創業100周年の先見据え、ヤマトらしさ共有を ヤマトHD山内社長が労組中央研修会で講演
ヤマトホールディングスの山内雅喜社長は25日、新潟県湯沢町の湯沢カルチャーセンターで開催された、ヤマト運輸労働組合(森下明利委員長)の中央研修会で講演。支部まで含め約1200人の組合幹部を前に、“ヤマトらしさ”の継続的な共有を呼び掛けた。
山内社長はまず、昨年来の危機を乗り越えつつあるのは、現場の従業員が顧客からの信頼や期待を得ているからと指摘する一方、「安心してはいけない。期待を裏切れば信頼は一気になくなる」と警鐘を鳴らし①社員一人一人が顧客のことを考え生き生きと働けること②正直で誠実であること③世の中の期待に応える便利なサービスを生み出すこと―の三つの“ヤマトらしさ”を共有していくことが必要と訴えた。
中期経営計画「KAIKAKU 2019 for NEXT 100」の中心に据えている働き方改革については、従業員の「働きやすさ」と「働きがい」を構築し、ヤマトの原点である「全員経営」を実践することが目標と強調。
配達特化型ドライバー「アンカーキャスト」の導入や、一人一人の生活スタイルに合わせた人事制度等を導入することで、採用の枠を広げるとともに、SDが地域の顧客と密接に触れ合える以前のサイクルに戻し、自分自身の判断・行動で顧客の期待に応え、顧客の喜びを生み出す形に変えていくとした。
中計では2019年度に過去最高益を計画していることについて「利益を生み出すことが目的ではない。働き方改革と省力化等につながる新たなテクノロジーへ投資していくため」と説明した。
創業100周年となる2019年以降に関しては、中計で掲げた「2025年のありたい姿」を取り上げ、「ヤマトの基本が輸送であることは変わらない。今後は輸送で得られる膨大なデータを元に、輸送以外の分野でも世の中の期待に応えていく」と語り、集配車両に搭載したカメラで路面状況等の情報を収集し、道路管理者に提供することなど、現在行っている試験的取り組みを紹介した。
山内社長は最後に「“ヤマトらしさ”を皆で守っていけば、次の100年も、なくてはならない企業、愛され大切にされる企業でいられる」と締めくくった。