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2019年2月18日付 2736号

18年10~12月の景況感を公表 売上高増加が寄与し判断指標10ポイント改善、今後は悪化の見込み  全ト協

 全日本トラック協会(坂本克己会長)は12日、2018年10~12月期のトラック運送業の景況感(速報)を公表。労働力の不足感が一段と強まったものの、働き方改革への対応や人材定着に関する意識向上を背景に、所定外労働時間が減少傾向となる一方、売上高の増加が寄与することで、営業利益・経常損益は改善し、景況感の判断指標はマイナス4.8で前回(7~9月期)から10.0ポイント改善している。なお、今後の見通しは、労働力不足による人件費上昇、燃料価格の高止まりなどが影響し、判断指標は今回から7.9ポイント悪化し、マイナス12.7となる見込み。

 18年10~12月期は、「好転」とした事業者が22.9%、「悪化」が25.5%で判断指標はマイナス4.8となり、7~9月期から10.0ポイント改善。

 実働率は、7.5で10.4ポイント改善、実車率は5.4で2.9ポイント改善し、前回と比較して輸送効率が改善している。

 採用状況は、マイナス4.9と2.8ポイント上昇したが、雇用状況は96.4と3.5ポイント上昇し、不足感が強まっている。

 所定外労働時間は、マイナス11.0で1.8ポイント減少し、貨物の再委託(下請け運送会社への委託割合)は0.8となり、3.8ポイント減少。

 一般貨物の輸送数量は4.7で3.9ポイント改善、運賃・料金の水準は28.2で7.4ポイント改善したことから、売上高は12.7で10.5ポイント改善し、営業利益もマイナス14.4で13.2ポイント改善。

 宅配貨物の輸送数量は、マイナス41.2で26.0ポイント悪化、運賃・料金の水準も35.3で31.4ポイントの大幅悪化。これにより、売上高はマイナス11.8で8.8ポイント悪化、営業利益もマイナス11.8で8.8ポイント悪化している。

 宅配以外の特積み貨物は、輸送数量がマイナス10.4で38.3ポイント悪化、運賃・料金の水準は62.7で2.9ポイント悪化したことから、売上高は38.8で8.7ポイント悪化。一方で、実車率改善などにより、営業利益は35.8で7.9ポイント改善した。

 今後の見通しは、景況感がマイナス12.7で7.9ポイント悪化の見込みであるほか、実働率についてもマイナス1.4で8.9ポイントの悪化が見込まれている。

 採用状況についても、マイナス9.7となり、4.8ポイント悪化、雇用状況も108.0で11.6ポイントの上昇が見込まれることから、労働力の不足感は強まる。

 一般貨物では、輸送数量がマイナス2.1で6.8ポイント悪化、運賃・料金の水準も22.6で5.6ポイント悪化すると見込まれることから、売上高は4.2で8.5ポイント悪化、営業利益はマイナス19.5で5.1ポイントの悪化と見通している。

 宅配貨物は、運賃・料金の水準が29.4となり5.9ポイント悪化するものの、輸送数量がマイナス35.3で5.9ポイント改善することから、売上高・営業利益ともマイナス8.8となり、いずれも3.0ポイント改善する見込み。

久喜センターを増築し3PL機能を強化、働きやすさも追求  トナミ運輸

久喜流通センターの外観、左側が増築部分

 トナミ運輸(綿貫勝介社長)は12日、埼玉県久喜市の同社久喜流通センターの増築を竣工、営業を開始した。今後既存施設のレイアウト変更などを行った上で、3月中にも本格稼働となる見通し。

 同センターは、圏央道白岡菖蒲インターチェンジに隣接する久喜市菖蒲町三箇に所在。鉄骨造地上3階建て・延べ床面積9100平方メートルの規模。特積みと3PLの両機能を持つ関東圏の中核的物流拠点の一つとして2017年7月に稼働したが、近年の物流ニーズの高まりから増築を決定、昨年5月に着工した。

 増築部分の規模は鉄骨造地上3階建て・延べ床面積5560平方メートルで、これにより全体の延べ床面積は14万660平方メートルと従来比1.6倍に拡充した。増築2階部分には、夏季・冬季の労働環境に配慮した空調スペースが設けられ、既存施設の流通加工場を移設することで、女性スタッフの多い同業務の働きやすさを追求し、労働環境と作業効率の改善によって生産性と採用環境の向上を図った点が特徴。また増築2階・3階部分は既存施設と接続して作業性を高め、増築1階部分は車両移動スペースとして機動性を高めている。このほか全館LED照明を採用するなど、環境にも配慮した。

 同日現地で行われた内覧会に出席した綿貫社長は「(圏央道エリアは)物流需要の高い地域であり、立地利便性を生かして3PL事業を拡大していきたい」と抱負を語るとともに、すでに新規需要で増築部分がほぼ埋まる予定であることも明らかにした。

今週掲載トピック一覧

  • ☆物流応援歌(11)『一帯一路戦略と中欧班列の位置付け~中欧班列への懸念(問題点)』
    ☆ウォッチ(93) 『「力強い国内消費市場の形成」に向けたサプライサイド改革施策』
    ☆人物ウィークリー、(一社)東京都トラック協会・青柳保之副会長

  • ☆日立物流の中谷社長が次期中計の考え方語る、SC構造の転換見据え協創領域拡大へ
    ☆国交省が第2回共同物流研究会開催、荷主連携では商慣行などが障壁に
    ☆JP労組が中央委、同一労働同一賃金や65歳定年制の実現目指す
    ☆JR貨物・真貝社長、経常利益12億円の達成へ全社挙げて取り組む構え
    ☆テルウェル東日本アメニティフォーラム、繁忙期控え実務者研修会開く
    ☆JR貨物、日建リースの「魚活ボックス」利用した活魚の試験輸送実施
    ☆日立物流、電子タグを活用したSC情報共有システムの実証実験に本年も協力
    ☆埼玉県警、大宮駅東口で県内初となる集配車の駐車規制緩和
    ☆埼玉ト協、埼玉DMATに対して災害医療チーム用車両を寄贈
    ☆エスライン、グループ2社に電気トラック導入
    ☆名鉄運輸、都内で小型電気トラック5台導入
    ☆物流連、大阪で初の物流業界研究セミナー開催
    ☆国交省、内航フェリーやRORO船の活性化に向けた協議の場設置へ
    ☆物流各社の第3四半期連結決算

今週のユソー編集室

  • ▼国土交通省が全国で開催している「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたセミナー」が盛況だ。最初に開催を決めた5都市6会場は、いずれもほぼ満席。追加開催を決めた4都市についても、申し込みが活発だという。
    ▼対象は、運送事業者と荷主だが、事務局に問い合わせたところ、荷主の参加割合が、これまでの同種のセミナーに比べ格段に増えているという。
    ▼労働力不足でトラックの確保が難しくなっていることに加え、貨物自動車運送事業法の改正により、荷主の協力が不可欠な状況が迫っていることへの危機感の表れだろう。
    ▼これを機に、「真のビジネスパートナー」になってほしい。

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