トラック・船舶で代行輸送、輸送力確保に全力 西日本豪雨の対応策 JR貨物真貝社長
7月3日以降に発生した「平成30年7月豪雨」は、岡山・広島・愛媛の各県を中心に200人を超える死者を出すなど、西日本の広範囲に大きな被害をもたらした。高速道路や主要幹線道路、鉄道が各所で寸断され、被災地域向けの荷受中止や貨物の滞留・配達遅延が発生するなど、物流も大きく混乱し、このため浸水による直接的な被害を免れた工場でも、操業が止まるなどの影響が出た。
トラックでは、発災直後からトラック協会経由による緊急支援物資輸送や、荷主からの要請による個別の応援輸送が行われた。14日には山陽自動車道の通行止めが全て解除になり、9日ぶりに機能を回復するなど、渋滞などの影響は残っているものの、ほぼ順調に復旧の道をたどっていると言えそうだ。
一方で鉄道は、大動脈である山陽線が複数箇所において路盤流出などで不通となっており、JR西日本では全面復旧について、11月までかかる見通しとしている。
18日午後1時現在の貨物列車の運転中止区間は◎山陽線東福山(広島県)~新南陽(山口県)間◎伯備線倉敷(岡山県)~伯耆大山(鳥取県)間◎予讃線宇多津(香川県)~松山(愛媛県)間―の3区間。貨物列車は、東福山以東の駅を始終着とする列車については通常どおり運転。新南陽以西は、福岡タ(福岡県)と同駅との間に貨物列車を1往復運転し、一部の輸送力を確保している。
また、代行輸送はトラックと船舶を利用して、それぞれ次の区間・規模で行っており、当初は各駅で滞留している貨物の輸送を優先していたが、19日から東福山~新南陽間を通過する貨物について、輸送の受け付けを再開した。
《トラック》
①岡山タ~広島タ間=1日最大128個②広島タ~北九州タ間=同24個③広島タ~福岡タ間=同40個◎岡山タ~新南陽間(準備でき次第開始)=同120個予定―。
《船舶》
①北九州タ~東水島間(北九州港~岡山港間船舶利用、日祝を除き毎日1便出航)=1日80個②福岡タ~百済タ(博多港~大阪港間船舶利用、日祝を除き毎日1便出航)=1日80個―。
JR貨物の真貝康一社長は18日の定例記者会見で、豪雨災害について、復旧作業や代行輸送に携わっている、旅客鉄道会社や鉄道利用運送(通運)事業者の関係者らに謝意を示した上で、影響や代行輸送などの対応策を説明。18日現在の代行輸送力は通常の13%程度にとどまっており、今後も通運事業者との協議を重ねて輸送力確保に尽力すること、呉線や山陰線の迂回列車運転について、可能かどうかまで含め検討すること、7月17日までの輸送実績は対前年67%程度に落ち込んでいることなどを明らかにした上で、早期復旧に向けて全力を挙げて取り組む姿勢を強調した。