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2018年7月23日付 2710号

トラック・船舶で代行輸送、輸送力確保に全力 西日本豪雨の対応策  JR貨物真貝社長

 7月3日以降に発生した「平成30年7月豪雨」は、岡山・広島・愛媛の各県を中心に200人を超える死者を出すなど、西日本の広範囲に大きな被害をもたらした。高速道路や主要幹線道路、鉄道が各所で寸断され、被災地域向けの荷受中止や貨物の滞留・配達遅延が発生するなど、物流も大きく混乱し、このため浸水による直接的な被害を免れた工場でも、操業が止まるなどの影響が出た。

 トラックでは、発災直後からトラック協会経由による緊急支援物資輸送や、荷主からの要請による個別の応援輸送が行われた。14日には山陽自動車道の通行止めが全て解除になり、9日ぶりに機能を回復するなど、渋滞などの影響は残っているものの、ほぼ順調に復旧の道をたどっていると言えそうだ。

 一方で鉄道は、大動脈である山陽線が複数箇所において路盤流出などで不通となっており、JR西日本では全面復旧について、11月までかかる見通しとしている。

 18日午後1時現在の貨物列車の運転中止区間は◎山陽線東福山(広島県)~新南陽(山口県)間◎伯備線倉敷(岡山県)~伯耆大山(鳥取県)間◎予讃線宇多津(香川県)~松山(愛媛県)間―の3区間。貨物列車は、東福山以東の駅を始終着とする列車については通常どおり運転。新南陽以西は、福岡タ(福岡県)と同駅との間に貨物列車を1往復運転し、一部の輸送力を確保している。

 また、代行輸送はトラックと船舶を利用して、それぞれ次の区間・規模で行っており、当初は各駅で滞留している貨物の輸送を優先していたが、19日から東福山~新南陽間を通過する貨物について、輸送の受け付けを再開した。

 《トラック》
 ①岡山タ~広島タ間=1日最大128個②広島タ~北九州タ間=同24個③広島タ~福岡タ間=同40個◎岡山タ~新南陽間(準備でき次第開始)=同120個予定―。

 《船舶》
 ①北九州タ~東水島間(北九州港~岡山港間船舶利用、日祝を除き毎日1便出航)=1日80個②福岡タ~百済タ(博多港~大阪港間船舶利用、日祝を除き毎日1便出航)=1日80個―。

 JR貨物の真貝康一社長は18日の定例記者会見で、豪雨災害について、復旧作業や代行輸送に携わっている、旅客鉄道会社や鉄道利用運送(通運)事業者の関係者らに謝意を示した上で、影響や代行輸送などの対応策を説明。18日現在の代行輸送力は通常の13%程度にとどまっており、今後も通運事業者との協議を重ねて輸送力確保に尽力すること、呉線や山陰線の迂回列車運転について、可能かどうかまで含め検討すること、7月17日までの輸送実績は対前年67%程度に落ち込んでいることなどを明らかにした上で、早期復旧に向けて全力を挙げて取り組む姿勢を強調した。

事業法改正に向けて対応検討本部を設置、働き方改革見据え  全ト協

 全日本トラック協会(坂本克己会長)は12日、東京都港区の第一ホテル東京で第177回理事会を開き、厚生労働省の担当官から6月に成立した働き方改革推進法に関するレクチャーを受けるとともに、坂本会長が貨物自動車運送事業法の一部改正に向けたプロジェクトチーム「働き方改革対応検討本部」の創設を報告した。

 あいさつの冒頭坂本会長は、西日本を中心に発生した豪雨の被害者にお悔やみとお見舞いの言葉を述べた上で、全ト協として緊急物資輸送対策本部を設置したことを報告。今後も関係省庁などと連携しながら、支援を行っていく考えを示すとともに、出席した全国の会員にも協力を求めた。

 また、一部報道で7~9月の景気予想が貨物運送事業は「雨」とされ、原因として労働力不足への懸念が挙げられていることを紹介。懸念の解消にはドライバーに一定の労働条件を与える必要があり、その実現には原資の確保が不可欠であるとの考えをあらためて強調した。

 その上で坂本会長は、参入時要件の厳格化や悪質事業者の排除には貨物自動車運送事業法の一部を改正する必要があるとして、議員立法による改正を念頭に置いた「働き方改革対応検討本部」創設を明らかにした。

 検討本部は、理事会に先立って第1回会合が開かれ、事業法の一部改正に向けた具体的な対応などを今後検討していく。

今週掲載トピック一覧

  • 夏季第1特集号
    ☆グローバル版業界地図2018
     日本通運グループ
     ヤマトグループ
     SGグループ
     KWEグループ
     日立物流

  • ☆全日通労組が定期全国大会を開催、入社から65歳までの働き方についての協議方針の最終確認へ
    ☆センコーが次世代技術の開発・販売会社「イノバテックスタジオ」設立
    ☆首都圏キット利用協組が関東地区3組合の合同研修会、女性の活躍促進考える
    ☆セイノーHD、デリバリーソリューションシステム開発を手掛けるベクトルワンをグループ化
    ☆山九、物流同業他社との新入社員教育プログラム開始
    ☆日通東京輸送事業協組が労務問題をテーマに経営研修会開く

今週のユソー編集室

  • ▼西日本で発生した豪雨では、またしても自然の脅威を見せつけられた。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被害にあわれた方々にお見舞いを申し上げる。
    ▼現地では、全力の復旧が進められているが、酷暑が作業に当たる人々の心と体をむしばむ。ここでもまた自然の無慈悲を感じずにはいられない。
    ▼今回の災害では、早い段階で救援物資の「プッシュ型」輸送が計画・実施されている。必要な物品をいち早く届けることは何より重要だ。多少の「ミスマッチ」は許容範囲だろう。
    ▼鉄道の寸断や、やむ気配のない猛暑などに負けず、全国民が、わがこととして復旧への思いと行動を現地に届けようではないか。

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