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2018年4月23日付 2699号

従業員数「5~9人」の企業の月間給与が上昇、規模間の賃金格差縮まる 全ト協が17年のデータ公表

 全日本トラック協会(坂本克己会長)は17日、「トラック運送事業に関する賃金・労働時間データ集」を公表。2017年の従業員規模5~9人のトラック運送事業者における月間賃金は30万100円で、16年に比べて1万4400円増加し、16年には3万7900円下回っていた従業員10人以上の事業者との格差は2万3500円に縮まった。

 データ集は、トラック運送事業に関する賃金・労働時間等を把握することを目的に、厚生労働省が毎年行っている「賃金構造基本統計調査」の中から、トラック運送事業に関する部分を抽出し、作成したもの。

 調査実施期間は17年7月1日から7月31日で、調査結果における労働者数(常用労働者10人以上)は、道路貨物運送業で86万9780人と見込まれ、営業用大型貨物自動車運転者は30万8850人、営業用普通・小型貨物自動車運転者は27万9830人と推計されている。

 17年の事業規模別賃金については、「きまって支給する現金給与(月間)」が、従業員数「5~9人」で30万100円(前年比1万4400円増)、「10人以上」で32万3600円(増減なし)となっている。

 13年には「5~9人」が26万9500円(900円増)に対して「10人以上」では30万8500円(5千円増)で3万9千円の開きがあった。

 14年には「5~9人」が27万4200円(4700円増)に対し、「10人以上」は30万7500円(千円減)で、差は3万3300円に縮まったが、15年は「5~9人」の28万1千円(6800円増)に対し、「10人以上」は31万8200万円(1万700円増)で、差が3万7200円に広がった。さらに、16年は「5~9人」が28万5700円(4700円増)に対し、「10人以上」では32万3600円(5400円増)で、差が3万7900円まで広がったものの、17年は「5~9人」が前年に比べ1万4400円増加したのに対し「10人以上」は前年と同額であったことから2万3500円まで差が縮まった。

 17年の「年間賞与その他特別給与額」は、「5~9人」が12万5400円(1900円増)に対し、「10人以上」では36万7千円(2400円減)で、24万1600円の差があるものの、16年と比べ4300円差が縮まっている。

 17年の月間所定内労働時間は、「5~9人」が181時間(10時間増)、「10人以上」が176時間(1時間増)となっている。

中小23社で首都圏宅配の協同組合設立 荷主連携で低運賃に ラストワンマイル協同組合

組合構成各社の幹部、前列中央が志村理事長

 東京・神奈川・埼玉・千葉の首都圏一都三県の中小運送事業者23社で構成されるラストワンマイル協同組合(理事長=志村直純デリバリーサービス社長)は18日、都内で記者会見を開き、同地域全域で6月1日からスタートさせる宅配サービスの概要を説明した。

 大手宅配事業者の協力会社としての活動も行ってきた中小のトラック運送事業者が連携し、ECの拡大などで急増する宅配需要をカバーするもの。発送から配達までの一連の工程の一部を荷主側に負担してもらうことや、付帯サービスを絞り込むことなどで、低運賃を実現した点が特徴となっており、通販配送でこうした協同組合が設立されるのは、初のケースとしている。

 組合員事業者の既存インフラを活用し、3ヵ所の一次仕分センター、7ヵ所の二次仕分センター、44ヵ所の営業所でネットワークを構成。料金体系は、取扱個数で割引率を設定する形ではなく、荷主が輸送工程のどこまでを負担するかで金額を設定する形となっている。具体的には①一次センターに都県別に仕分けた状態で持ち込み②一次センターに各地域を担当する配送会社別に仕分けた状態で持ち込み③二次センターに営業所別に仕分けた状態で持ち込み④営業所に仕分けた状態で持ち込み―の四つを設定。料金はサイズによって決まり、60~200までの10区分を設けた。取り扱う荷物の重量は25キログラムまで。法人向け配送では、2キログラム60サイズの荷物の場合、①が581円、②が508円、③が399円、④が290円。個人宅向け配送は企業向けより高額に設定している。

 スタート当初の付帯サービスは◎時間帯◎指定日配達◎日曜・祝日配達◎荷物追跡◎代引き◎置配◎回収―を予定。時間帯は午前8時~午後2時、正午~午後6時、午後6時~8時の三つ。

 組合では1日当たり3万個の荷物量からスタートさせ、1年後に同5万個、3年後に同15万個を目標として掲げており、今後、茨城・山梨・長野・静岡の各県の事業者を賛助会員とすることで、エリアを拡大するとともに、集荷の電話受け付けやクール便、配達同時集荷依頼、本人確認配達など、付帯サービスの充実化にも取り組んでいく考え。

 このほかCSR活動の一環として、荷物1個につき荷主から1円、組合員から1円の合計2円を募り、毎月交通遺児へ寄付を行う方針も掲げている。

 記者会見に出席した志村理事長は、組合設立の経緯について、大手宅配事業者や中小荷主の双方から要望があったためと説明した上で、「料金は組合員各社と協議した上で設定しており、運送原価に適正利益を加算して算出している。(低コストを売りにしているが)宅配の値上げの機運を止めたいわけではない。疲弊している現場の労働環境の改善と、業界のイメージアップを一番に考えている」と語り、料金設定が適正水準であることを強調した。

 また、スタート当初は倉庫事業者や発送代行事業者による雑貨や飲料水などの荷物を取り扱う見込みと述べるとともに、公平性と料金の透明性を組合運営の基本とし、中小規模の荷主と打ち合わせを重ねながら、混載を主体に事業を拡大させていく方針を掲げ、大規模荷主獲得による急成長路線を否定した。

 なお、組合参加の23社は次のとおり(順不同)。合計した車両数は1日当たり稼働約3100台の規模。

 トータルサポート、AIコンツェルン、日本エリアデリバリー、プラウド、クオリティーサービス、クイックス、H&R、プレンティー、アトムロジスティクス、地区宅便、デリバリーサービス、圏央運輸商事、日本軽貨物輸送連合会、プロキャリーサービス、ワークステーション、翔和サービス、千葉通商、安房運輸、ライフポーター、ドリームネット、WORKS、エース、ティーアンドティー。

今週掲載トピック一覧

  • ☆物流応援歌(新連載)『東京港混雑問題(東京オリパラは…?)』
    ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(99) 『黒田バズーカは不発だったのか(その1)』
    ☆四文字 『赤帽という「急便事業」』
    ☆人物ウィークリー、全日通労働組合・山田昌敏中央副執行委員長

  • ☆日通がインドネシアでハラール認証、マレーシア・日本に続く取得
    ☆センコーが静岡県に東富士PDセンター新設
    ☆全ト協が7月2~13日にGマーク制度の申請受け付け、ネット申請書作成システムの運用開始
    ☆LEVOなど3者、6月から東京~大阪間で大型LNGトラックの走行試験開始
    ☆ヤマト運輸が大分交通・大分航空ターミナルと連携して「客貨混載」開始、全国初の観光支援型
    ☆福山通運がキタザワと資本・業務提携、ノウハウや情報共有で引越事業拡大へ
    ☆三井不動産レジデンシャルなど3社、再配達削減目的にマンション内物流システム構築し横浜の物件に導入へ
    ☆LEVOは6月11日から低炭素ディーゼルトラック補助の公募開始
    ☆日野自動車がVolkswagenと戦略的協力関係の構築に向けた合意書に調印、幅広い領域における協業の可能性を検討
    ☆大和ハウスが千葉県市川市の自社施設でシェアリング倉庫オープン、先端技術の実証も
    ☆国交省が「港湾に立地する物流施設の再編・高度化に対する補助事業」の公募開始、5月11日まで
    ☆物流連が懇談会開催、中谷日立物流社長が講演で自社のスマートロジスティクス紹介
    ☆東ト協がベストドライバーコンテストの参加受け付け中、交通安全モラル醸成へ

今週のユソー編集室

  • ▼自工会が先日発表した2017年度の乗用車市場動向調査によれば、20代以下の社会人の50%超が「お金がかかる」ことなどを理由に、車の購入に否定的だという。
    ▼直接の関係はないかもしれないが、若年ドライバーの確保に頭を悩ませるトラック運送業界にとって、若者の車離れはあまり喜ばしいニュースとは言えない。
    ▼一方でソニー損保が本年1月に発表した調査によれば、新成人の50%超が車の購入予定または購入意向があり、車について40%超が運転そのものや家族・恋人との時間を楽しむものと捉えている。車離れなどと嘆かず、運転の楽しさを知ってもらい、ドライバー職を志す若者が増えてほしい。

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