燃料価格下落で利益改善し増収傾向を維持、黒字事業者が半数以上に 16年度経営分析報告 全ト協
全日本トラック協会(坂本克己会長)は16日、2016年度決算版経営分析報告書を公表。営業収益(貨物運送事業収入)は輸送量の増加を背景に1者平均2億1380万円で、前年に比べ6.1%の増加となった。また、営業利益率は燃料価格の下落により、前年度比0.5ポイント改善し、9年連続の営業赤字から脱却が図られ、黒字事業者の割合は55%と半数以上を占めた。さらに、これまで車両10台以下の区分では半数以上が営業赤字となっていたが、人材不足による傭車利用の拡大を背景に営業収益が増加したことで、51%が営業黒字を計上した。
報告書は1992年度から発行しているもので、今回で26回目。全国の事業者2333者(有効数)から提出された16年度決算(平成15年10月~17年8月)の「一般貨物自動車運送事業報告書」の決算内容を分析した。
16年度は、輸送トン数が増加傾向となったことから、営業収益(貨物運送事業収入)が回復し、燃料価格下落によりコスト削減が進んだものの、運転者人材の確保が困難な状況が続いたことから、人件費および傭車費の負担が増加した結果、営業利益を押し下げた。
16年度の売上高(全ての事業収入、1者平均)は2億1500万円と、前年度の2億390万円に比べて5.4%の増収。このうち営業収益は、2億1380万円と、前年度の2億150万円に比べて6.1%増加し、16年度の売上高と営業収益は15年度からの増収傾向を維持した。
営業利益については、燃料価格の下落効果により、貨物運送事業の1者平均営業利益が34万6千円となり、前年度の営業損失58万3千円から黒字圏へ回復し、全ての事業規模において改善傾向を示した。
一方で、トラック運送業では、必要な運転者数を円滑に確保できない傾向が強く、賃金水準の引上げ、時間外労働の拡大による時間外給与の増加等の影響により、運転者人件費および傭車費の増加が営業利益の改善を限定的なものにした。
以上のことから、売上高営業利益率(全事業)は0.3%と前年度から0.3ポイント改善。営業収益営業利益率(貨物運送事業)は前年度のマイナス0.3%から0.5ポイント改善し、0.2%に回復した。
売上高経常利益率(全ての事業)は1.1%と前年度比0.6ポイント改善、営業収益経常利益率(貨物運送事業)は0.9%と0.7ポイント改善した。経常利益は全ての事業規模で改善傾向を示した。
貨物運送事業の営業利益段階の黒字事業者は55%と、前年度から4ポイント改善、経常利益段階の黒字事業者は61%と、前年度から6ポイント改善した。