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2017年11月13日付 2678号

自動車運送事業者向け、脳血管疾患対策ガイドライン策定の検討開始 健康起因事故抑止へ  国交省

 国土交通省は、事業用自動車ドライバーの健康起因事故が増加傾向にあることを踏まえ、事業用自動車健康起因事故対策協議会を設置。8日に東京都千代田区の中央合同庁舎で第1回協議会を開き、「自動車運送事業者のための脳血管疾患対策ガイドライン」(仮称)の策定に向けた検討を開始した。早ければ年内にもガイドラインが策定される見込み。

 2012年~16年の5年間に事業用自動車で健康起因事故を起こしたドライバーは1046人(事故報告書ベース)で、このうち脳疾患によるものが16%、心臓疾患によるものが14%を占めている。健康起因事故に起因する事故報告件数は、12年の143件に対し、16年には304件と2倍以上になっており、今後も増加することが予想されている。

 こうした状況を踏まえ、昨年12月16日に公布された改正道路運送法と貨物自動車運送事業法には、「事業用自動車の運転者が疾病により安全な運転ができないおそれがある状態で事業用自動車を運転することを防止するために必要な医学的知見に基づく措置を講じなければならない」との内容が盛り込まれるとともに、12月2日には衆議院国土交通委員会で「脳ドック、心臓ドックなど、広く健康起因事故対策に必要なスクリーニング検査について、(略)検査の結果に応じて事業者として取るべき対応を含んだガイドラインを作成すること」との委員会決議がなされた。

 協議会の設置はこうした流れを受けたもので、酒井一博大原記念労働科学研究所所長を座長に、医療関係者や桝野龍二全日本トラック協会理事長ら自動車運送事業者関連団体担当者、坂本克己大阪運輸倉庫・日本タクシー・北港観光バス会長ら自動車運送事業経営者らで構成されている。

 第1回協議会では、「運転者の健康状態の把握」と「結果を踏まえた対応」からなるガイドラインの案が示された。

 「運転者の健康状態の把握」では①脳血管疾患対策の必要性、正しい理解②脳血管疾患早期発見のための脳健診の活用③脳健診の結果必要となる精密検査・治療の実施―について、脳血管疾患の概要や健診受診までの基準、結果を踏まえて実施すべき対応などについて示している。「結果を踏まえた対応」では、治療状況や症状に合わせた適切な勤務形態の重要性や、健診を受けたドライバーに対する事業者・運行管理者の役割などについて説明している。

 案に対して委員からは、「さらに分かりやすい内容とする必要がある」などの意見が出された。

 今月下旬にも第2回協議会を開き、第1回協議会で出された意見を踏まえた修正案を示す。脳疾患対策ガイドラインを策定した後、心臓疾患についての対策ガイドライン策定に着手する計画。

東証から上場承認受け7158万株売り出しへ、予定日は12月13日  SGHD

 SGホールディングス(町田公志社長)は6日、東京証券取引所に申請していた株式上場が承認されたと発表した。仮条件決定日は今月24日、売り出し価格決定日は12月4日、上場予定日は12月13日。一部・二部のどちらに所属するかは、売り出し価格決定後に決定するが、時価総額の規模から一部上場となる見込み。

 公募株なしの売り出し株のみとなっており、新株発行などは行わない。売り出すのは同社普通株式7158万2900株で、うち4795万300株が国内に、2363万2600株が海外に、それぞれ売り出される。このほかオーバーアロットメントとして719万2500株を設定、想定発行価格1580円を考慮すると、上場規模は最大で1244億円超となる。

 売り出し人と株式数は、国内がSGホールディングスグループ従業員持ち株会の4705万300株と、同社元代表取締役の近藤宣晃氏の90万株。海外がSGホールディングスグループ従業員持ち株会の2363万2600株。

 主幹事会社は大和証券と三菱UFJモルガン・スタンレー証券で、このほか野村證券、SMBC日興証券、みずほ証券、カブドットコム証券が幹事証券会社となっている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集、日本通運関西警送支店が警送年末防犯訓練大会開催
    ☆四文字 『業界一丸の「業種指定」』

  • ☆物流連がモーダルシフト優良事業者表彰受賞者発表、大賞に日本通運 関西発北陸向けビール輸送
    ☆全ト協と日貨協連がWebKIT10月の成約運賃指数発表、5か月連続前年同月比増
    ☆日立物流がマレーシア・ニライ工業団地に「チルドセンター」、18年11月開設予定
    ☆国交省が過積載取り締まり時に荷主情報を聴取へ、年内に試行開始
    ☆運輸労連の年末一時金妥結、大手は増額基調続く
    ☆トナミ運輸、北陸3県の旬の味を取りそろえた歳暮ギフトの販売
    ☆LEVOが物流分野のCO2削減補助1~3次公募分1508件採択、最多は宅配ロッカー設置の900件超
    ☆日通がインドネシア税関からAEO認証を取得、世界19ヵ国目に
    ☆近鉄エクスプレスの鳥居社長が決算会見、世界的な追い風にのり大幅な増収増益に
    ☆日通東京輸送協組が通常総会、パートナーとして一層の関係強化へ
    ☆カンダグループが「第38回カンダ祭り」開催、従業員ら約2千人集まる
    ☆陸災防が労災防止大会開催、安全衛生推進活動は経営首脳が先頭へ
    ☆物流各社の2018年3月期第2四半期連結決算

今週のユソー編集室

  • ▼改正標準貨物自動車運送約款が今月4日に施行された。輸送の「運賃」と「料金」の範囲を明確化し、トラック運送事業者が適正な運賃・料金を収受しやすくする内容だ。
    ▼日本通運は決算会見で「待機料」の収受額が1400万円に上ることを明らかにしており、改正約款の施行前から積極的に運賃・料金の改善活動に取り組んでいたことがうかがえる。今後も各社がそうした活動を展開してくことが予想される。
    ▼先日行われた取引条件・労働時間改善中央協議会では、総額が以前のまま据え置かれ、結果的に「運賃」の値下げにつながることへの警戒感を示す委員もいた。懸念はもっともだが、深刻化する労働力不足をテコに、適正運賃収受への努力を続けたい。
    ▼同日には鉄道利用運送の標準約款も改正された。非効率を指摘されている12フィートコンテナの手荷役作業の改善に向けた一つのきっかけとして、この方面でも同様の動きが出てくることを期待したい。

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