ASEANへのコールドチェーン展開をオールジャパンで、関係省庁等と検討会 国交省
国土交通省は、わが国の高品質なコールドチェーンを官民一体となってASEAN(東南アジア諸国連合)に展開するため「ASEANスマートコールドチェーン構想検討会」を設置。3日に東京都港区の富士通総研セミナールームで第1回会合を開き、来年度からおおむね5年間の中期的な取り組みなどを盛り込んだ、ビジョン・戦略の策定に向けた検討を開始した。
国交省では、2016年に「我が国物流システムの国際標準化の推進等に関する連絡検討会」を設置するなど、日本の物流事業者の持つ高品質な輸送サービスの国際標準化などに向けた取り組みを進めてきており、17年2月には日本のサービスをベースにした世界初のクール宅配便サービスに関する規格「PAS1018」が発行した。また、今年11月には、ASEAN向けコールドチェーン物流ガイドラインが策定される見込みとなっている。
「ASEANスマートコールドチェーン構想検討会」は、国交省での取り組みにとどまらず、農水省やJETRO、JICAの持つ支援制度などの枠組みを活用して、日本企業のASEAN地域でのビジネス拡大につなげる目的で設置された。
委員は、森隆行流通科学大学教授を座長に、日本倉庫協会、日本物流団体連合会、鴻池運輸、佐川急便、セイノーホールディングス、ニチレイロジグループ、日本通運、ヤマトホールディングス、郵船ロジスティクス、物流機器メーカー、国交省、農水省、JICA、JETROなどの担当者が参加している。
第1回会合では、国交省・農水省・JETROが、ASEAN地域でのコールドチェーン確保に関する取り組みなどを説明した。
説明に対し、物流機器メーカーの委員からは、JETROが海外で行っている商談会で、需要の高まっている物流機器を取り扱ってほしいなどの意見が出された。
11月に開催予定の第2回会合では、JICAによるプレゼンテーションのほか、関係者へのヒアリング調査結果を報告する。
ヒアリングは今後、委員所属企業・団体を中心に幅広い関係者に、ASEAN地域内で特にコールドチェーン確立によりビジネスが深化・拡大できると見込まれる国(重点国)や物流関連の課題、必要な支援策などについて尋ねる。
最重点国については、3~4ヵ国を設定する見込みで、来年2月に開催予定の第3回会合で、最重点国やビジョン・戦略についての最終議論を行い、決定する。