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2019年4月22日付 2745号

大型LNGトラックが1充填千キロメートルを走破し燃料多元化に向け前進 19年度もモニター走行継続へ  LEVO

 環境優良車普及機構(LEVO、岩村敬会長)は、2016~18年度の3年間、環境省の補助金を活用して、大型LNG(液化天然ガス)トラックと最適燃料充填(じゅうてん)インフラの開発・実証事業に取り組んできたが、このほど「1充填当たり航続距離千キロメートル超達成」などの実施結果を公表するとともに、19年度も運送事業者2社の協力の下、モニター走行の継続を決めた。

 開発・実証事業は、諸外国で普及が進んでいるLNGトラックの日本国内での実用化に向け、LEVO・いすゞ自動車・シェルジャパンが、環境省の補助金を活用して大型LNGトラックの開発や燃料充填のためのスタンド建設を行い、効果や課題検証を進めてきた。

 環境省の補助事業として採択された16年度は、大型LNGトラックとLNGスタンドの設計に関する検討を開始。17年度は、大型LNGトラックの試作車両1台を製作した上で評価を行い、その結果を反映したモニター車2台を製作し、営業ナンバーを取得するとともに、大阪市の南港でLNGスタンドの建設を開始した。

 18年度は、6月に南港のLNGスタンドの営業を開始し、佐川急便とトナミ運輸による公道試験をスタートさせた。

 試験走行では①1充填当たり航続距離千キロメートル超②高速走行を中心に2015年度重量車燃費適合ディーゼル標準車型比でCO2排出量10%程度削減③LNGスタンドの充填作業性確保―の目標が掲げられた。

 19年1月末までに、トナミ運輸の車両は66日間で3万2千キロメートルを走破。佐川急便の車両は、これを上回る76日間で4万4千キロメートルを走りぬいた。その結果、1充填で最長1158キロメートルの走行に成功。CO2排出量についても、走り方によっては20%近い削減を実現している。

 佐川急便とトナミ運輸からは、動力性能については既存の大型CNG(圧縮天然ガス)トラックと同等であるとの評価が得られたほか、燃料価格がCNGよりも安価であるなどの声が寄せられた。

 また、10分以内で燃料充填が行えることから、軽油の給油と同等の燃料補給時間が実現できる見込みであることがわかった。

 こうした結果を踏まえつつ、さらなるデータの上積みを図るため、LEVOは19年度もいすゞ自動車と共同で佐川急便とトナミ運輸によるモニター走行を継続することを決定。LNG燃料特性に関する技術課題や年間を通じた車両性能の確認などを行い、大型LNGトラックの市場形成につなげていく考えだ。

コンテナ輸送品質向上キャンペーンで18年度は22%改善効果 事故映像の活用等で  JR貨物

 JR貨物(真貝康一社長)はこのほど、昨年11月から本年1月まで取り組んだコンテナ輸送品質向上キャンペーンの結果を発表した。鉄道コンテナ輸送の品質向上を目的に、全国通運連盟、鉄道貨物協会との共同で11年度から開催しているもので、今回で8回目。

 それによると、19年2月までの年度累計の貨物事故発生率は0.262%となっており、前年度通期の0.336%と比較して0.074ポイント低下(22.1%改善)。キャンペーン開始前の10年度には0.6%近くあったことから、開始後の8年間で貨物事故発生率が半減するなど、効果が確認できた。

 同社では、DVD教材の制作配布や全国荷役作業競技会の開催、養生資材支援、ホームの舗装の修繕等の取り組みが効果を発揮したとの見解を示しており、特にDVD教材については、実際の事故の瞬間の映像を収録し、フォークリフトオペレーターに大きなインパクトを与え、正しい作業の重要性を再認識させたこと、フォークリフト各部の挙動やコンテナ内部映像を組み込み、各自の運転操作を見直すようにしたことなど、現場へのフィードバックに力を入れた結果としている。

 今後も引き続き危険品漏洩や点検・整備不良による事故の発生を未然に防ぐことを目的に、ISOタンクコンテナの管理高度化や、危険品を品目検索できるアプリの試験運用などの改善策を検討し、関係者一体となって、さらなる輸送品質向上を目指していく。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって『吉』か『凶』か(122)『足元の日本経済は堅調なのか(その3)』
    ☆四文字 『変化する「経営理念」』
    ☆日中ビジネスワンポイント(186)『東西文化の十字路トルコへの旅(3)』

  • ☆日通仙台支店が卸町物流センター増築竣工、同社東北エリア最大級
    ☆国交省が佐川急便とJR北海道の貨客混載事業を物効法認定、複数の旅客モード(鉄道、タクシー)の組み合わせは初
    ☆LEVOの中小トラック運送事業者へのトラック導入補助、天然ガス大型トラックも補助対象に
    ☆セイノーHDが自治体と初の包括連携協定締結、北海道の活性化後押しへ
    ☆住友倉庫が飼料添加物の流通業務で物効法に認定、住友化学・四国開発フェリーとの3社共同で
    ☆全ト協が7月1~12日に「2019年度貨物自動車運送事業安全性評価事業」の申請受け付け、HPで案内始まる
    ☆ヤマトHDが19年3月期業績予想をいずれも下方修正、海外関連会社の投資損失等一時的費用増で
    ☆YTMがマレーシアで日野と連携し安全運転研修プログラムを開始、コンテンツ提供
    ☆フジテックスが荷主と倉庫事業者つなぐマッチングサービス紹介、セミナーと会社説明会開催
    ☆LEVOの岩村会長が記者懇談会で創立20周年は「関係者の支援のおかげ」と感謝
    ☆物流連の春学期寄附講座、2大学で相次ぎ開講
    ☆アートが「ご成約でもれなくもらえるミッキーマウス90周年記念デザイン・アートオリジナルボトル」プレゼントキャンペーン開始
    ☆総務省統計局が17年サービス産業動向調査、「運輸業、郵便業」は事業者数4.2%減少

今週のユソー編集室

  • ▼いよいよ本号が平成最後の紙面となる。あらためて平成時代を振り返って見ると、一般社会はもとより、物流業界においても、やはり大きな変革の時代だったと言える。
    ▼懸念されていたドライバー不足が顕在化し、荷主との関係性が変化しつつあることに加え、IT技術の進展によって業務の進め方や考え方が革命的に変化した。東日本大震災をはじめとした数多くの自然災害に見舞われ、ライフラインとしての物流に注目が集まるなど、社会の見方も変化している。
    ▼ただ、どれだけ社会環境が変わろうとも、物流が人々の希望を乗せて走り続けることだけは、今後もずっと変わらないに違いない、と強く思う。

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