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2018年1月22日付 2686号

鉄道部門黒字を「死守」 必要な投資は継続、繁忙期の3月にはイールドマネジメント強化も  JR貨物田村社長

会見する田村社長

 JR貨物の田村修二社長は18日の定例記者会見で、鉄道事業部門の2年連続の黒字達成を「死守する」と述べるなど、あらためて強い意欲を示した。

 田村社長は会見で、本年度の残り3ヵ月間について、閑散期に当たる1月2月は量の確保を優先し、繁忙期の3月は地域特性なども勘案しながら、特にスポット的な需要に対して割高な運賃を設定するなど、今まで列車の積載率などに応じて行ってきたイールドマネジメントを、さらに強化していく考えを示した。

 荷動きについては、積合せ貨物や飲料水などで一定の動きがあると見込んでおり、昨年末のような荷主の出荷調整による荷動きの平準化も図られると予想。鉄道貨物輸送に対する需要の盛り上がりを期待するとした。

 一方で、それらの増収策と併せ、本年度は人件費や修繕費等で必要な投資を行っていく方針を掲げており、増収分と同程度のコスト増が発生していることから、収入と経費のバランスを慎重に見極めながら「鉄道貨物部門の黒字を死守する」姿勢を強調。現段階での見通しについても「楽観はしていないが、3月末まできっちり仕上げていきたい」と力を込めた。

 来年度以降の取り組みについては、3月に実施するダイヤ改正を基に、往復実車輸送の実現などこれまでの営業施策の深化を図ることや、「東京レールゲート」など大型物流施設整備および各地方主要拠点での同様の施設整備と鉄道貨物誘致に全力投球で臨むこと、タイなど海外への技術支援に積極的に取り組むことを挙げた。

 このうち「東京レールゲート」については、昨年12月に新たな駅事務所を開設し、現在第2段階として、2年後の稼働を予定している「WEST棟」の入札や詳細設計に取り掛かっていることを説明。「各事業者に対して大まかな案内をしているが、興味を持たれている事業者は多い。約300億円を投じる“社運を賭けた”プロジェクトだが、各主要駅に同様の大型施設を整備し、鉄道貨物の増送に結び付けたい」と意欲を示した。

 このほか会見に同席した犬飼新取締役営業統括部長が、鉄道利用運送(通運)事業者との間で懸案となっているオフレールステーション(ORS)の新営業所化について、「収支の改善傾向が見られないORSについて、年度内には方向性を示したい。一律に行うのではなく、現地の通運や荷主に理解を得ながら進めていく」と語った。

GOP接客対応コンテスト、筆記と実技審査 優勝に中原さん(松本主管)  ヤマト運輸

優勝した中原さんの実技審査の様子

 ヤマト運輸(長尾裕社長)は16日、東京都大田区の同社羽田クロノゲートで、第5回全国ゲストオペレーター(GOP)接客応対コンテストを開催した。

 コンテストは「一番身近で、一番愛されるGOPになろう」のスローガンの下、全国約4千ヵ所の宅急便センターで顧客対応を行っているGOP約1万5千人を対象に、日ごろの業務を全国規模で披露する機会を創出し、一人一人のモチベーションアップを図り、顧客に気持ち良くサービスを利用してもらえる接客応対を全社的に浸透させることを目的として、2014年から毎年開催しているもの。

 今大会には全国10支社と沖縄ヤマト運輸を代表する15人が参加し、敬語や言葉遣いなどビジネスマナーに関する筆記試験と、実技審査に臨んだ。実技審査では宅急便センターの受付窓口を再現した会場で、9分間の競技時間内に、3人の顧客が別々に来店するという設定で行い、顧客を待たせることなく快適にサービスを利用してもらうためのコミュニケーションスキルを審査した。

 競技の結果、優勝には北信越支社松本主管支店信州大学前センターの中原須美江さんが、準優勝には中部支社愛知主管支店竹の山センターの武井紗代さんが、それぞれ輝いた。

 優勝した中原さんは「普段の接客では、笑顔でハキハキと接客することを心がけています。今日の体験を忘れずに、お客さまに、荷物は必ずヤマト運輸にお願いしたいと言っていただけるような、素晴らしい接客応対を心がけていきたいと思います」とコメント。

 長尾社長は「お客さまと対面で接客できる機会は非常に重要。GOPの接客はSDよりもお客さまと少し長く接することができるので、来店の経緯や気持ち、要望に応えるにはどうすればいいのかなどに思いを巡らせることが、お客さまによい体験をしていただくことにつながる」と語り、接客応対品質の向上に一層力を注いでいく姿勢を強調した。

今週掲載トピック一覧

  • ☆物流業界の新年会
    ☆ウォッチ(80) 『物流がトップランナーになる日(その1)~ドローン・ロボットによるラストワンマイル~』

  • ☆国交省・経産省、トラック隊列走行23日に公道での実験開始
    ☆運輸労連が17年度賃金実態調査発表、月額賃金は2年連続の増
    ☆ヤマト運輸が第3回全国SD接客応対コンテスト開催、優勝に清水SD(本厚木駅西口センター)
    ☆交通労連が中央委、賃上げ要求額1万1千円中など春闘方針固める
    ☆YLCがフィリップスと協業で合意、健康ソリューションの提供など
    ☆JR貨物がグループ社長会議を開催、モーダルシフトの担い手として存在意義アピールへ
    ☆国交省、2月に荷主との連携・協働による生産性向上セミナー開催
    ☆JILS、ロジスティクスKPI活用の手引き発行

    ☆取引環境・労働時間改善東京協議会、17年度パイロット事業は中継輸送など2件
    ☆物流連、第19回物流環境大賞の募集開始
    ☆LEVOの17年度物流分野CO2削減対策補助、4次公募で44件採

今週のユソー編集室

  • ▼警察庁は4日、2017年の交通事故死者数について、前年比210人減の3694人と発表した。統計が残っている1948年以降では過去最少になるという。
    ▼この数字は、過去最多だった1960年の1万6765人と比べると78%の減少になる。2007年の5796人と比較しても36%の減少となり、官民を挙げた交通死亡事故減少への取り組みは、一定の成果を上げている。
    ▼一方で、17年の飲酒死亡事故の件数は前年を12件下回る201件となっており、07年との比較では54%の減少となった。ただ、昨年末の全国一斉飲酒運転取り締まりでは、普通貨物自動車の逮捕が1件発生しており、飲酒運転撲滅の道は険しい。
    ▼かつて1万人を超える交通事故死者を出し、“交通戦争”と呼ばれた時代があった。飲酒運転による悲惨な事故も何度も見てきた。そうした苦い経験を糧に、今、新たな気持ちで交通事故死者ゼロに向けた歩みを進めたい。

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