物流用ドローンポートシステム ガイドライン年度内に策定、過疎地利用前提に 国交省
国土交通省は6日、東京都千代田区の同省で第5回物流用ドローンポート連絡会を開き、9月と11月に長野県内で実施した実験結果を報告するとともに、ドローンポートシステム利用ガイドラインを年度内に取りまとめる方針を固めた。
実験は、画像認識を用いた自動着陸を行った3月の第1回に続き、9月にはシステムを構成する全機能についての第2回実験を実施、11月の第3回実験では一般機体を利用した統合検証実験を行った。
第2回実験では、道の駅~高齢者専用住宅間の往復約800メートルの輸送について、離着陸地点から離れた場所に監視地点を設置し、クラウドシステムのインターフェイスを通じて間接的にドローンポートの状況や離着陸動作を確認するとともに、ポートに人が侵入した場合や強風の際の離着陸待機指示などを検証。いずれも問題なく、輸送を行うことができた。
第3回実験では、それまでのプロトタイプ機体から一般機体による飛行に切り替えた上で、湖の上をメインとした往復約4キロメートルのコースで野菜の輸送を行った。ドローンポートのマーカー検知カメラやドローンポートシステムと通信を行う小型コンピューターからなる「ドローンポートモジュール」を機体のフライトコントローラーと接続、携帯電話の通信回線やアプリケーションを通じて機体の位置情報をリアルタイムに確認しながら、リハーサルでは問題なく飛行することができたものの、本番飛行中に異常を検知して湖上に緊急着水した。異常の原因については、現在調査中だが、機体制御系に何らかのトラブルが発生したものとみられており、現在のところドローンポートモジュールとは無関係であるとしている。
第3回実験で得られた課題について、実験を行ったブルーイノベーションと東京大学の共同チームは、「実験専用機とは異なる機体(フライトコントローラー)との接続調整や、一時的な電波受信状況悪化による通信途絶など、様々な事象が発生した」と報告。今後の展望については、「物流用ドローンポートシステム普及のためには、提供サービス、設置場所、使用する機体等によって、ドローンポートに求められる機能・性能が異なるため、サービス条件、環境条件、機体条件ごとの細かい実証が必要」としている。
利用ガイドラインについては、過疎地をはじめとする山間地・離島などでの物流用ドローンポート利用を前提に、ドローンポートシステムの①概要②利用条件③利用方法―について解説するとともに、飛行経路の設定や物流での機体運用、事故発生時の対応などについて考え方や注意点などを盛り込む。
来年2月に開催予定の次回連絡会で最終案を示し、年度内にガイドラインを策定する。