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2017年11月20日付 2679号

標準引越約款改正で引越の直前キャンセル、解約料引き上げへ  国交省

 国土交通省は、引越サービスのインターネットでの予約・解約や単身世帯の増加などの環境変化への対応を進めるため、標準引越運送約款の改正に向けた検討を行っているが、15日に約2年半ぶりに開催された標準引越運送約款改正検討会では、解約・延期手数料率の引き上げや積合せ運送の引越標準約款適用などを盛り込んだ改正案を示した。改正約款は来年6月に施行される予定。

 現行の引越約款は、車両1台単位での貸切による引越サービスに適用され、積合せ運送には適用されていないが、雇用環境やライフスタイルの変化などにより引越1件当たりの輸送量は減少しており、積合せによる引越サービスの提供は一般化している。

 改正では、消費者側から見た場合に、受けるサービスの大きく変わらない貸切と積み合わせの両者に標準引越約款を適用する方向で検討が進められている。

 一方、単身引越などで利用が増えているロールパレット(箱台車)などによる引越サービスは、標準引越約款で定められている見積書の作成を行っていないことなどから、標準引越約款の対象から除外する。

 解約・延期手数料率については、現行約款では、当日解約で運賃の20%以内、前日で10%以内とされているが、貸切バスの当日50%、7日前~前日30%などに比べ低く、引越の場合には2日前までであれば解約料が不要なことから、インターネット予約の利用者を中心に解約料不要期間でのキャンセル件数が増加している。

 引越事業者にとって、直前のキャンセルは確保した車両やスタッフの他の案件への活用が難しく、コスト増要因となって経営にも大きく影を落としている。

 こうした実態を踏まえ改正案では、解約・延期手数料率を当日=「運賃・料金の50%以内」、前日=「運賃・料金の30%以内」、2日前=「運賃・料金の20%以内」として、手数料率を引き上げるとともに、運賃以外の料金も対象に加える。また、2日前にキャンセルした場合にも解約料が発生する仕組みとする。

 全日本トラック協会が昨年10月に実施した調査では、当日と前日の解約・延期割合は成約の7.1%だが、2日前まで含めると13.6%とほぼ倍増する。改正によって、手数料が発生する期間が拡大し、直前キャンセルの抑止にもつながるものと期待される。

 改正約款については、年内にもパブリックコメントを実施、遅くとも来年2月に改正告示(公布)を行い、十分な周知期間を置いた上で6月に施行される見込み。

海外会社、非日系企業拡大し2桁の増収増益に 第2四半期までの業績を発表  日通

 日本通運(齋藤充社長)は15日、海外・航空・海運事業の第2四半期までの業績を発表、海外会社は2桁の増収、大幅増益を確保した。

 海外会社の上半期計は売上高が1829億8600万円の前年同期比12.4%増、営業利益は68億3800万円の36.7%の大幅な増益となった。同日の記者会見で宮脇一郎執行役員は、好調の要因として米州、欧州、東アジア、南アジア・オセアニア各地域とも航空貨物が拡大・回復するとともに、欧州を主体に非日系企業の取り扱いが拡大している点をあげた。

 非日系企業への対応強化策として、昨年12月にシンガポールに非日系グローバル企業への市場調査と営業開発に特化した「グローバル・ロジスティクス・イノベーションセンター」を開設し、その成果が徐々に上がっていることに加え、欧州ではフランス・イタリアをはじめ4ヵ国で地域の市場動向に精通した現地出身者を社長に起用し、新規獲得を含め受注拡大を牽引していると説明。第3四半期の見通しについても、米州は自動車関連等、欧州は非日系企業等、東アジアは自動車関連等、南アジア・オセアニアは電気製品等が引き続き好調に推移すると見込んでいると語った。

 航空・海運事業の業績は次のとおり。

 〈航空事業〉

 売上高761億600万円の16.8%増で、国際貨物は567億1700万円の23.9%増、うち輸出は438億400万円の28.5%増、輸入は129億1200万円の10.4%増。国内貨物は193億8900万円の0.0%。

 〈海運事業〉

 売上高634億500万円の4.4%増で、輸出は300億6100万円の3.9%増、輸入は197億4100万円の6.4%増、国内は136億200万円の2.9%増。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集、日本通運関東警送支店が警送年末防犯訓練大会開催

  • ☆トナミHDの綿貫社長が決算会見、収入面で中計目標未達も内容は「ほぼ満足」
    ☆ヤマトロジスティクスが厚木ゲートウェイに三辺自動梱包機を導入、手作業の10倍の生産性
    ☆SGムービングが第6回品質選手権開催、12チーム24人が参加
    ☆全ト協が7~9月のトラック景況感発表、判断指標は6.5ポイントの改善に
    ☆三井倉庫HD、持続的成長目指す中期経営計画を策定
    ☆JR貨物が秋冬繁忙期の運転計画発表、昨年上回る輸送力を確保
    ☆鉄貨協が講演会開催、NEC関係者が準天頂衛星の活用で列車位置情報の制度向上の可能性示唆
    ☆国交省が各県建築行政主務部長等に通知、宅配ボックス設置部分は容積率規制の対象外に
    ☆東ト協が初のセーフティアワード開催、ベストドライバーなど各賞の表彰行う
    ☆ミャンマー運輸通信省次官ら16人が物流連事務所を訪問
    ☆日倉協、「活力ある倉庫業」をテーマに物流フォーラム開催
    ☆JR貨物が東京貨物ターミナル駅プロジェクトの進捗状況発表、「東京レールゲートWEST棟」を高層化
    ☆自民党物流倉庫議連が総会、新会長に望月衆院議員を選出
    ☆LEVO、交付が予算の8割に達し低炭素型ディーゼルトラック補助申請の取り扱いを変更
    ☆物流各社の2018年3月期第2四半期連結決算

今週のユソー編集室

  • ▼間もなくやってくる12月。クリスマスやお歳暮シーズンなどを控え、街は年末商戦に突入しようとしている。一方で物流業界を見ると、宅配大手を中心に、どことなく落ち着かない雰囲気だ。
    ▼日本経済新聞は15日付で、宅配各社が年末繁忙期に向けた体制整備のため、高額の時給を提示してアルバイトの確保に奔走していると報じた。膨れ上がるネット通販需要への対応に追われる様子が浮き彫りになっている。
    ▼いわゆる“ヤマトショック”とは、本年2月に同紙に掲載された、ヤマト運輸労組が総量規制を要求し、会社側がその要求に応じたという記事に端を発している。要求のきっかけとなったのが、昨年の年末繁忙期の宅配便の遅配である。
    ▼考えたくもないが、万が一にも昨年と同じような状況に陥れば、いよいよ“運べない時代”が迫ってきたことを認めないわけにいかない。各社の努力が報われ、繁忙期を無事に乗り越えることを願うばかりだ。

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