トラック運転者の働き方改革実現に向けた政府行動計画を決定 88項目の施策推進、ホワイト経営認証も 第4回関係省庁連絡会議
政府は5月30日、東京都千代田区の首相官邸で第4回自動車運送事業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議を開き、トラックをはじめとする自動車運送事業での働き方改革実現に向けた政府行動計画を決定。88項目からなる施策の推進を通じて、運転者の長時間労働是正など、働き方改革の実現につなげる。
関係省庁連絡会議は、野上浩太郎内閣官房副長官を議長に昨年6月に設置され、8月には63項目からなる「直ちに取り組む施策」を公表。今年2月には第3回会合を開き、政府行動計画の策定方針などについて議論した。
政府行動計画の策定に先立って、昨年9月に石井啓一国土交通大臣が全日本トラック協会など自動車運送事業の団体に対し、業界が自主的に取り組むべき「働き方改革実現に向けたアクションプラン」を策定するよう要請を行い、全ト協は3月30日にアクションプランを石井大臣に提出した。
5月30日に決定された政府行動計画は、「直ちに取り組む施策」をベースに、一部施策の深堀りや新規施策の追加などを行い88項目で構成。いずれの施策も自動車運転者の時間外労働に関する上限規制の適用が見込まれている2024年度をゴールに据えている。
新規追加された施策のうち、「荷待ちが長い輸送分野等における取り組みの推進」では、輸送品目ごとにサプライチェーン全体での生産性向上に関する課題の抽出を行い、改善協議会のパイロット事業で得られたノウハウを活用しながら関係者で改善策について検討を行った上で、改善策の幅広い展開・浸透を図る。
同じく追加された施策の「『ホワイト物流』の実現」では、全職業平均に比べ労働時間が長く年間賃金が低いトラック運転者を「安全・安心・安定」の「3A」職種にするため、23年度末までのできるだけ早い時期にすべての事業者が改善基準告示の定める拘束時間や休日労働の限度を遵守している状態の実現などを目指す。実現に向けて、「『ホワイト物流』実現国民運動(仮称)」を展開し、物流の生産性向上や多様な人材が活躍できる物流の実現に向けて、荷主や一般消費者を含めた幅広い関係者への理解促進を行うとともに、ホワイト物流に取り組む荷主・物流事業者を評価するインセンティブの仕組みを検討・構築する。
インセンティブの検討については、6月に第1回会議を開いて認証制度創設を念頭に議論を開始し、年内に結論を得る。