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2018年8月20日付 2713号

「スマート物流」実現へ SIPプログラムの研究開発機関を公募、9月7日まで  国交省

 国土交通省は3日、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期で採択された「スマート物流サービス」について、研究開発機関の公募を開始した。公募期間は9月7日まで。

 SIPは、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議が選定するプログラムで、第2期で採択された「スマート物流サービス」では、ヤマトホールディングスの田中従雅執行役員IT戦略担当をプログラムディレクター(PD)に、今後5年間にわたりIoT(モノのインターネット)やBD(ビッグデータ)、AI(人工知能)を活用して、物流・商流に関するオープン型データプラットフォームの構築などに向けた検討や開発、実証実験を進める。

 現在公募を行っているのは①「物流・商流データプラットフォーム」の開発②「モノの動き」の見える化技術の確立③「商品情報」の見える化技術の確立―の研究・開発を行う研究機関。

 「物流・商流データプラットフォーム」の開発については、小倉正弘日立物流IT戦略本部本部長をサブPDに、物流・商流に関するサプライチェーン全体の「モノ」「情報」「お金」の流れを標準化し、収集・活用可能な形に情報化。これらの情報を一元化することで、サプライチェーンの可視化や関連事業者への情報提供を行うととともに、情報の分析・加工による新たな創出を行う。また、情報を運用管理する基盤となる「物流・商流データプラットフォーム」と物流現場、商流に関わる情報の連携により、単一企業では難しい協調型の効果創出を目指す。

 「モノの動き」の見える化技術確立では、谷口友彦SGホールディングスグループエグゼクティブをサブPDに、梱包貨物を対象とした輸送手段共有化技術や物流施設の自動化技術の開発などを行う。

 「商品情報」の見える化技術の確立については、今井哲之大日本印刷IoSTプラットフォーム本部長をサブPDに、消費財のような単価の安い商品への電子タグ装着による商品情報取得を目指す。

 10日に東京都千代田区の経済産業省本館で行われた公募説明会では、田中PDがスマート物流サービス全体の概要を解説した後、各サブPDらが公募テーマごとの研究開発項目、初年度の研究対象項目、ロードマップなどを説明。公募テーマごとにワーキンググループ(WG)を立ち上げ、全体戦略検討WG・業界横断的戦略検討WGとともに、連携を取りながら早期の社会実装を目指していく考えを示した。

加須PDセンターの2号倉庫を竣工、グループ最大拠点に  センコー

竣工した2号倉庫

 センコー(福田泰久社長)は9日、埼玉県加須市の加須PDセンター敷地内に「加須PDセンター2号倉庫」を竣工させた。新倉庫の完成により、5棟から成る同センターの延べ床面積は約10万3千平方メートルとなり、同社グループ最大級の物流拠点となった。

 2016年11月に開設した同センターは約10万5千平方メートルの敷地に、1号倉庫(地上2階建て、延べ床面積約4万8千平方メートル)と今回竣工した2号倉庫(地上5階建て、延べ床面積約5万2千平方メートル)、危険物倉庫3棟(平屋建て、延べ床面積約3千平方メートル)で構成。圏央道の「白岡菖蒲インターチェンジ」から約10キロメートルに位置し、首都圏全域をカバーするだけでなく、東日本や西日本をつなぐ高速道路へのアクセスの良い好立地にある。

 今回、新たに自家発電機や給油スタンドも設けるなど、BCP(事業継続計画)に対応するとともに、5棟全てにLED照明を採用し、1号倉庫と2号倉庫の屋上には太陽光パネルを設置した。

 新設の2号倉庫は、常温倉庫エリア(延べ床面積約2万5千平方メートル)と冷凍・冷蔵倉庫エリア(延べ床面積約2万7千平方メートル)に分かれ、常温エリアをセンコーが、冷凍・冷蔵エリアをランテックが運営するグループ初の共同施設となる。建物両面には、78台のトラックが接車できるバースを設け、うち40台分は冷凍・冷蔵商品に対応するドックシェルターを備える。また、ICカードによる入退室管理や監視カメラなども完備し、万全のセキュリティー対策を施している。

 さらに、従業員食堂を9月にオープンさせ、保育所の下期開設準備を進めるなど、働きやすい職場環境を整えていく。

今週掲載トピック一覧

  • ☆物流応援歌(5)『「標準化」を考える(SUICAとTOICA)』
    ☆四文字 『青年経営者の「意識調査」』
    ☆ウォッチ(87) 『国内消費が中国経済の成長エンジンになる』

  • ☆全ト協が4~6月期の景況感公表、燃料・人件費上昇で指標が大幅に悪化
    ☆「農産物パレット推進協議会」設立、RFID付きパレット循環利用モデル構築し荷役効率化実現へ
    ☆全ト協・日貨協連、4月以降のWebKIT成約運賃指数は各月とも過去最高を更新
    ☆SBSHDの鎌田社長が会見、リコーロジの買収で売上高3千億円視野に
    ☆ヤマト運輸が路線バス利用して福井で「客貨混載」
    ☆エコモ財団がグリーン経営認証「リーダー研修会」の9・10月の日程・会場を決定
    ☆SBSゼンツウが生活物流部門接客達人コンクール開催、宅配ドライバーの接客スキル競う
    ☆損害保険ジャパン日本興亜の企業向け安全運転サービス「スマイリングロード」の累計導入社数が1千社を突破、事故件数20%減少
    ☆東京都・内閣官房らが「2020TDM(交通需要マネジメント)推進プロジェクト」の発足式開催、東京オリパラ期間中の交通需要の抑制へ
    ☆総務省統計局が「サービス産業動向調査」の17年拡大調査結果発表、運輸・郵便の従事者は減少し1人当たり売上高は増加
    ☆包装技術協会が「TOKYO PACK2018」の開催概要発表、出店規模670社・2626小間
    ☆物流連がインターンシップの全体説明会開催、エントリー定員超える
    ☆トナミ運輸労使共催で本年も富士登山、4回目の開催
    ☆物流各社の第1四半期決算

今週のユソー編集室

  • ▼猛暑で野菜の生育不良や価格高騰が伝えられている。食卓に欠かせない大地の恵みであるが、自然が相手では仕方がない。
    ▼価格高騰はすぐに伝えられるが、野菜が食卓に上るまでの道のりを知る消費者は多くない。農産物の輸送では、いまだに手荷役が主流で、千個を超える段ボールをドライバー1人で積卸することも珍しくないという。
    ▼今後、働き方改革で拘束時間をはじめとする労務管理の厳格化が求められると、長時間の荷役作業が輸送そのものを阻む可能性が出てくる。
    ▼先日、農産物流通のパレット化推進に向けた協議会が設立された。持続可能な農産物流通の実現にはパレット化による手荷役の解消が不可欠だ。

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