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2018年9月3日付 2715号

18年度予算の197%増額求め、働き方改革加速へ 19年度予算概算要求  国交省

 8月31日に各省庁の2019年度予算概算要求が締め切られたが、国土交通省は東日本大震災や「平成30年7月豪雨」をはじめとする災害発生を踏まえた国土強靭化などに重点を置いた予算として、一般会計で18年度予算比19%増の6兆9070億円を要求。物流・自動車関係については、おおむね18年度事業の内容を継続するほか、トラック運送事業における働き方改革に向けた輸送品目別の取り組み強化や、IT事業者をはじめとする幅広い関係者を巻き込んだ脱炭素物流システム構築のための調査などを新規に盛り込んだ。

 自動車局関係では、トラック運送事業における働き方改革の推進として、18年度予算比197%増の3億円を要求し、「ホワイト物流」実現国民運動(仮称)の展開や輸送品目別の取り組み強化、長時間労働是正に向けた機器・システムの活用促進などを行う。

 先進安全自動車(ASV)やドライブレコーダー(ドラレコ)、デジタル式運行記録計(デジタコ)への補助については、18年度予算比23%増の11億6300万円を要求。ASV補助では18年度同様に、衝突被害軽減ブレーキ、車線逸脱警報装置、車両安定性制御装置、ドライバー異常時対応システム、先進ライトの導入費用の2分の1を補助するとともに、対象機器に側方衝突警報装置を追加する。側方衝突警報装置は、左折時や車線変更時に障害物を検知して衝突の可能性が高い場合にはドライバーに警報を行うもので、トラックで多く発生している左折時の巻き込み事故を削減する効果が期待される。

 ドラレコ・デジタコについては導入費用の3分の1の補助を見込む。

 健康起因事故防止のための運転者向けスクリーニング検査の普及促進については、127%増の4500万円を要求し、モデル事業や検査の普及状況調査、セミナー開催などを進める。

 電気・天然ガス・ハイブリッドトラックなどに補助を行う地域のグリーン化に向けた次世代自動車の普及促進では、79%増の10億2500万円を要求している。

 エネルギー対策特別会計(エネ特)では、経済産業省との連携で「貨物自動車と荷主の連携等による運輸部門省エネ化推進事業費補助金」を新規として64億1千万円要求しているが、この中に含まれる「トラック輸送における省エネ推進事業」(41億5千万円)は、車両動態管理システムや予約受付システムの導入支援による省エネ効果実証を行うもので、18年度事業と同内容で実施する計画。

 環境省との連携で実施している「低炭素型ディーゼルトラック等普及加速化事業」についても、18年度と同内容で要求。また、電気トラックの導入支援に向けた新たなメニューも盛り込んだ。

 自動車局関係の組織・定員要求については、トラック働き方改革の推進に向け、本省貨物課に専門官1人を要求したほか、運輸局に専門官1人、係長3人を置くことを求めている。

 また、指導監査体制の強化に向け、運輸局の自動車監査官2人、運輸支局の運輸企画専門官を24人要求するとともに、組織要求として中部運輸局愛知運輸支局に次席運輸企画専門官を置くことを求めている。

第5回インターンシップ、33社が参加し開催 学生180人超が出席  物流連

 日本物流団体連合会(田村修二会長)は8月26日から30日までの5日間、会員企業33社による第5回物流業界インターンシップを開催した。

 物流連会員企業の若手社員で構成される「ロジスティクスPRグループ~物流いいとこみつけ隊~」の発案によりスタートした企画。広く大学生に物流業の社会的重要性・先進性などを理解してもらうため開催しており、就職の際に物流業界を選択肢の一つとしてもらうことなどが目的。参加した180人を超える学生の大半が3年生で、そのうち約半数を女性が占めた。

 初日26日は東京都千代田区のベルサール秋葉原で、会員を対象としたオリエンテーションとセミナーを開催。

 冒頭あいさつした与田俊和理事長は「近年は、IT技術、自動車技術の進展や、GPS、ドライブレコーダー等の普及によって物流も日々進歩している。こうした技術革新のみならず、価値観の変化に敏感に対応できるのは若い世代である。若い力なくして物流の将来を描けない」と語り、「インターンシップを通じて物流企業の実像をしっかり見据えて、これはと思うところがあれば、その門戸を叩き、われわれの仲間として将来の物流を担うプレーヤーになってほしい」と述べた。

 引き続き「物流いいとこみつけ隊」の花王ロジスティクスの仲志帆氏と日立物流の西林栄貴氏が自己紹介や就職活動、新人研修などの体験談を語った。その中で、西林氏は最終的に物流業界を選んだ理由として「国際的に活躍できるフィールドがある」ことと「モノを運ぶ業界は決してなくならないため、非常に安定している」ことの2点を挙げた上で「新卒で就職活動をするのは1度きりなので、悔いのないように」とエールを送った。

 その後、松田博和事務局長が「物流総論」と題して講演し、物流の重要性や歴史のほか、基本となるサプライチェーンの仕組みなどを説明した。

 セミナーでは、参加33社が会場内にブースを構え、ブースを訪れた学生に対して、自社の会社概要や事業内容などを説明した。

 参加した学生の中には外国人のほか高等専門学校1年生もおり、「想像以上に物流企業や業務形態があることを知り驚いた」「『ロジスティクス』など知らない言葉があり勉強になった」などの声が聞かれた。

 27日から29日の3日間は企業訪問となり、各社が施設見学や現場業務体験など、それぞれ独自のプログラムを作成。学生は普段目にすることのない物流最前線における業務を学んだ。

 最終日の30日は、再びベルサール秋葉原に参加者全員を集めグループワーク・座談会を行った。3日間の企業訪問などを通して「物流企業には意外と女性が多いことに驚いた」「物流はただ配達しているイメージがあったが、このほかにさまざまなサービスがあることを知った」など、物流への認識が改まったと感想を述べる学生もいた。

今週掲載トピック一覧

  • ☆物流総合効率化法の認定一覧(2017年8月22日~18年8月8日)
    ☆アベノミクス物流にとって『吉』か『凶』か(108)『来年10月の消費税増税は粛々と実施されるのか(その4)』
    ☆トピック 『JADMA、17年度通販市場規模が前年度比8.8%増の7兆5500億円に』

  • ☆日通が瀬戸内の新センター「呉支店阿賀拠点」竣工
    ☆国交省の物流審議官部門が19年度概算要求で18年度予算比61%増額要求、「強い物流」の構築へ
    ☆日通商事がフィルム自動包装機を通販事業者向けに開発、1時間1200パックを自動包装
    ☆JR貨物が東京レールゲートWEST起工式、総合物流企業へ第1弾
    ☆JR貨物、西日本豪雨災害に伴う迂回列車の運転開始
    ☆運輸労連東京が定期大会を開催、18春闘妥結額は前年上回り「次につながる」と評価
    ☆国交省・農水省、マクドナルドほか2社が連携する配送効率化事業を物効法計画に認定
    ☆国交省がモーダルシフトや輸送網集約など23件に補助金交付、貨客混載も対象
    ☆国交省・環境省が過疎地を対象にドローンによる荷物配送を全国5ヵ所で実験
    ☆国交省がETC2.0を活用した運行管理支援サービスを本格導入しデータ配信を開始
    ☆日本包装技術協会、大型・重量物包装部門賞に日立物流や日通NECロジなどが入賞
    ☆日通が国際第1四半期業績発表し海外会社は増収減益、航空・海運は2桁増収
    ☆国民生活センター、引越相談件数が減少傾向で推移

今週のユソー編集室

  • ▼「空飛ぶクルマ」の実現に向けた検討がスタートした。空想の世界のような話だが、夢の装置はこちらの想像を超えてすぐに当たり前になるものだと、スマートフォンを見て思う。
    ▼実態は、小型ヘリコプターか大型ドローンといったものであろうが、空想を誘うのはネーミングの妙か。
    ▼ドローンが荷物を運ぶ映像を最初に見たのは、2~3年ほど前と記憶するが、こちらはすでに実用化が視野に入っている。あとは、法制度や保障の枠組みについての整備を急ぐのみだ。
    ▼イノベーションで世界をリードすると官邸や政府は意気込むが、「買い物難民」を救う物流ドローンで、地に足の着いた技術革新をリードしてほしい。

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