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2019年5月20日付 2748号

輸送数量の減少受け判断指標が大幅悪化 1~3月期景況感  全ト協

 全日本トラック協会(坂本克己会長)は13日、2019年1~3月期のトラック運送業の景況感(第105回速報)を公表。営業利益の水準は回復傾向となったものの、景気減速を反映して輸送数量が減少したことから輸送効率が低下し、判断指標はマイナス18.1となり、前回(18年10~12月期)から13.3ポイントの大幅悪化となった。

 なお、今後の見通しは、労働力不足による人件費上昇、燃料価格の高止まりなどが影響し、判断指標は今回からさらに14.5ポイント悪化し、マイナス32.6となる見込み=左表参照。

 1~3月期は、「好転」とした事業者が16.8%、「悪化」が33.6%で判断指標はマイナス18.1となり、10~12月期から13.3ポイント悪化。実働率は、マイナス4.9で12.4ポイント悪化、実車率はマイナス4.7で10.1ポイント悪化し、前回と比較して輸送効率が悪化している。

 採用状況は、マイナス4.3と0.6ポイント上昇、雇用状況は90.8と5.6ポイント低下し、不足感は改善した。

 所定外労働時間は、マイナス18.7で7.7ポイント減少し、貨物の再委託(下請け運送会社への委託割合)は2.0となり、1.2ポイント改善。

 一般貨物の輸送数量はマイナス5.1で9.8ポイント悪化、運賃・料金の水準は25.9で2.3ポイント悪化したことから、売上高は5.6で7.1ポイント悪化する一方、営業利益はマイナス7.9で6.5ポイント改善。

 宅配貨物の輸送数量は、マイナス32.0で9.2ポイント改善し、運賃・料金の水準も64.0で28.7ポイント改善。これにより、売上高は8.0で19.8ポイント改善、営業利益もマイナス4.0で7.8ポイント改善。

 宅配以外の特積み貨物は、輸送数量がマイナス31.5で21.1ポイント悪化したものの、運賃・料金の水準は63.0で0.3ポイント改善。一方、売上高は輸送数量の減少から29.6と9.2ポイント悪化、営業利益も3.7で32.1ポイント悪化した。

 今後の見通しは、景況感がマイナス32.6で14.5ポイント悪化の見込みであるほか、実働率についてもマイナス9.5で4.6ポイントの悪化が見込まれている。

 採用状況についても、マイナス9.9となり、5.6ポイント悪化、雇用状況も100.2で9.4ポイントの上昇が見込まれることから、労働力の不足感は強まる。

 一般貨物では、輸送数量がマイナス12.5で7.4ポイント悪化、運賃・料金の水準も25.5で0.4ポイント悪化すると見込まれることから、営業利益はマイナス17.1で9.2ポイント悪化と見通している。

 宅配貨物は、運賃・料金の水準が40.0となり24.0ポイント悪化すると見込まれていることから、売上高は4.0で4.0ポイント悪化、営業利益については0.0となり、4.0ポイント改善する見込み。

田口社長が会見 適正運賃の収受進み10期連続営業利益増益に  セイノーHD

 セイノーホールディングスの田口義隆社長は17日、東京都千代田区のトラストシティカンファレンス・丸の内で2019年3月期決算説明会を開き、営業利益が10期連続で増益となったことを報告。物量が前年度を下回る一方、適正運賃収受が進んだことから収益性が向上したことを説明するとともに、今後はより高い利益率が見込めるロジスティクス事業にも注力していく方針を示した。

 同社グループの中核企業である西濃運輸では、適正運賃収受に力を入れており、10年タリフ換算で19年3月期は収受率62.1%と18年3月期に比べ3.1ポイント改善。20年3月期は収受率65.0%の目標を掲げ、7月をめどに運賃体系のリニューアルを行う。

 現在、運賃収受率62.1%未満の顧客は、全荷主約2万1千社の24.5%で、このうち65.5%が個建て運賃での契約が占める。

 新たな運賃体系では、顧客ごとにばらつきのある運賃を条件ごとにシンプルにまとめ一本化し、実質的な運賃適正化を図る。

 リニューアルの具体的な内容は、現在「運賃政策委員会」で詰めており、7月をめどに実施する。

 運賃の適正収受と併せ、今後は収益性の高いロジスティクス事業にも注力することとし、19年3月期に440億円だったグループのロジ事業の売上高を20年3月期には500億円まで引き上げる計画。

今週掲載トピック一覧

  • ☆各証券取引所上場物流企業の売上高・時価総額・ROE・ROAランキング

  • ☆2019年春の褒章
    ☆全ト協・日貨協連、WebKIT成約運賃指数は4月最高値の130に
    ☆トナミHDの綿貫社長が決算会見、19年3月期業績高く評価し従業員に謝意示す
    ☆三菱倉庫が関空で医薬品航空輸送の品質認証取得
    ☆国交省・経産省が「置き配検討会」、通販事業者の再配達把握度低く「意識せず」「必要ない」39%
    ☆JR貨物決算会見、災害で7年ぶり当期赤字も経営基盤強化進む
    ☆JR貨物がFL・関光汽船と連携し東京貨物ターミナルのICD活用で輸出小口輸送を開始
    ☆近鉄エクスプレスの鳥居社長が会見、新中期経営計画で売上高目標7200億円目指す
    ☆丸運の荒木社長が会見、20年3月期見込みは予断許さない状況
    ☆全流協定時総会で森会長がダブル連結トラックの課題としてPAの駐車スペース不足に言及、国交省に働きかけ
    ☆国交省が19年度のモーダルシフト等推進事業の募集開始、6月14日まで
    ☆関交協が理事会を開催、7億円黒字で累積赤字解消し3億円配当見込み
    ☆日貨協連、最新のIT技術活用したWebKIT2供用開始
    ☆国交省がシベリア鉄道を利用する貨物輸送に120万円上限に費用補助、実証事業の公募開始
    ☆各社の19年3月期連結決算

今週のユソー編集室

  • ▼宅配ボックスなどの製造・販売を行うナスタは、福岡市内の戸建て住宅に宅配ボックス千台を無償提供する実験を行った。
    ▼実験に関連して行ったアンケートからは、宅配便などの荷物が指定時間帯の中でいつ届くかわからないことで出掛けられないなどのストレスは、「スマートフォンを落として画面が割れた」と同程度と感じていることが分かった。
    ▼スマホの画面が割れるほどの大ごとということは、配送に対する要求がそこまで高まっている証しだが、「物流クライシス」以降、配達時間帯の幅はむしろ広がりつつある。
    ▼そのギャップを埋める方法の一つが、宅配ボックスなのだろう。普及に向けた環境整備が望まれる。

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