ホワイト経営認証の制度創設へ検討スタート、来年度の運用開始目指す 国交省
国土交通省は11日、東京都千代田区の同省で第1回「自動車運送事業のホワイト経営の『見える化』検討会」を開き、働き方改革に積極的に取り組む自動車運送事業者の認証制度創設に向けた議論をスタートさせた。
認証制度は、運転者として就職を希望する求職者が就職を選ぶ際や、荷主が取引先を選ぶ際の参考となるよう、長時間労働の是正をはじめとする働き方改革を重視した「ホワイト経営」への自動車運送事業者の取り組み状況を「見える化」するため創設するもので、検討会は野尻俊明流通経済大学長を座長に、馬渡雅敏全日本トラック協会物流政策委員長、圓山博嗣交通エコロジー・モビリティ財団交通環境対策部長、世永正伸運輸労連中央副執行委員長、貫正和交通労連トラック部会事務局長、慶島譲治交運労協事務局次長、平嶋隆司国交省自動車局貨物課長らで構成されている。
第1回会合では、認証制度の基本的な考え方として(1)「二つ星」「三つ星」などの段階を設ける(2)認証に当たっては業界標準よりも高い水準を要求する(3)中立的な民間団体による運営を想定する(4)書類作成に慣れていない事業者でも申請しやすいように分かりやすく、書類作成の負担が小さい制度設計に留意する―ことなどを盛り込んだ事務局案が示された。
「三つ星」などの段階設定については、労働基準関係法令や貨物自動車運送事業法などの違反が認められず、業界標準より高いレベルで労働環境整備を行っていれば「一つ星」が取得できるよう間口を広げる方向性が示されたものの、制度開始段階で「二つ星」や「三つ星」の申請を受け付けるかについては、判断が持ち越された。
認証の取得単位は「事業者」とするが、複数の都道府県に事業所を有する事業者は、申請者の選択により、都道府県単位でも申請を可能とする。
認証の有効期間は、当面2年間とするが、制度の定着状況を踏まえ、2回目以降の認証については期間延長を検討する。
認証取得については、「国土交通省による取得の推奨」とし、具体的なインセンティブについては、認証マークの車両・ホームページ・事業所への掲示や求人票への記載、荷主企業などに対する認証団体からの利用呼びかけなどが想定されている。
制度創設に向けて、労働組合と事業者にアンケートを実施する。
労働組合アンケートでは検討会の委員が所属する全国組織から参加単組に対し、事業者アンケートでは委員所属の協会・連合会から傘下事業者に対し、必要に応じてサンプル抽出の上、アンケート用紙を送付。トラック・乗り合いバス・貸切バス・タクシーそれぞれについて、労働組合・事業者各50件以上の回収を目指す。
労働組合アンケートでは、53項目からなる認証項目案について、必須にすべき項目などを選択してもらうとともに、追加すべき項目があれば具体的に提案してもらう。
事業者アンケートでは、必須項目の選択のほか、認証制度が創設された場合の申請の意向や審査手数料の限度額、要望などについて尋ねる。
今月中にアンケートを送付し、7月に回収、8月上旬に開かれる第2回検討会で結果を報告する。
第2回検討会では、認証制度とインセンティブについての素案を示し、8月下旬の第3回検討会で報告書案を提示。9月以降に制度の創設準備を行い、来年度の制度運用開始を目指す。