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2018年2月5日付 2688号

総合物流施策推進プログラム決定、99施策を盛り込む 「強い物流」実現へ  国交省

 国土交通省は1月31日、昨年7月に閣議決定された「総合物流施策大綱2017~20年度」の具体的な施策や目標などを取りまとめた「総合物流施策推進プログラム」を決定した。

 「総合物流施策大綱(2017~20年度)」では①サプライチェーン全体の効率化・価値創造に資するとともにそれ自体が高い付加価値を生み出す物流への変革(=繋がる)~競争から共創へ~②物流の透明化・効率化とそれを通じた働き方改革の実現(=見える)③ストック効果発現等のインフラの機能強化による効率的な物流の実現(=支える)~ハードインフラ・ソフトインフラ一体となった社会インフラとしての機能向上~④災害等のリスク・地球環境問題に対応するサステイナブルな物流の構築(=備える)⑤新技術(IoT、BD、AI等)の活用による“物流革命”(=革命的に変化する)⑥人材の確保・育成、物流への理解を深めるための国民への啓発活動等(=育てる)―の六つの視点から取り組むべき方向性を示しており、推進プログラムではこれに応じた99施策を盛り込んでいる。99施策のうち新規は30施策、拡充は38施策、継続は31施策となっており、60施策については目標年度・数値(指標)を示している。

 「サプライチェーン全体の効率化・価値創造に資するとともにそれ自体が高い付加価値を生み出す物流への変革(=繋がる)」では、「荷主、物流事業者などの事業者間の連携・協働の促進、RFID利用拡大等による連携・協働を円滑化するための環境整備により、貨物の積載効率の向上やモーダルシフトの促進による内航海運・鉄道の輸送量の向上等を図ることで、サプライチェーン全体の効率化を実現する」「わが国の高品質なコールドチェーン物流サービス等の国際標準化や農林水産物・食品の輸出促進に資する物流面での取組等の推進により、質の高いわが国物流システムの海外展開の促進やわが国農林水産物・食品の輸出促進等を図ることで、高い付加価値を生み出す物流への変革を実現する」とし、次のような指標を掲げている。

 ◎トラック積載効率=【16年度39.9%→20年度50%】◎海運によるモーダルシフト貨物の輸送量=【15年度340億トンキロ→20年度367億トンキロ】◎鉄道によるモーダルシフト貨物の輸送量=【16年度197億トンキロ→20年度221億トンキロ】◎コンビニの取扱商品への電子タグの貼付数=【16年度0個→25年度推計1千億個/年=コンビニの全ての取扱商品への貼付】◎アジアにおけるわが国物流事業者の海外倉庫の延べ床面積=【20年度までに17年度比2割増】◎農林水産物・食品の輸出額=【16年7502億円→19年1兆円】◎効率化等の取り組みにおける手待ち・荷役作業等の削減率=【17年度0%→20年度▲30%】

 なお、物流効率化法に基づく計画認定(1月31日現在66件)については、20年度までに250件を目指す。

 「物流の透明化・効率化とそれを通じた働き方改革の実現(=見える)」では、「法令遵守の下、これまでの取引慣行を見直し、サービス内容の可視化とそれぞれの対価との関係を明確化し、健全な市場メカニズムが機能する環境を整えるとともに、人材の確保、定着、育成につながる働きやすい環境を整備するため、『働き方改革実行計画』に基づき2017年6月に設置された『自動車運送事業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議』において取りまとめられた『直ちに取り組む施策』を推進するとともに、2018年春ごろをめどに政府としての行動計画を策定・公表する」とし、主な指標に◎トラック運送事業における契約内容の書面化率=【17年度約50%→20年度60%】◎宅配便の再配達率=【17年度16%程度→20年度13%程度】◎トラック運転に従事する女性労働者数=【16年度約2万人→20年度約4万人】―などを盛り込んだ。

 「ストック効果発現等のインフラの機能強化による効率的な物流の実現(=支える)~ハードインフラ・ソフトインフラ一体となった社会インフラとしての機能向上~」については、「利便性、迅速性、安全性、効率性等を兼ね備えた物流を実現していくため、道路・海上・航空・鉄道輸送に関するインフラや物流拠点の整備をハード・ソフト一体で進め、輸送モード間の連携『モーダルコネクト』を強化することで、物流ネットワークの強化を図る」「住民等の利便性、道路交通の安全性や景観等と物流の効率性の両立を図るため、大規模建築物に係る物流の円滑化、きめ細かな駐車規制等によるより良好な駐車秩序の確立、貨客混載も含めた共同輸配送の促進等により、物流を考慮した地域作りを進める」とし、◎三大都市圏環状道路整備率=【16年度74%→20年度80%】◎国際海上コンテナ車(40フィート背高)の特車通行許可必要台数=【16年度約30万台→26年度おおむね半減】―などの指標を示した。

大口法人6割が値上げ、宅急便単価大幅に改善へ 通期予想を上方修正  ヤマトHD

 ヤマトホールディングス(山内雅喜社長)の芝崎健一専務執行役員は1月30日、2018年3月期第3四半期連結決算の開示に伴って記者会見し、宅急便単価が大幅に上昇していることなどを明らかにするとともに、通期業績予想の上方修正についても発表した。

 芝崎専務は会見で、約1100社に及ぶ大口法人顧客との価格交渉がほぼ終了し、6割の法人が値上げを受け入れる一方、残り4割の法人が他社との契約を選択したこと、値上げ幅の平均が15%超に上ること、このため宅急便単価が昨年9月末時点と比較して29円増の583円と急上昇したことなどを明らかにした。また17年度の宅急便予想個数については、昨年9月末時点の予想を2千万個上回る18億4600万個とし、16年度との比較では2100万個の減少にとどまるとの見通しを示した。

 これらを踏まえて行った通期業績予想の修正では、売上高を昨年10月に発表した当初予想から280億円増の1兆5300億円に、営業利益と経常利益を60億円増の310億円に、親会社株主に帰属する当期純利益を25億円増の145億円に、それぞれ修正する。

 同社ではこれについて、大口法人顧客に対する運賃交渉が進んでいることなど、プライシングの適正化による宅急便単価の上昇がみられ、取扱数量の減少や「働き方改革」に伴う費用が増加する中で、業績が回復基調となったためとしている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆物流業界の新年会
    ☆アベノミクス物流にとって 「吉」か「凶」か(94)『トラックドライバー不足再考(その12)』

  • ☆運輸労連が結成50周年記念レセプション開催、関係者ら400人出席
    ☆ヤマト運輸・豊田市・豊栄交通と連携し初のコミュニティバス活用で「客貨混載」開始
    ☆建交労中央運輸労使協議会、労働力不足対策など国交省はじめ関係機関に要請 運賃・料金収受も
    ☆日通総研短観、トラック運賃の上昇圧力一段と強まる見通しと分析 荷動き回復継続
    ☆インドネシアヤマトがインドネシアに合弁会社を設立
    ☆九州運輸局・九州ト協などが物流効率化シンポジウム、3月に九州で初開催
    ☆矢崎エナジーシステムがロジ勤怠システムと資本業務提携し勤怠管理システムの普及を支援へ、運送業界の健全な発展寄与
    ☆NEXロジインドネシア、ジャワ州都のスマラン市に新拠点開設
    ☆運輸労連、中央委で春闘方針など決める
    ☆総務省が17年の人口移動報告、東名大転入超過進む 市町村7割が転出超過
    ☆国交省、改正標準引越約款6月1日付で施行 解約料率引き上げ
    ☆国交省が第5回自動運転における損害賠償責任に関する研究会で方向性固める、メーカーに求償も
    ☆全ト協が引越優良認定制度「お客様対応責任者研修会議」を4~6月に全国10ヵ所で開催
    ☆通運連盟、鉄道コンテナお試しキャンペーンの申請個数14%増に 予算枠に迫る
    ☆JR貨物、本社組織改正実施 人事制度検討へ
    ☆日本通信販売協会が「納期の苦情に対する顧客対応」と題する相談コーナーを掲載、消費者に理解求める
    ☆国交省が17年度10月期の宅配便再配達率を公表、都市部では17%に 今後年2回調査実施
    ☆日倉協が記者説明会開催、施設見学会が内定者確保につながる
    ☆アートコーポレーションがアート・ミニオン・トラックの運用開始、車体全面にラッピング
    ☆日本パレット協会が新春講演会を開催、教科書に「物流」掲載を

今週のユソー編集室

  • ▼AI(人工知能)を搭載した囲碁ソフトが世界のトップ棋士を打ち破ることは、もはやニュースではなくなった。“最善の一手”の追求に、棋士の入り込む余地はないのかもしれない。
    ▼最新技術の有用性と必要性は十分認めつつも、研究機関に「AIによってなくなる職業」などと発表されると、囲碁ソフトが最強の棋士を破った時にも感じた、得体のしれない不安のようなものがこみ上げる。
    ▼国土交通省は1月末から2月にかけて、トラックの後続無人隊列走行に向けた実験を開始した。ドライバー不足に頭を抱えるトラック運輸産業にとって、最も注目すべき技術であることは間違いなく、早期実現に向けたハード・ソフトの整備を期待したい。
    ▼一方で、路面状況の変化への対応や運行管理システムがハッキングされた時の対応など、具体的な不安もある。そうした具体的な不安を解消していくことで、最新技術に対する抽象的な不安も解消できるといい。

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