大型LNGトラックが1充填千キロメートルを走破し燃料多元化に向け前進 19年度もモニター走行継続へ LEVO
環境優良車普及機構(LEVO、岩村敬会長)は、2016~18年度の3年間、環境省の補助金を活用して、大型LNG(液化天然ガス)トラックと最適燃料充填(じゅうてん)インフラの開発・実証事業に取り組んできたが、このほど「1充填当たり航続距離千キロメートル超達成」などの実施結果を公表するとともに、19年度も運送事業者2社の協力の下、モニター走行の継続を決めた。
開発・実証事業は、諸外国で普及が進んでいるLNGトラックの日本国内での実用化に向け、LEVO・いすゞ自動車・シェルジャパンが、環境省の補助金を活用して大型LNGトラックの開発や燃料充填のためのスタンド建設を行い、効果や課題検証を進めてきた。
環境省の補助事業として採択された16年度は、大型LNGトラックとLNGスタンドの設計に関する検討を開始。17年度は、大型LNGトラックの試作車両1台を製作した上で評価を行い、その結果を反映したモニター車2台を製作し、営業ナンバーを取得するとともに、大阪市の南港でLNGスタンドの建設を開始した。
18年度は、6月に南港のLNGスタンドの営業を開始し、佐川急便とトナミ運輸による公道試験をスタートさせた。
試験走行では①1充填当たり航続距離千キロメートル超②高速走行を中心に2015年度重量車燃費適合ディーゼル標準車型比でCO2排出量10%程度削減③LNGスタンドの充填作業性確保―の目標が掲げられた。
19年1月末までに、トナミ運輸の車両は66日間で3万2千キロメートルを走破。佐川急便の車両は、これを上回る76日間で4万4千キロメートルを走りぬいた。その結果、1充填で最長1158キロメートルの走行に成功。CO2排出量についても、走り方によっては20%近い削減を実現している。
佐川急便とトナミ運輸からは、動力性能については既存の大型CNG(圧縮天然ガス)トラックと同等であるとの評価が得られたほか、燃料価格がCNGよりも安価であるなどの声が寄せられた。
また、10分以内で燃料充填が行えることから、軽油の給油と同等の燃料補給時間が実現できる見込みであることがわかった。
こうした結果を踏まえつつ、さらなるデータの上積みを図るため、LEVOは19年度もいすゞ自動車と共同で佐川急便とトナミ運輸によるモニター走行を継続することを決定。LNG燃料特性に関する技術課題や年間を通じた車両性能の確認などを行い、大型LNGトラックの市場形成につなげていく考えだ。