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2018年12月3日付 2727号

ダブル連結トラックの実験結果を踏まえて、来年1月本格導入 12月中にパブコメ実施  国交省

 社会資本整備審議会道路分科会基本政策部会物流小員会は11月30日、東京都千代田区の国土交通省で第17回会合を開き、ダブル連結トラックの新東名高速での実験結果を報告するとともに、来年1月からの本格導入に向けて12月中に許可要件の改正案などについてパブリックコメントを募集することを決めた。

 ダブル連結トラックは、2016年11月に新東名高速を中心とする区間で走行実験を開始し、全長21メートル車両3社9台、23メートル車両1社1台、25メートル車両3社4台で安全性の検証などを行ってきた。

 カーブ区間での走行安全性については、左右加速度は大型トラックと同程度で、実験期間中21メートル超車両での急ブレーキは発生していない。

 回転性能については、中間台車の「ドーリー」や、最後部車輪のステア機能などにより、最小半径が9.6~10.3メートルとセミトレーラーの11.3メートルより小さく、車両制限令の定める12メートルに問題なく収まることが確認された。

 重量超過については、車載型自動軸重計測装置(OBW)などで確認した結果、軸重が10トン以内に収まり、総重量に関しても44トン以内だった。

 本線合流部での交通流への影響については、道路構造令に定められた加速車線長が確保されていれば、21メートル超車両が本線を走行している場合でも他車両への影響は小さいが、21メートル超車両が2台連続して走行した場合には、他車両が合流する余地が少なくなることで車間が詰まり、急ブレーキ発生の確率が高まるとされた。

 休憩施設については、一部サービスエリア内に25メートル車両用の専用駐車マスを用意したものの、他の車両が駐車していることが多く、約1割程度しか利用できなかった。

 実験結果を踏まえ、来年1月からの本格導入では、要件に2台以上のダブル連結トラックの連続走行(連行)禁止などを新たに盛り込む。

 車両安全技術については、実験と同様の16装備を求めるが、OBWについてはコスト面でのハードルが高いことを考慮し、当面は発着地での重量計による計測を認める。

 運転者については、「大型自動車運転業務に直近3年以上従事、大型免許3年以上保有かつ牽引免許1年以上保有」の場合、12時間の実技訓練実績と3年間無事故無違反であることなどを証明できる書類を携行することを義務付ける。12時間の実技訓練では①車両特性・車両感覚の習得②右左折時の車両挙動・軌跡等の把握(各4時間)③被牽引車の荷重変動・ブレーキ体験(2時間)④後退時の動き・軌跡・フロントオーバーハングの把握(1時間)―などを行うよう求める。

 第17回会合では、自動車運搬用車両について、最大車両長17メートルに対し、積載車両が1メートルはみ出した状態でも特殊車両通行許可の対象とする新たな規定を設定することが承認された。

 いずれも12月中にパブリックコメントの募集を行い、ダブル連結トラックについては、来年1月からの本格導入を目指す。

 第17回会合ではこのほか、来年3月の重要物流道路の第1次指定に向け、現在各地方での調整・検討が進められていることなどが報告された。

 重要物流道路については、高規格幹線道路や直轄国道などの既存道路を来年3月までに第1次指定し、夏以降計画路線を追加する。

IoTで人と車の状態把握する「スマート点呼」を開発 19年度に実用化へ  ヤマトオートワークス

 ヤマトオートワークス(YAW、江頭哲也社長)はこのほど、IoT技術を活用してドライバーと車両の状態を一元的に管理する、トラック運送事業者向けの新サービス「スマート点呼」を開発、2019年度中の実用化に向けて、実証実験に取り組むと発表した。YAWはこれまで、会員事業者向けに車両整備や保険・燃料の販売などを行ってきたが、より直接的な業務支援に乗り出す構えだ。

 「スマート点呼」の機能は、ドライバーのアルコール基準値や体温・血圧・心拍数、車両の故障診断・タイヤ空気圧といったデータをIoT機器で計測し、運行管理者の端末に自動送信することで、人と車の迅速正確な状態把握を可能とし、収集したデータをもとに点呼記録簿を自動作成するもの。さらに運行後の車両の故障情報を、スマートフォン経由でYAWの基幹システムと連携させることで、不調があった場合は翌日の運行前に整備を行い、路上故障を未然に防ぐことも可能となる。

 江頭社長は、すでに実験の第1段階は終了し、タイヤの空気圧データの把握による故障防止などで効果を確認していることなどを明らかにした上で、東京近郊で第2段階の実験を行い、早期の実用化を目指していく考えを示した。

 また、「スマート点呼」サービス単体の場合、YAWの非会員にも販売していく方針とし、IoT機器のリース販売も行うなど導入に係る事業者側の負担を軽減することで、サービスの導入促進と「事故のない社会」の実現に寄与していくと強調した。

 なお、同サービスはビジネスモデル特許、PCT(国際特許)、商標出願中。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって『吉』か『凶』か(113)『消費税増税はアベノミクス終焉の引き金に(その1)』
    ☆四文字 『週休2日制の「実施意向」』
    ☆人物ウィークリー、(一社)東京都トラック協会・佐藤雄平副会長

  • ☆変革進むヤマト運輸の宅急便ネットワーク、主管・ベースの分離で顧客と社員に近く 二つの改革を加速
    ☆建荷協が特自検強調月間展開、巡回指導を実施
    ☆物流連がモーダルシフト取り組み優良事業者表彰式開催
    ☆エコモ財団がシンポジウム開催し「エコドライブコンクール」表彰式行う、国交大臣賞にロジパルエクスプレス
    ☆国交省の奥田自動車局長が会見、改正事業法成立後は関係団体の意見踏まえ適切に運用
    ☆SBSHD、第3回ドライバーコンテスト開催
    ☆SBSフレックネットが第2回発表会を開催、最優秀賞は仙台センターに
    ☆関東交通共催協組が理事会に併せて受賞者記念品贈呈式開催、国交大臣表彰者ら7人へ
    ☆日通総研、倉庫・工場内のフォークリフトの稼働状況可視化やフォークリフトの台数を算出するサービス「ろじたんフォーク」を提供開始へ
    ☆YAWがスーパーワークス東大阪工場の竣工式、安全性さらに追及
    ☆通運連盟、鉄道インフラの強靭化求め石井国交大臣に要望書提出
    ☆佐川急便が北海道初の乗用タクシーで貨客混載、11月21日から
    ☆国交省が「共同物流等の促進に向けた研究会」で実現のポイントや必要な支援策など把握
    ☆各労連本部集約、年末一時金の妥結状況

今週のユソー編集室

  • ▼国土交通省は、「共同物流等」の促進に向けた検討会を立ち上げ、改正物流効率化法に基づく計画認定で、モーダルシフトや輸送網集約に比べて認定件数の少ない共同輸配送に関する阻害要因などの把握に動き始めた。
    ▼新たな取り組みには、多かれ少なかれ障壁が存在するものだが、乗り越えなければ先に進むことはできない。
    ▼先日開かれた日本物流団体連合会のモーダルシフト優良事業者表彰式における田村修二会長の「従来は難しいと思われてきた輸送についても工夫を重ね、実現する必要性が高まっている」との言葉には、労働力不足で効率化が求められる中、新たな輸送に取り組むことの重要性を的確に表している。

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