中期経営計画2023発表、経常利益140億円以上へ 「挑戦と変革」強調 JR貨物
JR貨物(真貝康一社長)は3月29日、中期経営計画2021(17~21年度)のローリングとなる中期経営計画2023(19~23年度)を発表した。鉄道を基軸とした総合物流企業グループなど、旧計画で掲げた目指す姿は維持した上で、災害対応や技術革新といった2年間の環境変化を反映させ、最終年度に経常利益140億円以上の達成を目指す。
重点戦略には①総合物流企業への進化②新規事業・新技術へのチャレンジ③鉄道貨物輸送の役割発揮とさらなる収益性の向上④新たな成長へ向かう不動産事業の展開⑤経営基盤の強化―を掲げた。
①では、レールゲート(RG)の全国展開に加え、駅構内におけるトラックとコンテナの積替施設(積替ステーション)や駅構内・駅付近(駅ナカ・駅チカ)倉庫など、駅附帯施設を整備し、一般のトラックでも利用できる、鉄道コンテナ輸送のプラットフォームを確立する。
②では、鉄道ロジスティクス、不動産に次ぐ第3の柱の構築を目指し、JR貨物の強みを発揮できる社会課題解決型事業に積極的に挑戦することとし、事業のアイデア例として保有する土地を活用した農産品生産・販売事業などを挙げた。
また、構内トラックの無人化やフォークリフト操作の遠隔化・自動化など、貨物駅作業の大幅な省力化に取り組んでいく。
③では、専用列車の新設や定温輸送コンテナの導入、スマホアプリによるコンテナ持ち込み時刻の事前予約機能導入、コンテナ予約システムへのキャンセル待ち機能追加など、商品力の充実化を図っていくほか、積合せ貨物・食料工業品・静脈物流などへ戦略的な営業を展開。災害対応として、代行輸送力手配・情報発信・輸送機材や要員の確保・大型コンテナの輸送承認フローの見直しなどに取り組む。
設備投資は5年間で2080億円を計画。うち東京RGを含む成長・戦略投資分として980億円を掲げた。最終年度の目標数値は左上表のとおり。
真貝社長は新中計について、新たに制定したグループ経営理念のブランドメッセージとして掲げた『挑戦と変革』によって、「顧客の期待に応え、鉄道を基軸とした総合物流企業グループを目指す」と強調。また、利益を生むための投資を重視する姿勢も示した。
◆JR貨物の19年度事業計画 売上高1656億円の18年度見込み比109億円増、営業利益112億円の88億円増、経常利益97億円の88億円増、当期純利益68億円の95億円改善を計画。鉄道事業は売上高1478億円の133億円増、営業利益は7億円の87億円改善。
鉄道事業では九州向けの輸送力増強、定温輸送など新たな取り組み拡充や収支改善策を実施するほか、駅業務のシステム化による効率化などに取り組む。