標準引越約款改正で引越の直前キャンセル、解約料引き上げへ 国交省
国土交通省は、引越サービスのインターネットでの予約・解約や単身世帯の増加などの環境変化への対応を進めるため、標準引越運送約款の改正に向けた検討を行っているが、15日に約2年半ぶりに開催された標準引越運送約款改正検討会では、解約・延期手数料率の引き上げや積合せ運送の引越標準約款適用などを盛り込んだ改正案を示した。改正約款は来年6月に施行される予定。
現行の引越約款は、車両1台単位での貸切による引越サービスに適用され、積合せ運送には適用されていないが、雇用環境やライフスタイルの変化などにより引越1件当たりの輸送量は減少しており、積合せによる引越サービスの提供は一般化している。
改正では、消費者側から見た場合に、受けるサービスの大きく変わらない貸切と積み合わせの両者に標準引越約款を適用する方向で検討が進められている。
一方、単身引越などで利用が増えているロールパレット(箱台車)などによる引越サービスは、標準引越約款で定められている見積書の作成を行っていないことなどから、標準引越約款の対象から除外する。
解約・延期手数料率については、現行約款では、当日解約で運賃の20%以内、前日で10%以内とされているが、貸切バスの当日50%、7日前~前日30%などに比べ低く、引越の場合には2日前までであれば解約料が不要なことから、インターネット予約の利用者を中心に解約料不要期間でのキャンセル件数が増加している。
引越事業者にとって、直前のキャンセルは確保した車両やスタッフの他の案件への活用が難しく、コスト増要因となって経営にも大きく影を落としている。
こうした実態を踏まえ改正案では、解約・延期手数料率を当日=「運賃・料金の50%以内」、前日=「運賃・料金の30%以内」、2日前=「運賃・料金の20%以内」として、手数料率を引き上げるとともに、運賃以外の料金も対象に加える。また、2日前にキャンセルした場合にも解約料が発生する仕組みとする。
全日本トラック協会が昨年10月に実施した調査では、当日と前日の解約・延期割合は成約の7.1%だが、2日前まで含めると13.6%とほぼ倍増する。改正によって、手数料が発生する期間が拡大し、直前キャンセルの抑止にもつながるものと期待される。
改正約款については、年内にもパブリックコメントを実施、遅くとも来年2月に改正告示(公布)を行い、十分な周知期間を置いた上で6月に施行される見込み。