創立70周年を祝う記念式典を挙行、戦後日本の発展と共に輸送の使命振り返る 全ト協
全日本トラック協会(坂本克己会長)は14日、東京都千代田区のパレスホテル東京で協会創立70周年記念式典を開催。戦後から現在までの長きにわたり国民生活や経済活動を支えてきたトラック運送業界のこれまでの歩みを振り返るとともに、労働力不足をはじめとする諸課題を抱える業界の今後のあり方を見つめ直し、坂本会長の下、「ドライバーが自信と誇りを持つことのできる業界づくり」に取り組んでいくことへの思いを新たにした。
全ト協は、前身となる日本トラック協会が1948年2月に設立され、以降、高度経済成長やバブル経済崩壊後の長引く不況、相次ぐ自然災害の発生など戦後日本の時代の変化の中で、トラックという社会に欠かすことのできない「縁の下の力持ち」を束ねる組織として、歴史を重ねてきた。
この間、規制緩和による競争激化や軽油価格高騰、運輸事業振興助成交付金の継続問題など、トラック運送業界は何度も危機に見舞われたが、全ト協が中心となって、行政、政界、経済界、国民を巻き込む運動や要望活動を展開し、今日まで輸送の使命を全うしてきた。
70周年記念式典冒頭、第14代会長の坂本会長は、「全ト協の歴史は日本の艱難辛苦の歴史と重なる。敗戦によって焦土と化した各地域での暮らしや商いを発展させるため、諸先輩方が、荷馬車やリヤカーで必要な物品を運び、オイルショックの時にも“トラック業界がやらねば”との熱い思いで輸送の使命を全うしてきた。これまでの諸先輩方のご労苦に対して敬意と感謝を述べたい」とあいさつ。
阪神大震災や東日本大震災、熊本地震でも全国から救援物資輸送のトラックが出動したことで「日本のトラックここにあり」と、トラックの存在意義があらためて見直されたとの考えを強調するとともに、列席した行政・政界関係者にさらなる支援を求めた。
今後の業界のあり方については、「現場で汗水流して働いているドライバーが、この仕事に就いて良かったと思い、自信と誇り、充実感を持ってもらえるようにすることが重要」と説明。戦国武将武田信玄の「人は城」の名言を引用し、「トラックドライバーこそ城であり、国の宝という思いで、現場の環境整備を進めていきたい」と述べた。
来賓あいさつした石井啓一国土交通大臣は、歴代会長・役員の尽力に敬意を示した上で、トラック運送業界で深刻化している労働力不足に対し、生産性向上や人材確保、適正取引の推進などに取り組んでいく姿勢を示した。
自民党の二階俊博幹事長は、「時代の変化に対し、トラック運送業界もこれまでと同じ調子ではうまくいかないと思う」とし、坂本会長の下、今後の業界の新たな姿を見通す時期に差し掛かっているとの考えを示した。
来賓あいさつの後、協会幹部らによる鏡開きが行われ、粟飯原一平副会長の音頭で乾杯、歓談に入った。