18年度予算の197%増額求め、働き方改革加速へ 19年度予算概算要求 国交省
8月31日に各省庁の2019年度予算概算要求が締め切られたが、国土交通省は東日本大震災や「平成30年7月豪雨」をはじめとする災害発生を踏まえた国土強靭化などに重点を置いた予算として、一般会計で18年度予算比19%増の6兆9070億円を要求。物流・自動車関係については、おおむね18年度事業の内容を継続するほか、トラック運送事業における働き方改革に向けた輸送品目別の取り組み強化や、IT事業者をはじめとする幅広い関係者を巻き込んだ脱炭素物流システム構築のための調査などを新規に盛り込んだ。
自動車局関係では、トラック運送事業における働き方改革の推進として、18年度予算比197%増の3億円を要求し、「ホワイト物流」実現国民運動(仮称)の展開や輸送品目別の取り組み強化、長時間労働是正に向けた機器・システムの活用促進などを行う。
先進安全自動車(ASV)やドライブレコーダー(ドラレコ)、デジタル式運行記録計(デジタコ)への補助については、18年度予算比23%増の11億6300万円を要求。ASV補助では18年度同様に、衝突被害軽減ブレーキ、車線逸脱警報装置、車両安定性制御装置、ドライバー異常時対応システム、先進ライトの導入費用の2分の1を補助するとともに、対象機器に側方衝突警報装置を追加する。側方衝突警報装置は、左折時や車線変更時に障害物を検知して衝突の可能性が高い場合にはドライバーに警報を行うもので、トラックで多く発生している左折時の巻き込み事故を削減する効果が期待される。
ドラレコ・デジタコについては導入費用の3分の1の補助を見込む。
健康起因事故防止のための運転者向けスクリーニング検査の普及促進については、127%増の4500万円を要求し、モデル事業や検査の普及状況調査、セミナー開催などを進める。
電気・天然ガス・ハイブリッドトラックなどに補助を行う地域のグリーン化に向けた次世代自動車の普及促進では、79%増の10億2500万円を要求している。
エネルギー対策特別会計(エネ特)では、経済産業省との連携で「貨物自動車と荷主の連携等による運輸部門省エネ化推進事業費補助金」を新規として64億1千万円要求しているが、この中に含まれる「トラック輸送における省エネ推進事業」(41億5千万円)は、車両動態管理システムや予約受付システムの導入支援による省エネ効果実証を行うもので、18年度事業と同内容で実施する計画。
環境省との連携で実施している「低炭素型ディーゼルトラック等普及加速化事業」についても、18年度と同内容で要求。また、電気トラックの導入支援に向けた新たなメニューも盛り込んだ。
自動車局関係の組織・定員要求については、トラック働き方改革の推進に向け、本省貨物課に専門官1人を要求したほか、運輸局に専門官1人、係長3人を置くことを求めている。
また、指導監査体制の強化に向け、運輸局の自動車監査官2人、運輸支局の運輸企画専門官を24人要求するとともに、組織要求として中部運輸局愛知運輸支局に次席運輸企画専門官を置くことを求めている。