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2018年10月22日付 2721号

車線維持支援併用のトラック隊列走行、世界初のシステム実験へ 12月に新東名で  国交省

 国土交通省と経済産業省は17日、「高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業」の一環として、11月6日から上信越自動車道、12月4日から新東名高速道で、「協調型車間距離維持支援システム(CACC=Cooperative Adaptive Cruise Control)」などを活用したトラック隊列走行の後続車有人システムの公道実証を行うと発表した。12月の新東名高速では、CACCに加えて新たな技術として「車線維持支援システム(LKA=Lane Keep Assist)」を追加した世界初のシステムで実証実験を行う。

 両省では、移動革命の実現に向けた取り組みの一つである高速道路でのトラック隊列走行について、早ければ22年の商業化に向けて、20年に新東名高速での後続車無人での隊列走行を目指している。

 昨年度は、世界初となる国内メーカー4社が開発したトラックによるCACCを用いた高速道路での後続車有人システムの実証実験を開始。本年度は、走行距離拡大と高低差・トンネルなどの多様な道路環境での技術検証を行うために11 月6日から上信越自動車道藤岡ジャンクション(JCT)~更埴JCT間で後続車有人システムの実証実験を行った後、12月4日から新東名高速道路浜松サービスエリア~遠州森町パーキングエリア(PA)間で、CACCに加えてLKAを追加した世界初のシステムの実証実験を行う。

 新システムでは、CACCにより通信で先行車の制御情報を受信し車間距離を一定に保つとともに、LKAにより道路の白線をカメラで認識しステアリングを自動制御することで、車線に沿った走行がしやすいように運転を支援する。

 実証実験ではトラック隊列が周辺走行車両の乗員からどのように認識されるか(被視認性、印象など)や、トラック隊列が周辺走行車両の挙動(追い越しなど)におよぼす影響なども確認する。

 いすゞ自動車と日野自動車も17日、この実証実験に参加すると発表。

 日野自動車は、ドライバー不足をはじめとする物流業界の抱える課題解決に貢献すべく、技術開発をはじめさまざまな取り組みを行っており、隊列走行も有効な手段の一つであるとして、社会インフラの整備状況や社会受容性なども勘案しながら、実現可能なものから段階的な実用化を進めている。

 また、前後・左右方向の制御システムに加え、ドライバーモニターなどの先進安全技術を組み合わせることで、安全性の向上とドライバーの疲労軽減に大きく貢献するとしている。

 さらに、隊列走行の商業化には、技術開発のみならず、法制度を含めた社会インフラ整備、社会受容性の醸成、事業者の理解・参画が重要であることから、日野自動車では関係機関と連携し隊列走行の商業化の実現を目指すとしている。

ゆうパックのソーター搬出入自動化導入へ、テクノロジー2社採択  日本郵便

  通常郵便物(写真上)では自動化されている「搬出入」業務を手荷役となっている、ゆうパック(写真下)への導入を検討していく

 日本郵便(横山邦男社長)とサムライインキュベート(榊原健太郎代表取締役)は15日、東京都江東区の新東京郵便局でオープンイノベーションプログラム「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM2018」の採択企業発表記者会見を行った。

 「郵便・物流のバリューチェーン全体をテクノロジーで変革する」をテーマに7月から募集を開始し、70社の応募の中から、書類審査・面談審査の結果、ベルトコンベアー等への取り降ろし・積込の自動化等の検討を提案したRapyuta Robotics社と、量子コンピューターソフト開発技術等を活用して輸送ネットワークの最適化の実現を検討するエー・スター・クォンタム社の2社が採択された。

 会見で日本郵便の地引功事業開発推進室担当部長は採択の理由について、「募集テーマにマッチし、革新性や課題解決性、実現可能性、共創意義の大きい2社とスタートアップ企業・共創を行っていくことにした」と説明。来年2月に新東京郵便局での「デモデー」に向け検討を進めていくと語った。

 Rapyuta Robotics社は、すでに通常郵便物ではロボット・搬送システム等によって自動化されている「搬出入」業務について、形状が異なるため手荷役となっている、ゆうパックへの導入を検討する。

 エー・スター・クォンタム社は格段に計算能力が高い量子コンピューター等によって、1日当たり3千便が発着する同局で、地域間運送便の最適運行を検討していく。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集、全ト協第50回全国トラックドライバー・コンテスト
      27~28日に学科・実技競技、146人の選手が出場
      坂本会長あいさつ「適正運賃・料金収受には安全運転が大前提」
      出場選手の平均年齢は昨年下回る39.6歳に
      出場予定選手名簿
    ☆人物ウィークリー、国土交通省自動車局・田中賢二自動車情報課長

  • ☆国交省が第1回スワップボディコンテナの検討会開催、年度内にガイドライン策定へ
    ☆JR貨物真貝社長が会見、災害の影響で18年度上半期の減収額が100億円超に
    ☆JR貨物、18年度上半期実績は相次ぐ災害の影響でコンテナ2桁減に
    ☆ヤマト運輸・労使が全国安全大会開催、団体優勝は南関東支店に
    ☆ヤマト運輸、関越交通と連携し群馬県で路線バスを利用した「客貨混載」開始
    ☆日本郵便、来年3月18日からゆうパックの配達予告メール拡充・指定場所配達サービス開始
    ☆ビール大手4社、11月から東北6県でビールパレット共同回収の先行展開開始
    ☆帝国データバンクが「人手不足倒産」動向調査、道路貨物運送が最多
    ☆国交省が長野県白馬村でドローンによる標高1850メートルの山荘への食料等配送実験
    ☆JR貨物が効績章の表彰式開催、全社で259人が受賞
    ☆日本生産技能労務協会・物流部会が「物流人材セミナー」開催、参加者200人を超える
    ☆センコーグループホールディングス、「囲碁フェスティバル2018」開催

今週のユソー編集室

  • ▼10月も中旬を過ぎ、朝晩の涼風に秋の深まりを感じる。北国や日本海側の地域から雪の便りが届き始めると、冬の到来も近い。
    ▼関西を襲った夏の豪雨は記憶に新しいが、2月に福井県を中心とした北陸地方で大雪が降り、多くのトラックが国道上で長時間立ち往生したことも忘れてはならない。道路を借りて仕事をするトラック事業者は、タイヤをはじめとする装備を冬仕様にして万全の体制を整える必要がある。
    ▼一方で、整備士の不足により、タイヤ交換や装備品の管理に苦慮する事業者も少なくないと聞く。こうした場合、ディーラーのトータルメンテナンスサービスなどを活用するのも、経営上の手段の一つだろう。

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