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2018年11月26日付 2726号

インタビュー 日本生産技能労務協会 道上良司物流部会長(SGフィルダー代表取締役)
物流人材派遣の働き方改革 生産性向上へ人材育成と労務管理一層重要に

 働き方改革関連法が6月に成立し、来年4月から時間外労働の上限規制・年次有給休暇の確実な取得などの改正法が順次、施行される。人手不足の難題に直面している物流業界では、安定的に人材を確保できる人材派遣へのニーズは一層高まっていくことが予想されている。今回、物流現場への人材派遣事業『物流人材サービス業』を展開している派遣元企業が加盟する日本生産技能労務協会・物流部会の道上良司部会長に、改正法下で想定される課題などについて聞いた。

――来年4月からの改正法の影響は。
 物流部会加盟各社で中心となる「物流センター」への人材派遣を例にお話しさせていただきますと、物流センターを運営する派遣先企業では、これまで以上に物流センター運営において、労務管理の徹底・生産性向上の取り組みが必要になってくるかと思います。

 時間外労働の上限規制が導入されますと、現状の体制のままでは必ずしも同じ業務量をこなせない可能性が高まります。物流センター運営は、季節性などの物量変動による波動性が高い上に、突発的な業務が入ることも多い現場ですから、上限規制の強化によって瞬間的に必要人員を確保できないなどのケースが発生することが想定されます。

 さらに、毎年5日・時季を指定し与える年次有給休暇の確実な取得も義務化されますので、計画的な人員確保が今後、さらに重要となってくるでしょう。

インタビューの続きは電子版かコンビニプリントサービスでお読みいただけます。

貨物自動車運送事業法改正案を了承、今国会での成立を  自民党トラック議連

 自由民主党トラック輸送振興議員連盟(細田博之会長)は20日、東京都千代田区のビジョンセンター永田町で総会を開き、貨物自動車運送事業法の改正案を了承。全日本トラック協会(坂本克己会長)の悲願であり、日本経済・国民生活を今後も持続させていく上で不可欠ともいえる事業法改正について、今国会での成立を目指し結束していくとの方針を確認した。

 冒頭あいさつで細田会長は、トラック運送業界はドライバー不足や長時間労働の常態化などの問題に直面しており、働き方改革が急務となっていることを説明した上で、それら課題の解決に必要な事業法改正に向けた関係省庁・団体との調整を進めてきたことを報告。

20日の議連総会までに改正案が取りまとまったことから、今臨時国会での成立に向け、議連一丸となって取り組んでいくとの姿勢を強調した。

 全ト協の坂本会長は、事業法改正はドライバーの処遇改善が主な目的であると、あらためて訴えた上で、「働き方改革関連法案による時間外労働上限規制の自動車運送業への適用猶予期間の5年間すら待っていられない。今すぐにでも労働条件を改善したい」と述べ、今国会での成立に向けて協力を求めた。

 示された改正案は①規制の適正化②事業者が遵守すべき事項の明確化③荷主対策の深度化④標準的な運賃の告示制度の導入―からなっており、標準的運賃の告示制度などについては、2023年度末までの時限措置を想定している。

 規制の適正化では、法令違反事業者に対する欠格期間を現行の2年から5年に延長するほか、処分逃れを行った事業者の参入制限や許可基準の明確化などを行う。

 また、原則として運賃と料金を分けて収受するよう約款の認可基準を明確化する。

 荷主対策の深度化については、荷主にトラック事業者が法令を遵守できるよう配慮義務を新たに課すほか、国土交通大臣による荷主への働きかけなどの規定を新設する。

 規定については23年度末までの時限措置として、トラック事業者の違反原因となる恐れのある行為を荷主が行っている疑いがある場合、国土交通大臣が関係行政機関の長と当該荷主の情報を共有するとともに、荷主に理解を得るための働きかけを行う。

 また、荷主の疑いに相当の理由がある場合には、国土交通大臣が関係行政機関と協力して荷主に要請を行い、要請後も改善されない場合には、荷主への勧告と社名公表を行う。

 さらに、荷主の行為が独占禁止法違反の疑いがある場合には、公正取引委員会に通知する。

 標準的な運賃の公示制度については、国土交通大臣が標準的な運賃を定めて告示できる制度を23年度末までの時限措置として新設する。

 このほか事務局から改正案の取りまとめに関して、関係行政機関のほか、日本経団連や日本商工会議所にも了承を得ていることなどが説明された。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集、日本通運中部警送支店が警送年末防犯訓練大会開催
    ☆四文字 『女性運転者の「職業選好」』
    ☆人物ウィークリー、全日通労組・須藤栄一郎中央書記長

  • ☆SBSロジコムが東京都大田区の施設を長期賃借、リコーロジと初の協業倉庫に
    ☆第一貨物が札幌支店の竣工披露式開く、荷捌ホーム1.2倍に拡張しホーム両面をインドア化
    ☆日通が「第1回引越作業コンテスト」開催、優勝は北見チームに
    ☆物流連、来年2月3日に関西で初の物流業界研究セミナーを開催
    ☆SGHDが大規模災害を想定した事業継続の訓練実施、過去最多の193人が参加
    ☆ヤマト運輸、PUDOステーションで「らくらくメルカリ便」の発送可能に
    ☆国交省が「ASEANスマートコールドチェーン構想検討会」開催、重点国5ヵ国決定
    ☆国交省が「共同物流等の促進に向けた研究会」開催、労働力不足への対応強化
    ☆日通、東京ディズニーリゾート35周年の引越キャンペーン開始
    ☆JR貨物が荷役作業競技会開く、優勝はJR貨物・中国ロジスティクスの秦選手に
    ☆東ト協紙パ専門部会が合同研修会を開催

今週のユソー編集室

  • ▼日本物流記者会が毎年選定・表彰している「物流人間大賞」に、本年はJR貨物の石田忠正取締役相談役が受賞した。
    ▼功績事項などは本紙の記事を参照してもらうこととして、氏が受賞のあいさつで語っていた、こんな言葉にはっとさせられた。
    ▼「災害時には、国や地方自治体の力が発揮され、道路・港湾・空港・河川、いずれも直ちに復旧される。だが、鉄道だけは自前で復旧することとされており、非常に不思議に思う」。
    ▼山陽線の不通を意識した発言だが、トラックドライバー不足の折、鉄道貨物の長期の不通は、全国の物流に多大な悪影響を及ぼす。鉄道貨物は戦略的インフラであり、強靭化に国の関与は不可欠だ。

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