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2019年4月1日付 2742号

インタビュー (株)丸運 代表取締役社長 荒木 康次氏
"全員参加"がキーワード 改革の成果着実に 丸運イノベーション

 長期ビジョンで年2%以上の成長を掲げ、各種のイノベーションを推し進める丸運。その現在位置と今後の展開を荒木康次社長に聞いた。聞き手 本紙編集委員・上原里智男

―丸運イノベーションの進捗状況は。

 丸運イノベーションは、第2次中期経営計画がスタートした2017年度からの10年間で、売上高や経常利益、従業員や顧客満足度、労働生産性や年間総労働時間など、さまざまな指標において20%以上の成長を目指す長期ビジョンを支えるアプローチとして、17年度から取り組みを開始したもので、『ビジネス』『マインド』『コスト』『システム』の四つの分野でイノベーションを実現しようとするものです。

 取り組み開始から2年が経過しましたが、それぞれの項目を着実に進めており、成果が出始めているものもあります。ただ、この取り組みは、成果が出たから終わりなのではなく、永遠に追求していくべき取り組みだと考えています。

 ビジネスイノベーションでは、これまで拠点の再編成や静岡石油輸送の株式取得、運賃改定、鉄道利用運送(通運)事業の見直し、丸運青春応援便の本格展開など、今後もさまざまなことを行っていきます。

 そしてビジネスイノベーション実現に欠かせない大きな要素の一つが、マインドイノベーションです。

 それまでの当社は、既存のお客さまに誠実にサービスを提供する"防衛型営業"を得意とする反面、新規のお客さまを獲得する力は弱く問題でした。そこで意識を転換して"攻撃型営業"を行えるよう施策を講じてきました。ようやく今、その芽が出てきて、新しい物流を求めているお客さまに対して、提案営業ができるようにまで育ってきました。

 例えば、大型の水道施設の建築や設備の製造・設置を行う企業に対して、当社の倉庫で資機材や部材を一括で保管・管理しながら、必要に応じて現場に供給するソリューションビジネスを開始し、通年でビジネスパートナーとしてニーズに応えていく形としました。
 経営目標の作成についても、今までは積み上げ式で行っていましたが、そのやり方では成長曲線を維持できません。先に成長目標を設定して、目標を達成するために何をすべきか、個人レベルまで落とし込んで考えさせるようにしました。他社ではすでに実行していることでしょうが、目標設定から行動まで、それらをPDCAサイクルで確認・検証する流れについて、かなりできるようになってきたと思います。

インタビューの続きは電子版かコンビニプリントサービスでお読みいただけます。

日通ヤマトなど4社参加、関東~関西で共同輸送開始 SF25の出発式開催  全流協

SF25を前にテープカット

 全国物流ネットワーク協会(森日出男会長)は3月28日、大阪府茨木市のヤマトグループ関西ゲートウェイ(GW)で、ダブル連結トラックの出発式を開催し、会員の日本通運(齋藤充社長)、ヤマト運輸(長尾裕社長)、西濃運輸(神谷正博社長)、日本郵便(横山邦男社長)の4社共同幹線輸送を開始した。

 2016年9月に国土交通省が「ダブル連結トラック実験協議会」を設立し、車両長の基準を最大25メートルまで緩和する実験を実施。全流協は17年7月に「スーパーフルトレーラ(SF25)の共同利用を考える研究会」を立ち上げ、1年半にわたり協議してきた。18年10月には石井啓一国土交通大臣に車両長基準緩和について提言し、本年1月29日に国交省は車両長基準を規制緩和した。

 共同輸送は、各社の拠点から輸送された荷物を関西と厚木の両GWでヤマト運輸のトレーラと連結して、両GW間を相互に運行する形で行われる。平日の運行を想定しており、両拠点から1日に各社とヤマト運輸のトレーラを連結したSF25を3運行ずつ計6台、週30運行する。将来的には、西は福岡、北は仙台まで延伸する予定。参加企業は会員以外にも拡大を図る。

 共同輸送はドライバー不足やCO2排出量等の課題解決につながることが期待される。ドライバーの研修は、愛知県トラック協会が実車・整備および教材の準備など12時間におよぶ研修を担当した。特殊車両で、運行には通行許可証が必要だが、ドライバーは大型トラックの免許・研修で運転可能。カーブ時には、ステアリング機能が働き、後部のトレーラは前のトラックとほぼ同じ軌跡をたどるなど、安全面にも配慮している。

 出発式には、日本通運の佐久間文彦取締役常務執行役員首都圏支店長、ヤマト運輸の福田靖執行役員ネットワーク事業開発部長、西濃運輸の小森紳司専務取締役、日本郵便の山本龍太郎常務執行役員らが出席した。

 冒頭あいさつした森会長は、「人材の効率化、車両の有効活用の観点から、まさしく大きな効果が出る。引き続き取り組みを実行しながら検証を進め、より多くの企業が参加できるような仕組みを作っていく」と語った。

 来賓あいさつした国交省総合政策局の山田輝希物流政策課長は、全流協はじめ4社の取り組みについて「改正物流総合効率化法の趣旨に即したもの。これまで以上にSF25を含めた支援をしていく」と述べた。

今週掲載トピック一覧

  • ☆主な物流企業の2019年度新卒新入社員数

  • ☆日通、15日付本社組織改正と新役員体制
    ☆国交省・経産省が再配達の削減に向け「置き配検討会」設置
    ☆物流連の田村会長が記者会見、物流の生産性向上へ荷主のコミットメントが必要
    ☆全国通運の杉野社長が記者会見、冷凍コンテナマッチング輸送など協議会活動が成果
    ☆三菱倉庫が新中期経営計画「2019-2021」を策定、売上高目標2400億円
    ☆ヤマト運輸がDHL子会社と開発した日本初の宅配用EVトラックの購買契約締結、19年度中に500台導入
    ☆佐川急便、西日本銀行の取引企業向け在庫品の再流通へ、新サービス開始
    ☆センコーが帝人とICタグを使った商品の入出荷システムを共同開発、大分市で本格的な運用開始
    ☆カンダHDが神田に新本社竣工、3月22日に披露
    ☆国交省トラックの手待ち時間改善へ集合住宅棟と戸建てで個別の分科会設置
    ☆全ト協が18年の発生地別交通事故統計分析公表、1万台当たりの死亡事故は「2.0」に
    ☆国交省が「スワップボディコンテナ車両利活用促進に向けたガイドライン」公表
    ☆国交省が「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会」開く、ICT活用した運行管理マニュアルを夏までに策定・公表
    ☆国交省が荷主企業など対象にシベリア鉄道活用貨物輸送PR、航空より廉価で船舶よりリードタイムが短い第3の輸送手段として
    ☆国交省が「総合物流施策推進プログラム」99施策の検証、「ホワイト物流国民運動の展開」など7施策追加

今週のユソー編集室

  • ▼国土交通省と経済産業省は、宅配の再配達を削減するための一環として、玄関前や自転車のかごなどに荷物を届ける「置き配」の促進に向けた検討を開始した。
    ▼化粧品・サプリメント商品の開発・製造・販売を手掛けるファンケルでは、1997年から「置き場所指定お届けサービス」を展開し、現在通販での利用率は30%に達している。しかも、これまでに盗難などのトラブルはほとんどないという。
    ▼日本の治安の良さを背景にしたシステムだが、今後、置き配の認知度が高まると、よからぬやからのターゲットになりかねない。
    ▼経験則と性善説に基づくシステムは、必ずしも絶対でないということを忘れてはならない。

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