車線維持支援併用のトラック隊列走行、世界初のシステム実験へ 12月に新東名で 国交省
国土交通省と経済産業省は17日、「高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業」の一環として、11月6日から上信越自動車道、12月4日から新東名高速道で、「協調型車間距離維持支援システム(CACC=Cooperative Adaptive Cruise Control)」などを活用したトラック隊列走行の後続車有人システムの公道実証を行うと発表した。12月の新東名高速では、CACCに加えて新たな技術として「車線維持支援システム(LKA=Lane Keep Assist)」を追加した世界初のシステムで実証実験を行う。
両省では、移動革命の実現に向けた取り組みの一つである高速道路でのトラック隊列走行について、早ければ22年の商業化に向けて、20年に新東名高速での後続車無人での隊列走行を目指している。
昨年度は、世界初となる国内メーカー4社が開発したトラックによるCACCを用いた高速道路での後続車有人システムの実証実験を開始。本年度は、走行距離拡大と高低差・トンネルなどの多様な道路環境での技術検証を行うために11 月6日から上信越自動車道藤岡ジャンクション(JCT)~更埴JCT間で後続車有人システムの実証実験を行った後、12月4日から新東名高速道路浜松サービスエリア~遠州森町パーキングエリア(PA)間で、CACCに加えてLKAを追加した世界初のシステムの実証実験を行う。
新システムでは、CACCにより通信で先行車の制御情報を受信し車間距離を一定に保つとともに、LKAにより道路の白線をカメラで認識しステアリングを自動制御することで、車線に沿った走行がしやすいように運転を支援する。
実証実験ではトラック隊列が周辺走行車両の乗員からどのように認識されるか(被視認性、印象など)や、トラック隊列が周辺走行車両の挙動(追い越しなど)におよぼす影響なども確認する。
いすゞ自動車と日野自動車も17日、この実証実験に参加すると発表。
日野自動車は、ドライバー不足をはじめとする物流業界の抱える課題解決に貢献すべく、技術開発をはじめさまざまな取り組みを行っており、隊列走行も有効な手段の一つであるとして、社会インフラの整備状況や社会受容性なども勘案しながら、実現可能なものから段階的な実用化を進めている。
また、前後・左右方向の制御システムに加え、ドライバーモニターなどの先進安全技術を組み合わせることで、安全性の向上とドライバーの疲労軽減に大きく貢献するとしている。
さらに、隊列走行の商業化には、技術開発のみならず、法制度を含めた社会インフラ整備、社会受容性の醸成、事業者の理解・参画が重要であることから、日野自動車では関係機関と連携し隊列走行の商業化の実現を目指すとしている。