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2018年3月5日付 2692号

請願書と署名185万筆、衆参副議長らに手交 働き方改革関連法案見直しを  運輸労連

会見の模様

 運輸労連の難波淳介委員長は1日、昨年から取り組んできたトラックドライバーの過労死防止に向けた請願署名活動について、衆参両院の副議長らに請願書と署名を手交するとともに、東京都千代田区の厚生労働省で記者会見を行った。

 働き方改革関連法案において、自動車運転業務の時間外労働上限規制が、休日労働を含まず年間960時間(月80時間)とされたことについて、同労連は「過労死基準を大幅に上回る時間外労働を国が容認する」と強く反発。法案の見直しを求め、昨年7月から請願署名活動の取り組みを進めていた。

 具体的な請願項目は①年間の時間外労働の「上限規制720時間以内」の適用②休日労働を含めた「2~6ヵ月平均80時間以内」「単月100時間未満」の適用③長時間労働の改善に際して生活できる賃金の確保に向けた施策の展開―の三つで、連合加盟単組の協力も得て、最終的に当初目標の100万筆を大きく超える、185万4423筆の署名を集めた。

 このため同労連では1日の午前中、難波委員長と世永正伸副委員長が、赤松広隆衆院副議長と郡司彰参院副議長、同労連議員懇談会所属の衆参議員を訪ね、請願書と署名を手交した。

 同日厚生労働省で行った記者会見には、難波委員長・世永副委員長のほか、杉山豊隆副委員長らも出席。難波委員長は請願署名提出に至った経緯やトラック運輸産業の実態などを説明した上で「請願署名活動の最大の目的は、物流を止めてはならないということ。産業の魅力を広めて、若い人たちに、この産業に入ってきてもらいたい」と心情を吐露した。

 また“ヤマトショック”の影響で、適正運賃収受の動きが進んでいることを説明し、そうした動きが賃金引き上げにどのように反映されるかが課題になるとの認識を示すとともに、今後も連合の中で産業の実態を訴えて理解を促進し、労働組合の立場から他産業の要望も聞き、事業者側に伝える役割を果たしていきたいと語った。

4月1日付で機構改正、AI・ロボティクスプロジェクトなど設置  センコー

 センコーグループホールディングス(福田泰久社長)は4月1日付で機構改正を実施する。

 少人化への対応や新商品の研究開発を推進する「AI化プロジェクト」、労働環境対策、生産性や品質の向上に向けた研究開発などを推進する「ロボティクスプロジェクト」を設置するほか、「センコー汽船」「センコー不動産」を設立する。

 機構改正の概要は次のとおり。

〈センコーグループHD機構〉
①『IT・人事教育担当』の名称変更=『IT・人事教育担当』は担務する人事事項を新設する『総務部』に移管し『IT・教育担当』に名称変更する②『総務部』の設置=センコーグループHD内の「総務・人事事項」、事業グループ間の「人事事項」、グループ全体の「農業関連事業」の統括管理、ならびに潮見SIFビルのビル管理業務を担務する③『外国人就労支援室』の設置=外国人就労のさらなる積極的支援を図る。『外国人就労支援準備室』は発展的に解消する④『中国事務所』の発展的解消=センコー国際物流事業本部へ業務を移管し、発展的に解消する。

〈グループ会社〉
①『センコー汽船(株)』の設立、および『センコー海運部』の事業分割承継=『センコー海運部』の海運事業等を、新たに設立する『センコー汽船』に分割承継し、『センコー海運部』は発展的に解消する。新会社設立により、『日本マリン』『栄吉海運』をはじめとする海運事業系グループ会社との船舶持ち合いなどで協力体制を強化する②『センコー不動産』の設立=『センコー・リアルエステート』と『センコー・ファシリティーズ』を合併し、『センコー不動産』を設立する。

〈プロジェクト体制〉
①『AI化プロジェクト』の設置=AIの自動配車システムへの活用など、AI技術を事業に最大限活用し、少人化への対応や新商品の研究開発を推進する②『ロボティクスプロジェクト』の設置=倉庫内作業のロボット化や事務作業の業務自動化などのロボット化を進め、労働者不足に対応するための労働環境対策、生産性や品質の向上に向けた研究開発などを推進する。

今週掲載トピック一覧

  • ☆引越特集(2)
     各社の施策
      ヤマトホームコンビニエンス
      SGムービング
      押入れ産業
      アートコーポレーション
     全ト協「平成30年引越繁忙期対策」
    ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(96) 『大規模金融緩和は継続(その2)』

  • ☆日通商事、最新機器・システムを導入した西日本最大規模の自動車等整備工場「大阪整備工場」竣工
    ☆センコー、タイ大手外食チェーンと合弁設立し同国内で冷凍・冷蔵物流拡大へ
    ☆国交省、自動車運送事業者向けの脳血管疾患ガイドライン策定
    ☆ヤマトHD、4月1日付でグループ組織再編
    ☆運輸労連の難波委員長が会見、「今までと違う春闘に」
    ☆D.N.A、第5回トラックドライバー甲子園開催
    ☆ブリヂストン、新型トラック用タイヤ「ECOPIA M801」の公開テストで燃費性能向上を実証
    ☆埼玉ト協等、安全運転コンクールなどの表彰式を開催
    ☆国交省、物流用ドローンポートのガイドライン案を審議

今週のユソー編集室

  • ▼3月に入り首都圏では春を思わせるような暖かな日も増えてきた。年度末と引越の二つの繁忙期が重なるこれからの時期は、特に交通事故に気を付けたい。
    ▼警察庁によれば、2017年の交通死亡事故の死者数は3694人となり、統計の残る1948年以来の過去最少を記録した一方で、事業用貨物自動車が第一当事者となる死亡事故件数は270件に上り、5年ぶりに前年を上回ったという。
    ▼警察庁は17年の特徴として、高齢運転者の起こした事故の割合が高まったことを挙げている。これらを受けて国交省は、全ト協に対し、乗務員の健康状態把握や高齢者運転者への心がけなどを会員に周知するよう求める文書を発出した。
    ▼国交省は23日、「自動車運送事業者における脳血管疾患対策ガイドライン」を策定した。トラックドライバーの高齢化も進む中、まずはドライバーの心身の健康を保ち万全な状態で業務に臨むことで、死亡事故を1件でも減少させたい。

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