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2018年6月25日付 2707号

インタビュー センコーグループHD(株) 福田泰久代表取締役社長
労働力不足問題への対応 省人化やモーダルシフト、外国人の活用も

 『未来潮流を創る企業グループ』を目指し、物流業界の注目を集めるセンコーグループホールディングス。業界を取り巻く環境と同社の今後などについて聞いた。

 ――物流業界の労働力不足の現状をどう見ていますか。

 政府は、女性や高齢者の活躍を呼び掛けていますが、正直に言って、もう限界にきているのではないでしょうか。やはり外国人の労働力に頼らざるを得ないと思います。

 ベトナムでは近年、日本への就労希望者が少なくなってきています。中国や韓国と比較して、就労環境が良くないからだそうです。この状態が今後も続けば、いざ日本が門戸を開放したとしても、誰も来てくれません。

 一方で労働力不足への対応としては、物流センター内作業へのロボットの導入など、省人化技術の利用が挙げられます。ドライバーの労働時間短縮のため、モーダルシフトの活用も進めていく必要があります。

 ――外国人の活用については。

 政治や行政の支援をうんぬんする前に、企業の経営者が外国人労働者の就労環境整備の必要性をしっかり理解して、率先して動き出すことが重要です。

 センコーは本年度、グループで75人のベトナム人技能実習生を受け入れる予定です。それぞれに1人部屋を用意したり、実習計画外の仕事は行わせないなど、就労環境には最大限に配慮しています。

 受け入れに当たっては、現地の職業訓練校に事前に当社の日本での受け入れ態勢を視察してもらい、確認を得た上で、1クラス20人規模の「センコークラス」を2クラス編成してもらいました。現地で半年間ほど技能訓練と語学研修を行い、日本では車両整備や物流センター内での梱包作業などに従事してもらいます。ドライバー職については、現時点では法的な環境が整っていませんが、例えば日本人と結婚するなど日本国籍を取得した場合は従事が可能です。そうした方にはドライバー職に就いてもらおうと考えています。

 現地の職業訓練校に専門のクラスを編成し、これほどの人数を受け入れるのは、センコーとしても初めての試みです。受け入れ態勢を高く評価してもらったこともあって、当初1クラス20人の募集だったのですが、200人もの応募がありました。そこで急きょ2クラスに拡大しました。これは今後も継続していきます。

インタビューの続きは電子版かコンビニプリントサービスでお読みいただけます。

鉄道中心の総合物流企業へ、顧客と現場を軸に 新旧社長が記者会見  JR貨物

田村会長(左)と真貝社長(右)

 JR貨物は21日の定時株主総会後、東京都渋谷区の同本社で、新たに就任した田村修二代表取締役会長と真貝康一代表取締役社長の記者会見を行った。

 会見の冒頭、田村会長は自身の6年間に及ぶ社長在任期間を振り返り、印象深かったことについて、鉄道事業部門の黒字化などを挙げ、引き続き経営改革の流れを逆戻りさせることなく、理念に掲げている『鉄道貨物輸送を中心とした総合物流企業グループ』の実現に向けて、真貝社長とともに取り組んでいく姿勢を強調した。

 真貝社長については「物の見方が論理的で、視野も広い。任せて育てる部下の使い方や、東日本大震災の時に東北支社長として卓越した現場管理力を発揮したことなどから、経営者の素質があると判断した」と評価。今後については、経営の前面には社長が出るべきとしながらも、担当業務の分担などは行わず、代表権を持つ会長として、社長と緊密にコミュニケーションをとりながら、経営に当たる考えを示した。

 これに対して真貝社長は「安全という信頼の基盤を最優先に、新しい時代に合致した『鉄道貨物輸送を中心とした総合物流企業グループ』を目指したい。変革をさらにスピードアップさせ、具体的な施策をやり抜き、確固たる経営基盤を構築したい」と抱負を述べ、東京レールゲートプロジェクトを中心に、鉄道利用運送事業者とも連携しながら、より良いネットワークの構築に取り組んでいく考えを強調した。

 また、社員には、全員が一丸となって、顧客と現場をどのように改善していくかを、常に考えるよう訴えたことを明らかにするとともに、本年度の重点取り組み事項の一つである新たな人事・賃金制度の導入について、労働組合にも社員の働きがいを重視するという目的を理解してもらいながら、詳細を詰めていく方針を掲げた。

 一方で、国鉄や国土交通省以外の出身者として初の社長就任となったことについて、銀行時代に非鉄金属系などを担当したことや、ハウステンボスに出向したことなどが、自身の経営のバックボーンになっているとしながら、JR貨物入社後も、東日本大震災で現場が発揮した「鉄道魂」に感銘を受けたと語った。

 【真貝康一(しんがい・こういち)社長略歴】1978年3月東京大学法学部卒業、同年4月日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。2002年4月JR貨物入社(事業開発本部グループ戦略部担当部長)、09年6月執行役員東北支社長、14年6月取締役鉄道ロジスティクス本部営業統括部長兼営業部長、16年6月取締役常務執行役員鉄道ロジスティクス本部営業統括部長、17年6月取締役常務執行役員事業開発本部長。

 座右銘は「着眼大局着手小局」。趣味はスポーツ。JR貨物でもテニス部・水泳部・ラグビー部の部長を務める。
1955年6月11日生まれ、63歳。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(103) 『黒田バズーカは不発だったのか(その5)』
    ☆四文字 『議論は続く「理論武装」』
    ☆日中ビジネスワンポイント(176) 『中国の大学入試事情』
    ☆人物ウィークリー、千葉県トラック協会女子部会・柳沢照美部会長(柳澤運送代表取締役)

  • ☆トナミ運輸、富山・石川・福井えりすぐりの食材揃えたお中元ギフト販売中
    ☆エコシップ・モーダルシフト実行委が17年度の認定事業者40社を公表、荷主は多岐業種の19社に
    ☆西濃運輸が小型携帯端末活用の電子サインを導入、荷物受取時の利便性向上
    ☆トランコム・丸和運輸機関、戦略的提携関係へ
    ☆首都圏キット利用協組が通常総会、橋場理事長の後任に伊藤副理事長が昇任
    ☆日通、引越商品「単身パック積んでみる」利用者対象のプレゼントキャンペーン
    ☆佐川急便、「人、物、情報を一元管理」する効率的館内物流をアピール
    ☆東ト協連が通常総会、課題山積で一層高まる協同組合の重要性
    ☆日本OTが株主総会、新社長に牛島氏
    ☆高速3社、車限令違反点数の誤通知15件発生で再発防止策示す
    ☆中小企業庁の取引条件改善調査、「運送・倉庫」の課題は待機時間・人手不足
    ☆日本包装技術協会が定期総会、木下賞技術賞に山九を選出

今週のユソー編集室

  • ▼写真集「佐川男子」の発行がきっかけとなり、佐川急便のセールスドライバーの“イケメン”ぶりが世間の注目を浴びたのは、2012年のこと。
    ▼この「佐川男子」、その後は毎年カレンダーが発行されており、現在同社のホームページでは、2019年版のカレンダーで取り上げられる24人を選ぶ投票が行われている。約700人の応募者の中から1次選考をパスした60人が登場し、いずれ劣らぬ美貌?を競っている。投票は7月7日までだが、今年からは誰でも投票できるようになった。
    ▼女性向けの企画と軽く見られるかもしれないが、業界の魅力を発信していく上で、こうした企画は面白いと思う。

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