海コンの増加に対応 今後の特車許可制度「走行時重視」へ、車載型荷重計測システム導入も 社整審道路分科会基本政策部会
社会資本整備審議会道路分科会基本政策部会は5日、東京都千代田区の経済産業省で第65回会合を開き、2日に閣議決定され国会に提出された道路法等の一部改正案について報告を受けるとともに、国際海上コンテナの増加などにより審査期間の長期化などの問題が顕在化している特車通行許可制度の今後のあり方について審議。OBW(車載型荷重計測システム)によるモニタリング強化など、新技術を活用した新たな許可制度について検討を進める方針を固めた。
同部会が昨年8月に取りまとめた建議などを基に国会に提出された道路法等の一部改正案については、特別な構造基準を満たした道路として指定された区間の特車許可を不要とする「重要物流道路制度」創設などを盛り込んでいることを国交省の担当官が説明。制度創設により、2016年度約30万台となっている国際海上コンテナ(40フィート背高)の特車通行許可台数を10年後におおむね半減させるとの目標が、1月末に決定された総合物流施策大綱の推進プログラムにも記載されている。
特車通行許可制度については、国際海上コンテナの増加などにより13年には約26万台だった許可件数が17年には約37万件と1.4倍に増加。これにより、平均審査日数が1ヵ月以上を要しており、急な輸送需要に対応できないなどの弊害が発生している。
また、審査に時間がかかるため、許可を待たずに輸送する車両の増加などにより約3割が過積載になるなど、制度への信頼を揺るがしかねない状況にある。
さらに、過積載の取り締まりは、道路管理者が限られたマンパワーで対応しており、荷主に対する責任追及も十分には行われていない。
こうした状況に対処するため、オーストラリアで用いられているモニタリングシステムなどを参考に、新技術を活用した新たな許可制度について検討していくとの方向性が示された。
示された今後の許可制度のイメージ案では、地方道を含む道路の情報を国や地方自治体などの道路管理者がデータ化し、それらのデータを基に国が一元管理するシステムで審査を自動化・簡素化、トラック事業者はオンラインで迅速な許可取得が可能になるというもの。
このほか、車両にOBWを搭載して、荷主と連携した過積載防止を図るとともに、走行中にも常時経路や重量を計測して、違反者への警告・取り締まりを効果的・機動的に行う「走行時重視」のイメージが示された。
OBWは、車軸に装着されたセンサーで車軸のひずみを計測し重量を算出するものが主流となっており、EUでは21年5月までにOBWをはじめとする自動重量計測機を用いた過積載車両の検知体制を導入するよう各国に要請、15年時点で新車(トラクター)の約半数にOBWが装着されている。
また、オーストラリアでは、重量緩和制度を利用する場合には、OBWやGPS車載器を装着した上で、重量・経路データをサービス事業者に常時提供するモニタリングシステムが採用されている。
わが国でも「走行時重視」の許可制度に転換するためには、OBWなどの装着が不可欠となるが、OBWとセットで装着されることの多いエアサスペンションの形式がEUのものと異なることやコスト(8千ユーロ~)などの問題があり、装着義務化などには慎重な検討が必要となる。