事業法の改正目指す、トラックドライバーの待遇改善が主目的 プロジェクトの意義強調 全ト協 坂本会長
全日本トラック協会の坂本克己会長は4日、東京都新宿区の全国トラック総合会館で会見を開き、6月にスタートさせた貨物自動車運送事業法の一部改正に向けたプロジェクトの目的はドライバーをはじめとする労働者の待遇改善であることをあらためて強調するとともに、2021年に法制化から10年を迎える運輸事業振興助成交付金について、「再点検」を行う考えを示した。
会見で坂本会長は、トラック運送業界で喫緊の課題となっている労働条件の改善には原資が必要であるが、トラック運送業界内では「“悪貨が良貨を駆逐する”状況が続いており、限界にきている」と、依然として不公正競争が発生・継続している現状を指摘。その上で、「“悪貨”のトラック事業者に退出してもらい、“悪徳”な荷主にどう制裁を加えるかを考えねばならない」と述べ、貨物自動車運送事業法の一部改正を通じた事業環境の健全化によって、労働条件の改善につなげていくことがプロジェクトの最大の目的であることをあらためて強調した。
また、坂本会長は、事業法の一部改正によって、「20年先、30年先の業界のあるべき姿を示したい」とし、その実現に向けて10月10日に高松市で開かれる第23回全国トラック事業者大会などを通じて、業界が「心を一つに」していくことの重要性を訴えた。
事業法の一部改正に向けては、運輸事業振興助成交付金などで“実績”のある議員立法を念頭に置き、全国の事業者・ドライバーの「思い」をしっかりと取りまとめていくことが重要であるとの考えを示す一方、運賃・料金などの経済的規制については、「どの程度、文章(条文)に落とし込めるか(現段階では)わからない」と述べるにとどまった。
改正に向けたスケジュールについては、自民党総裁選や国会の運営状況などを勘案しつつ、年明けの通常国会での審議を念頭に、国会議員への働きかけや監督官庁との調整、業界内での意見集約などを進めていくとのイメージを示した。
運輸事業振興助成交付金については、法の趣旨に基づき有効に活用され、各都道府県の知事や議会からも信頼を得ていると認識を示す一方で、21年に法制化から10年を迎えることや、法律上「当分の間」の制度と位置付けられていることなどを踏まえ、「再点検」を行う必要があるとし、中央出捐金についても、支出項目ごとに必要性の精査などを行っていく予定であることを明らかにした。