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2018年10月1日付 2719号

取引環境・長時間労働改善に向けたガイドライン案を審議 ロードマップも改訂  中央協議会

取引環境と長時間労働の改善に向けた対応

 国土交通省と厚生労働省は9月27日、東京都千代田区の中央合同庁舎で第9回トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会と第8回トラック運送業の生産性向上協議会の合同会議を開き、「取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン」案を審議した。

 2016~17年度の2年間、各都道府県協議会が実施したパイロット事業から得られた知見を基に、改善に向けた全体的な流れや各ステップで具体的にやるべきことのチェックリスト、長時間労働の各事例の効果的対応策や具体例の概要などを盛り込んだ内容。

 全体的な流れは次の7ステップ。

 ①荷主と運送事業者による検討の場の設置②労働時間、特に荷待ち時間の実態把握③長時間労働の原因の検討・把握④荷主と運送事業者による業務内容の見直し⑤荷主と運送事業者間での応分の費用負担の検討⑥改善の成果を測定するための指標の設定⑦指標の達成状況の確認・評価―。

 このうち、①では輸送に関わる関係者が全員出席する会議体の設置が理想であること、②では労働時間や荷待ち時間の実態を数字でしっかりと把握すること、⑥では目標をできるだけ具体的な数値で設定することなど、各ステップで留意すべき点を明示している。

 各事例の効果的な対応策は左表のとおりで「発荷主の出荷時間が遅れ、荷待ち時間が発生する」「発荷主からの配車指示が突発的で計画的配車ができない」など七つの原因と、「パレットの活用等による荷役時間の削減」「発荷主からの入出荷情報等の事前提供による拘束時間の削減」など13の対応策を挙げ、それぞれの原因にどの対応策が効果的かを分かりやすく示している。

 国交省ではガイドライン策定後、本年度中に地方協議会の場で荷主団体等への説明会を開催するほか、来年度にかけて全国数ヵ所で荷主企業やトラック事業者等を対象としたセミナーを開催し、ガイドラインの周知・浸透を図る予定。

 また、今後の協議会運営として、自動車運転者への時間外労働の上限規制が適用開始となる、24年度初までの改訂版ロードマップも示された。本年度はこれまで行われたパイロット事業のうち、より深掘りすることで効果が得られそうな16都道府県の案件をコンサルティング事業として抽出し、中継輸送によるドライバーの拘束時間の削減などの取り組みの効果を検証、その成果をガイドラインの改訂として盛り込んでいく考えを示した。

 これらについて委員からは「ガイドライン案にチェックリストを示してもらったのはありがたい」「ロードマップの改訂では、全体的に取引環境や長時間労働がどの程度改善されたのか、指標を示して評価・検証する項目を盛り込むべき」などの声が上がった。

 協議会では今後10月5日まで意見等を募集し、これらを反映させた上で、ガイドラインを決定する。

東北の中核拠点・宮城物流ターミナル、仙台市に10月1日稼働 ヤマト運輸

 ヤマト運輸(長尾裕社長)はきょう1日、東北地域の中核施設として、仙台市に「宮城物流ターミナル」=写真=を開設・稼働を開始した。プロロジス(山田御酒社長)の「プロロジスパーク仙台泉2」を、専用施設として利用するもの。

 東北自動車道泉インターチェンジから2.5キロメートルの仙台市泉区明通3の3の1に所在。敷地面積が6万4817平方メートル、建物がターミナル棟(倉庫2階・事務所4階)と物流棟(倉庫2階・事務所2階)で、延べ床面積3万8813平方メートルの規模。両棟は渡り廊下で接続。ターミナル棟には屋根付きのスロープが整備され、降雪時でも2階へ安全に通行できる。給油所や洗車場、450台分の駐車場も設けられ、駐車場の一部敷地を利用して、将来的な拡張も可能となっている。

 このほか、全館LED照明・太陽光発電・非常用自家発電装置・衛星電話・緊急時用の搬出扉を備えるなど、環境や災害対応にも配慮した。

 ヤマト運輸の東北支社と宮城主管支店が移転入居するほか、ヤマトロジスティクス、ヤマトシステム開発、ヤマトホームコンビニエンスなどグループ10社が入居。各社の機能を組み合わせ付加価値の高い物流サービスを提供するとともに、社員がより働きやすい環境の構築を進めた。

 旧施設と比較し仕分能力が約1.5倍に拡大し、東北地域全体の荷物を集約することが可能となり、より効率的なネットワークを実現。全国屈指の取扱量となるクール宅急便の仕分機能も約2倍に拡大しており、新たに冷蔵・冷凍倉庫を併設することで、水産加工品や農産物などの保管・発送に柔軟に対応できるようになった。

 また、施設内に保育所やパウダールームを設置するなど、より働きやすい環境を整備した。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集、第33回全国フォークリフト運転競技大会 優勝は大沼選手(日本通運郡山支店)、女性部門優勝は長谷部選手(大興運輸岡崎支店)に
    ☆アベノミクス物流にとって『吉』か『凶』か(110)『来年10月の消費税増税は粛々と実施されるのか(その6)』
    ☆人物ウィークリー、国土交通省総合政策局・山田輝希物流政策課長

  • ☆日通が引越サービス単身パックS・Lを1日から値上げへ、千円~9千円幅で
    ☆全日通が臨時の中央委員会開催、「入社から65歳までの働き方」の最終協議に向け意思統一
    ☆佐川急便・ネスレ日本が一般家庭等をストックポイントに新宅配サービス開始、1日から東京・大阪で
    ☆福山通運が営業体制を大幅に変更し日曜の集配中止へ
    ☆丸運、グループ全国規模で初のドラコン開催
    ☆国交省が重要物流道路創設などが盛り込まれた改正道路法施行、道路構造令も一部改正
    ☆東ト協が代々木公園でトラックフェスタ開催、たくさんの親子連れでにぎわう
    ☆国交省の多田参事官(物流産業)が会見、物効法の認定目標達成へさらなるPR推進
    ☆日通総研がLINEを使用したドライバー運行管理ツール「どらたん」サービス開始
    ☆日通総研が2018年度の経済と貨物輸送の見通しの改訂版を発表、国内貨物総輸送量は小幅ながらプラス成長と予想
    ☆全新潟運輸労組が定期大会、中央本部に初の女性執行委員を配置
    ☆日本郵便が「ゆうパックスマホ割」を開始、基本運賃から180円割引
    ☆センコーがタイ拠点のフォワーディング会社を子会社化、アセアン地域の越境物流拡大へ
    ☆運行管理推進ネットワーク、運行管理者への支援へ向け一般社団法人を設立
    ☆南アジア・オセアニア日通がラオスでビエンチャン支店・サバナケット支店の開所式を開催、
    ☆エコモ財団がグリーン経営認証のリーダー研修会を東京会場で開催、約100人が参加

今週のユソー編集室

  • ▼また国内自動車メーカーでの検査不正が明らかになった。長らく日本経済を引っ張ってきた自動車産業での不正が相次ぎ、日本の「モノづくり」への懸念が積もる。
    ▼自動車検査に関しては、国の要求水準が高すぎると指摘する声もあるが、決まり事を守るのは「モノづくり」以前の問題だ。
    ▼自動車製造の背後では、多くの物流関係者が高度なサプライチェーンを支えている。製造に要する部品数もサプライヤーも工業製品の中では格段に多いが、在庫は最小限に抑えられ、物流への要求水準は高い。
    ▼苦労して運んだ部品で作られた製品に“ケチ”がつかぬようメーカーには「プライドあるモノづくり」を取り戻してほしい。

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