

 奥田局長はこのほか、荷主対策の深度化について関係省庁などとの調整を行った上で、夏ごろにも施行する見込みであることを説明。標準的な運賃の告示については、改正事業法で「公布の日から起算して2年を超えない範囲内で政令で定める日から施行」とされていることをあらためて説明した上で、関係者の意見を聞きながら可能な限り早期の施行につなげていく考えを示した。

業界初の年中無休セルフ型店舗「クロネコスタンド」を開店 24時間営業365日営業  ヤマト運輸

「クロネコスタンド」の店内 利用者は荷物を受け取り店舗内で開梱、梱包資材を捨てていくことができる

 ヤマト運輸(栗栖利蔵社長)は5月30日、東京都江東区豊洲のUR都市機構豊洲4丁目団地内に、宅配業界初となる“セルフ型”店舗「クロネコスタンド」をオープンした。

 クロネコスタンドの特長は①荷物の受け取りや「メルカリ」「ヤフオク!」荷物の発送が24時間365日可能②新開発のオリジナル宅配ロッカーの設置により、ゴルフバッグなどラージサイズの荷物も受け取れる③クロネコIDごとに複数の荷物を一つのロッカーでまとめて受け取れる④スタンド内に梱包資材と送り状の回収口を設け荷物だけを持ち帰ることが可能―となっており、利用者の受け取り利便性を大きく向上させる。

 スタンドには157室の宅配便ロッカー、どこに荷物が収納されているかを確認できる2次元バーコードの読み取り機とディスプレー、開梱や梱包を行う作業台などを設置。バックヤードに従業員1人以上を配置するが、フロント部分は基本的に無人となり、利用者は荷物の受け取り時の開錠・ボックスからの取り出し・開梱・資材廃棄、発送時の梱包・伝票の印刷と貼付・ボックスへの収納など一連の作業を非対面で行える。

 「メルカリ」「ヤフオク!」以外の宅急便の発送や、クール宅急便の受け取り・発送については、午前10時~午後6時の間、バックヤードの従業員を呼び出す形で行う。クロネコメンバーズの会員が荷物を受け取る際は、「お届け予定eメール」などでスタンドを指定するが、豊洲4丁目団地の住人はメンバーズの非会員であってもスタンドでの受け取りを指定できるなど、団地用の宅配ロッカーとしても機能させる。

 ヤマト運輸は今回のスタンド設置を実験的な試みと位置付けており、今後ロッカーでのクール宅急便の受け取りを可能とするなど、さらなる利便性の向上を図りながら課題等を抽出し、今後の展開を検討していくとしている。なお、スタンドの宅配ロッカーでは他社の宅配荷物は受け付けない。

 ヤマト運輸はオープンに先立ち29日、現地でメディア向けの見学会を開催。大串隆司常務執行役員は「クロネコスタンドは、セルフ型の利用を想定した宅配業界でも前例のない試み」と語った上で「地域の皆さまに利用いただき、最適のタイミングで受け取り・発送できる新しい体験をしてもらいたい」とアピールした。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって『吉』か『凶』か(125)『足元の日本経済は堅調なのか(その6)』
    ☆物流応援歌(15)『SIPスマート物流サービス構想について=世界に先駆けることはできるのか?=』

  • ☆SBSリコーロジが名古屋市に物流センター開設、中部4ヵ所目の拠点
    ☆日立物流がドライバーの疲労度合いと事故リスクの相関関係に関する研究結果公表、安全運行支援や管理支援技術の開発へ
    ☆鉄貨協が研究結果公表、28年度にトラックドライバー28万8千人の不足見通す
    ☆日冷倉協が総会、総務委に部会設置し外国人活躍を検討 的埜日本水産社長を新会長に選任
    ☆関東地方通運協会が総会、加藤会長がモーダルシフト推進から定着化へ向けて呼び掛け
    ☆日本郵便・PJが首都圏約300のPUDOを「はこぽす」としてサービス開始、利便性向上と再配達削減へ
    ☆日立製作所・日立物流の各子会社がタイでシェアリングサービス提供開始、輸送車両を最適手配
    ☆JR貨物が6月21日付で組織改正、重点戦略の総合物流企業への進化目指す、
    ☆ボックスチャーターが株主総会・懇談会開催、安全性向上等目的に10月に規格見直し
    ☆物流連が懇談会、武藤船主協会会長が日本の外航海運をテーマに講演
    ☆ヤマトHDが日本ベンチャー大賞で経産大臣賞受賞、ラクスルと共同受賞
    ☆エスラインが岐阜県郡上市に医薬品等対象とした物流センター竣工
    ☆寺岡精工が来場者自ら体験できる食品加工と物流一体型のショールーム公開
    ☆国交省が過疎地域等のドローン物流ビジネスモデル検討会で中間とりまとめに向けて方向性の素案審議
    ☆国交省がホワイト物流説明会を開催し荷主から高い関心、東京では100人以上出席
    ☆日通が上海市西部に新倉庫を着工、既存施設と合わせ3万9千平方メートルに
    ☆陸災防が9月29日に埼玉で全国フォークリフト運転競技大会を開催、一般・女性の2部門
    ☆セイノーHDが小さな親切運動実施、1990年から30回目
    ☆関交協、事故防止推進で5組合員が特別表彰
    ☆センコーがランドセルをアフガニスタンの子どもたちに贈るプロジェクトに協力

今週のユソー編集室

  • ▼鉄道貨物協会の利用促進委員会が昨年度行った調査の報告書で営業用トラックドライバーが2028年には27万8千人不足するとの見込みが示された。
    ▼17年度の不足数は10万3200人だったと推計されているが、すでに「物流危機」が社会問題化していることを考えると、今の3倍に迫る不足数が現実になった時、果たして社会生活や経済活動が無事に行われるのか不安になる。
    ▼今後10年の間には、技術革新による省人化が見込まれる一方、働き方改革で1人当たりの労働時間は削減されていく。
    ▼鉄道・船舶へのモーダルシフトのさらなる促進について、物流維持への危機意識の下、真剣に考える必要がある。

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