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2017年12月20日付 2683号

インタビュー ヤマトホールディングス㈱ 山内雅喜代表取締役社長
「KAIKAKU 2019 for NEXT100」
働き方改革と三つの構造改革で次の100年を目指す

 本年9月に中期経営計画「KAIKAKU 2019 for NEXT100」を発表したヤマトホールディングス。中計の内容と“ヤマトショック”などについて聞いた。

 ―中期経営計画の中心となる「働き方改革」で、人事制度の刷新を打ち出していますが。

 新しい人事制度では「働きやすさ」と「働きがい」をしっかり追求していく考えです。

 「働きやすさ」の追求とは、まずは労働時間や労働環境を改めワーク・ライフ・バランスを確立できる勤務体制として、「働いてみたい会社」「働いていたい会社」を目指すということです。

 新しい人事制度では、その人のライフステージに応じて、例えば自分の時間をもっと増やしたい時期であれば、年間の休日を増やせるような働き方が選択できる人事制度を構築していきます。これからはパート社員のままでリーダーや管理者を務めていただけるような、新しい職場のあり方も検討していきます。

 もちろんそうした場合、評価制度も併せて変えていく必要があります。一例として、ヤマト運輸のSDの給料のインセンティブ部分について、これまでの“たくさん配達した人ほど高くなる”仕組みに対して、“付加価値性の高い仕事をした人ほど高くなる”ような評価軸を導入するケースも考えられるかもしれません。

 ―新人事制度はグループ全体に関するものでしょうか。

 グループ全体です。特に今後は仕事もボーダーレス化しますし、人材という部分でもフレキシブルに対応して、これまで以上にグループ内の人材の流動化を意識していく必要があります。人事制度という共通基盤を明確にして人材を流動化させ、グループの活性化や環境変化への的確な対応を図っていくつもりです。

 ―人材の流動化は、まだ十分ではないと。

 まだ十分ではありません。事業フォーメーション内の流動化は進んでいますが、事業間をまたいでの流動化は不十分だと感じています。社会のグローバル化やボーダーレス化が進んでいますから、ヤマトグループの総力を結集していかないと、競争に勝ち残っていけないと思っています。

 ―中期経営計画を実現していく上で「働き方改革」以外に重要なことは何でしょうか。

 中期経営計画では「デリバリー事業の構造改革」「非連続成長を実現させるための収益・事業構造改革」「持続的に成長していくためのグループ経営構造改革」の三つの改革を打ち出しています。

 1番目の「デリバリー事業の構造改革」は、ヤマトグループの基幹・基盤であり、強さの源泉になっている事業について、基盤を再度構築・強化する内容です。2番目の「収益・事業構造改革」は、2020年度以降にヤマトグループを引っ張っていく次なる成長エンジンを準備していくもので、3番目の「経営構造改革」は、成長を実現させるための組織やガバナンスの刷新を掲げたものです。

 基盤となる「デリバリー事業の構造改革」が実現することで、次なる成長エンジンがさらに威力を発揮できますから、まずは「デリバリー事業の構造改革」をしっかりとやることが重要です。

 インタビューの続きは電子版かコンビニプリントサービスでお読みいただけます。

社会の公器として評価受け優秀な人材確保へ、町田社長が会見  SGHD株式上場

セレモニーの栗和田会長(左)

 SGホールディングスの町田公志社長は13日、同日の東証一部上場に伴い記者会見し、上場を踏まえた今後の経営の方向性などについて語った。

 町田社長はまず、売り出し価格が仮条件の上限である1620円となったことについて「順調に第一歩を踏み出せたものと安堵している。ステークホルダーの期待に応えられるよう、しっかり経営していきたい」と感想を述べた。上場の目的については「機関投資家の皆さまにも聞かれた」と苦笑いしながら「社会インフラを支える企業として、きちんと公器としての評価を受け、優秀な人材を確保するため」と説明。

 日立物流との関係については、提携後1年8ヵ月の成果などから「可能性を十分感じている」と手応えを見せる一方、「独禁法の障壁から、大きな取引では細心の注意を払う必要があり、多少のやりづらさも感じている」と複雑な状況であることを示し、資本提携の見通しについても「3年間でシナジーを十分確認してから次のステップに進む」と語るにとどめた。

 また今後の経営の方向性として「時価総額やフェアバリュー(適正価格)を常に認識していく。(中計で掲げる)“アジアを代表する総合物流企業グループ”になるため、フェアバリューを活用して成長を図るタイミングも出てくるだろう」と語った反面、具体的なM&Aについては、過去の例も振り返りながら「M&Aは“縁”が大事であり、M&Aそのものを目的化してはいけない」と自戒し、対象企業の見極めが重要との認識を示した。

今週掲載トピック一覧

  • ☆物流界のトップトピック『ゆく年2017』
    ☆日中ビジネスワンポイント(170) 『三清山、篁岭古村、九華山を訪問(2)』
    ☆四文字 『協業化へ「業界希求」』

  • ☆大谷日冷倉協会長が会見、EC拡大踏まえ物流サービス高度化へのサポート活動目指す
    ☆社整審物流部会、区間を指定し40フィート背高国際海上コンテナを特殊車両許可なく走行可能に
    ☆全ト協、17年度Gマーク認定事業所は全体の28.9%と発表 引越安心マークは323事業者に
    ☆自民・公明両党が物効法の特例措置延長など18年度税制改正大綱決定、物流事業者のスマートIC整備の土地取得で新制度も
    ☆首都圏キット利用協組が創立20周年記念式典・祝賀会を開催
    ☆日通がタイ最大の工業団地内に新倉庫を着工
    ☆齋藤日通社長、不動産事業の収益100億円規模を目指す
    ☆国交省・経産省等が第16回グリーン物流パートナーシップ会議を開催、優良事業者を表彰
    ☆国交省がトラックの過積載の荷主対策として違反者から荷主情報を聴取、「試行」として1ヵ月間実施
    ☆全ト協女性部会が第1回協議会開催、初代部会長に原氏
    ☆国交省、ドローン等の目視外飛行にで物流での2地点間単機・複数機の運航要件固める

今週のユソー編集室

  • ▼今年も残すところあとわずかとなった。この紙面が本紙2017年最後の号ということになり、例年どおり4~5面で各社・団体の年末トップトピックを掲載している。
    ▼あらためて17年を振り返ると、“ヤマトショック”に触れないわけにはいかないだろう。物流業界における労働力不足の実態が白日の下にさらされ、宅配荷物を受け取る側にも一定のマナーとモラルが求められるという社会認識が醸成された。
    ▼そうした認識は、標準運送約款の改正といった、トラック運送事業全体を巡るさまざまな取り組みを陰に陽に後押ししており、適正な運賃・料金の収受や、それに伴う現場の労働環境改善への期待が大きく高まっている。
    ▼一方で、業界の労働力不足の急激な改善が見込めないことも明確で、生産性の大幅な向上は焦眉の急だ。さまざまな課題を抱えながら迎える新年だが、業界にとって、そして読者の皆さまにとって、よい年になるよう願ってやまない。

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