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2018年6月4日付 2704号

トラック運転者の働き方改革実現に向けた政府行動計画を決定 88項目の施策推進、ホワイト経営認証も  第4回関係省庁連絡会議

 政府は5月30日、東京都千代田区の首相官邸で第4回自動車運送事業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議を開き、トラックをはじめとする自動車運送事業での働き方改革実現に向けた政府行動計画を決定。88項目からなる施策の推進を通じて、運転者の長時間労働是正など、働き方改革の実現につなげる。

 関係省庁連絡会議は、野上浩太郎内閣官房副長官を議長に昨年6月に設置され、8月には63項目からなる「直ちに取り組む施策」を公表。今年2月には第3回会合を開き、政府行動計画の策定方針などについて議論した。

 政府行動計画の策定に先立って、昨年9月に石井啓一国土交通大臣が全日本トラック協会など自動車運送事業の団体に対し、業界が自主的に取り組むべき「働き方改革実現に向けたアクションプラン」を策定するよう要請を行い、全ト協は3月30日にアクションプランを石井大臣に提出した。

 5月30日に決定された政府行動計画は、「直ちに取り組む施策」をベースに、一部施策の深堀りや新規施策の追加などを行い88項目で構成。いずれの施策も自動車運転者の時間外労働に関する上限規制の適用が見込まれている2024年度をゴールに据えている。

 新規追加された施策のうち、「荷待ちが長い輸送分野等における取り組みの推進」では、輸送品目ごとにサプライチェーン全体での生産性向上に関する課題の抽出を行い、改善協議会のパイロット事業で得られたノウハウを活用しながら関係者で改善策について検討を行った上で、改善策の幅広い展開・浸透を図る。

 同じく追加された施策の「『ホワイト物流』の実現」では、全職業平均に比べ労働時間が長く年間賃金が低いトラック運転者を「安全・安心・安定」の「3A」職種にするため、23年度末までのできるだけ早い時期にすべての事業者が改善基準告示の定める拘束時間や休日労働の限度を遵守している状態の実現などを目指す。実現に向けて、「『ホワイト物流』実現国民運動(仮称)」を展開し、物流の生産性向上や多様な人材が活躍できる物流の実現に向けて、荷主や一般消費者を含めた幅広い関係者への理解促進を行うとともに、ホワイト物流に取り組む荷主・物流事業者を評価するインセンティブの仕組みを検討・構築する。

 インセンティブの検討については、6月に第1回会議を開いて認証制度創設を念頭に議論を開始し、年内に結論を得る。

成田発タイ向けハイスピード航空混載サービス発売 深夜フライトを活用  日通

 日本通運(齋藤充社長)はこのほど、日本発タイ・バンコク向けハイスピード航空混載サービス「Don Mueang Midnight Express」を発売した。

 成田空港発深夜フライトの活用により、出荷日の翌日未明にタイ・ドンムアン空港に到着する。

 ドンムアン空港は日系メーカーをはじめ、多くの外資系企業が進出するバンコク市北側にある工業団地群の近郊に位置し、通常利用されるスワンナプーム空港に比べ、空港到着から配達までの時間も短縮可能。さらに空港間運賃でハンドキャリーの5分の1~10分の1程度(同社試算)の安価な運賃設定となっている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集・通運
     寄稿-全国通運連盟理事長・飯塚裕氏
      『生産性向上に対応、連盟の18年度事業』
     トピック
      『JR貨物の基本運賃改定』
     インタビュー-日本貨物鉄道取締役営業統括部長・犬飼新氏
      『基本運賃改定交渉は荷主の協力度も考慮して』
     各利用運送事業者担当者に聞く2018年度営業施策
      日本通運通運部長・吉橋宏之氏
      全国通運取締役・小野善明氏
      日本フレートライナー取締役・五島洋次郎氏
    ☆特集 2018年度日通グループ全国ドライバー・フォークリフト大会

  • ☆日立物流グループのインドネシア現法が東ジャワ州で保税物流センター認可取得
    ☆国交省・経産省が「宅配事業とEC事業の生産性向上連絡会」を設置、10月に先進事例公表へ
    ☆社整審道路分科会物流小委が重要物流道路制度で議論、指定まで1年以上要する見込みも優先順位再検討の可能性示唆
    ☆JIFFA、17年度下期国際複合輸送実績は過去2番目と好調
    ☆SBSHDが「感謝の集い」を開催、創業30周年を祝う
    ☆東ト協が理事会開催、18・19年度次期会長候補者に浅井常任理事を選出
    ☆日本郵便がロシア郵便と覚書締結、シベリア鉄道の活用など協力推進
    ☆物流連が8月26日~30日に「第5回物流業界インターンシップ」実施、1社増の33社参加
    ☆日本パレット協会が17年度パレット生産統計・レンタルパレット保有数量調査発表、生産数量は6927万枚の8.7%増でレンタルは2118万枚の2.2%増
    ☆東電物流が協力会社関係者らと安全協議会を開催、安全理念など確認
    ☆JR貨物、6月21日付で本社を組織改正
    ☆佐川急便が北海道と連携協定、貨客混載の推進など
    ☆三井不動産が船橋・羽田エリアで街づくり型の開発プロジェクト推進、新たに4棟開発へ
    ☆日冷倉協が第45回定時総会、自主行動計画の周知など
    ☆日通、流通経済大学トライアスロン部を支援するスポンサー契約を締結
    ☆福岡労働局が監督指導事例を公表、トラック運転手が月151時間の時間外労働が原因とみられる精神障害発症の事例など

今週のユソー編集室

  • ▼3月に公布された改正道路法では、「重要物流道路制度」の創設が盛り込まれ、指定された区間については40フィート背高国際海上コンテナの走行に関する特車通行許可が不要となる。現在、新規区間に関する特車通行許可の審査日数が平均50日以上となっていることを考えれば、制度創設は遅いくらいだ。
    ▼しかし、国交省によれば重要物流道路の指定の前段階となる新たな広域道路ネットワークの検討に1年以上を要する見込みだという。災害時の対応などを織り込んだ検討にある程度時間がかかるのは理解できるが、スピード感に欠ける。
    ▼日本経済を支える物流の円滑化確保に向け重要物流道路の指定だけでも急ぐ必要がある。

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