女性ドライバー等が運転容易なトラックを検討、11月にガイドライン策定 全ト協・国交省
全日本トラック協会(坂本克己会長)と国土交通省は、トラック運送業界で深刻化する労働力不足への対応の一つとして、女性や高齢者など多様な人材が乗務しやすい車両のあり方を検討するため「女性ドライバー等が運転しやすいトラックのあり方検討会」を設置。14日に東京都新宿区の東京都トラック総合会館で第1回会合を開き、5~8月にかけて自動車・車体メーカーやトラックユーザーにアンケート調査を行うことを決定するとともに、11月をめどにガイドラインを取りまとめる方針を固めた。
トラック運送事業は、わが国の産業活動や国民生活の基盤を支える重要な産業であるものの、トラックドライバーの有効求人倍率は、2.76倍(1月時点、全産業平均は1.8倍)と、他の産業に比べ人手不足が深刻な状況にある。
また、女性トラックドライバーは2.5%と全産業の約43%に比べ女性の就業割合が著しく低い一方で、高齢層の割合が高く、若年層の割合が少ない状況にあり、平均年齢も上昇している状況にある。
わが国物流サービスの継続的な提供には、女性をはじめとする多様な人材の確保のための環境整備が不可欠な状況となっているが、女性トラックドライバーが運転する場合には、運転席への昇降や座席ポジション調整、安全運転支援技術などの配慮すべき項目が多いことから、女性ドライバーが運転しやすい車両の開発が関係者から強く望まれている。
検討会は、こうした状況を踏まえ、全ト協と国交省が共同で設置したもので、女性や高齢者のトラックドライバーの視点に立った車両のあり方に関する議論を進め、最終的にはガイドラインを取りまとめて幅広い関係者に浸透を図ることで、働きやすい労働環境を整備し、女性・高齢者ドライバーの確保・育成を推進していく。
座長は東京大学の鎌田実教授が務め、委員は学識経験者、モータージャーナリスト、日本自動車工業会、日本自動車車体工業会、陸上貨物運送事業労働災害防止協会、運輸労連、全ト協、行政の担当者らで構成されている。
検討会では今後、トラック・車体メーカーやユーザーなどへのアンケート・ヒアリングを行うため、調査計画案を取りまとめて5月の第2回会合に提示、5~8月かけて調査を進め、9月の第3回会合に結果を報告した上で、11月の第4回会合でガイドラインを取りまとめる。
調査では、大型トラックメーカーに対して、ハンドル、ペダル類、ギヤ、乗降性、オートマチック化の動向などについて調べるとともに、女性ドライバーに関連するニーズの把握状況やニーズへの取り組みの有無、取り組みの阻害要因などについて質問する。
ユーザーへの調査は、トラック事業者と女性ドライバーに対して実施。事業者アンケートでは、女性ドライバーが乗務している車種や女性採用に関する荷役、配車、運行計画などのメリット・デメリットなどについて質問する。
女性ドライバーには、主に運転している車種や車両に求める安全性・快適性・利便性などについて尋ねる。
ガイドラインは、自動車メーカーのモデルチェンジの際の参考に役立てるほか、車体架装メーカーの設計やオプション設定に反映させることなどを目的に取りまとめる。
また、トラック事業者の発注時の参考になるような内容も盛り込まれる予定。