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2018年7月2日付 2708号

物流プラットフォーム構築の鍵は事業者の理解、内閣府SIPスマート物流 田中PDが説明

説明する田中PD

 内閣府は6月27日、東京都千代田区の合同庁舎8号館で、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)に関する記者との意見交換会を開催し、SIPに採択された「スマート物流」について、プログラムディレクター(PD)の田中従雅ヤマトホールディングス執行役員IT戦略担当が、計画の目的などを説明した。

 計画では、物流事業における労働生産性を20%以上向上させることなどを目標に掲げ、次の3点の研究開発を行うとしている。

 1、物流・商流データプラットフォーム(PF)の構築=2020年度までに、高いセキュリティーを確保したPFや、大量の物流・商流データを処理・分析できる技術を開発する。

 2、「モノの動きの見える化」技術の開発=20年度までに①貨物動態情報や積載3Dセンシング技術②物流センターにおける荷姿・貨物情報の自動認識・積み合わせ解析技術③港湾荷役業務の自動化技術―を開発する。

 3、「商品情報の見える化」技術の開発=22年度までに①80ビット以上で単価1円以下のRFIDタグの開発②高精度リーダーの開発③製品への高速貼付方法の開発④国際標準規格の獲得―を行う。

 このうちPFは、中立性のある非営利団体が運営し、生産データ・入出庫・トラック動態・積載率・店舗位置・店舗在庫・購買データなど、サプライチェーンにおける膨大なデータを収集・分析。データを基にした具体的な生産性向上は、それぞれの荷主や物流事業者が独自に行うことをイメージしている。

 田中PDは計画について、実効的なPFの構築には「モノの流れの7~8割をトレースする必要がある」ことを踏まえ、データを提供してもらう各事業者の理解と協力が重要になってくるとの認識を示した上で、データの利用場面の明確化などについて、十分な説明を行っていく考えを強調。「BtoBではサプライチェーンの上流に当たる荷主の意思が強く反映される」として、特にそうした事業者に理解を求めていくことが必要との認識を示した。また、PFの活用により、特に中小物流事業者の生産性向上が期待できるとの見方を示した。

 一方で運営団体については、計画に必要な機能が確立できた段階で早期に立ち上げたいと述べ、可能な範囲から開始し順次拡大していく形を見通し、参加事業者についても「個配を行っている物流事業者にとっては、生産性の向上は切実」と語り、個配を行う物流事業者を中心に、幅広い参加が得られるとの見込みを語った。

自動点呼機試作が国交省の交通運輸技術開発制度に採択、精度向上・省力化へ  日通

 日本通運(齋藤充社長)と日通総合研究所(青山陽一社長)は6月27日、交通運輸分野の課題解決に向けて国土交通省が行う「平成30 年度交通運輸技術開発推進制度」に採択されたと発表した。

 研究テーマは「機械化技術の採用による点呼精度向上の研究」。免許証等の所持品や健康状態の確認、アルコールチェック、運行指示などを行う「自動点呼機」を試作して実際の業務で使用し、効果を検証する。また、有識者等の意見を踏まえ、運行の可否判断に必要な健康管理上の項目や基準値を検討する。

 運行管理者が行う点呼に自動化技術を導入し、点呼の精度を向上させると同時に業務の省力化を図ることを目的とし、NTTドコモ、東海電子をはじめ、有識者・学識者等の協力のもと、3年間の研究を予定している。

 研究に当たっては◎点呼に機械化技術を導入し情報をデジタル化することで、現状よりも点呼の精度を高め、安全な運行に寄与する◎機械化(点呼システム)により点呼にかける運行管理者の時間や労力を軽減する◎同社のみでなく、多くの事業者で活用できる仕組みを構築する―ことを目的に掲げている。

 同社では、「将来的には『事故をなくす』という観点から、事業者が運行中のドライバーの体調をどのようにモニタリングしていくのか、車両側で持つ車両のコンディションに関するデータをどのように事業者が活用できるか等の課題を解決するため、本研究が今後の運行管理の手法の高度化につながるように取り組み、成果が多くの貨物運送事業者、旅客運送事業者に活用され、将来の運行管理のあり方にも貢献できるよう取り組んでいく」とコメントしている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集・トラックの安全環境対策
     各団体の助成措置
      国土交通省
      全日本トラック協会
      東京都トラック協会
      埼玉県トラック協会
      神奈川県トラック協会
      千葉県トラック協会
      環境優良車普及機構(LEVO)
     各社注目の安全機器
      ユピテル
      矢崎エナジーシステム
      データ・テック

  • ☆日通商事、食材探しマガジンカタログ「鮮」夏号の取り扱い開始
    ☆押入れ産業、タイヤ保管専門サービス「タイヤード」開始
    ☆日本郵便、9月から配達希望時間帯追加などゆうパックサービス改善
    ☆国交省、手待ち長い加工食品物流の労働時間改善に向けた懇談会開催
    ☆国交省、目視外飛行に関する無人航空機での荷物配送ガイドライン案示す
    ☆国交省奥田自動車局長が会見、改善基準告示見直しで業所管の立場で協力など
    ☆JMTの秋山社長が会見、次の新たな50周年へロゴマークを刷新
    ☆日通総研が18年度貨物輸送見通し改定、国内貨物は0.1ポイント上方に修正
    ☆全ト協、関連行政機関と連名で改正約款の周知など荷主企業団体に文書配布
    ☆東ト協が18年度通常総会を開催、浅井新会長を選任

今週のユソー編集室

  • ▼サッカー観戦で寝不足気味という方も多いのではないだろうか。睡眠不足と言えば、先月から貨物自動車に睡眠不足で乗務させてはならないことを明確化した安全規則の解釈・運用が施行された。当然のようなルールだが、睡眠不足と感じる状態は人それぞれであるし、毎日十分な睡眠を取ることができている人がどの程度いるものか疑問でもある。
    ▼点呼時には、乗務員に睡眠不足で安全な運転を行うことができない恐れの有無を確認するよう求めているが、睡眠不足を申告されたときに代わりの乗務員を手配するのは容易ではないだろう。日頃から十分な休息時間を確保した乗務計画を組むことで安全確保につなげたい。

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