物流プラットフォーム構築の鍵は事業者の理解、内閣府SIPスマート物流 田中PDが説明
内閣府は6月27日、東京都千代田区の合同庁舎8号館で、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)に関する記者との意見交換会を開催し、SIPに採択された「スマート物流」について、プログラムディレクター(PD)の田中従雅ヤマトホールディングス執行役員IT戦略担当が、計画の目的などを説明した。
計画では、物流事業における労働生産性を20%以上向上させることなどを目標に掲げ、次の3点の研究開発を行うとしている。
1、物流・商流データプラットフォーム(PF)の構築=2020年度までに、高いセキュリティーを確保したPFや、大量の物流・商流データを処理・分析できる技術を開発する。
2、「モノの動きの見える化」技術の開発=20年度までに①貨物動態情報や積載3Dセンシング技術②物流センターにおける荷姿・貨物情報の自動認識・積み合わせ解析技術③港湾荷役業務の自動化技術―を開発する。
3、「商品情報の見える化」技術の開発=22年度までに①80ビット以上で単価1円以下のRFIDタグの開発②高精度リーダーの開発③製品への高速貼付方法の開発④国際標準規格の獲得―を行う。
このうちPFは、中立性のある非営利団体が運営し、生産データ・入出庫・トラック動態・積載率・店舗位置・店舗在庫・購買データなど、サプライチェーンにおける膨大なデータを収集・分析。データを基にした具体的な生産性向上は、それぞれの荷主や物流事業者が独自に行うことをイメージしている。
田中PDは計画について、実効的なPFの構築には「モノの流れの7~8割をトレースする必要がある」ことを踏まえ、データを提供してもらう各事業者の理解と協力が重要になってくるとの認識を示した上で、データの利用場面の明確化などについて、十分な説明を行っていく考えを強調。「BtoBではサプライチェーンの上流に当たる荷主の意思が強く反映される」として、特にそうした事業者に理解を求めていくことが必要との認識を示した。また、PFの活用により、特に中小物流事業者の生産性向上が期待できるとの見方を示した。
一方で運営団体については、計画に必要な機能が確立できた段階で早期に立ち上げたいと述べ、可能な範囲から開始し順次拡大していく形を見通し、参加事業者についても「個配を行っている物流事業者にとっては、生産性の向上は切実」と語り、個配を行う物流事業者を中心に、幅広い参加が得られるとの見込みを語った。