物流・輸送の専門紙、輸送新聞はこれからも輸送産業の発展に貢献してまいります。

文字サイズ

2017年11月6日付 2677号

適正料金収受額17億円、過去最高の業績に 竹津副社長が会見  日通

会見する竹津副社長

 日本通運(東証一部上場、齋藤充社長)の竹津久雄副社長は10月31日の2018年3月期第2四半期連結決算発表会見で、売上高・営業利益・経常利益・四半期純利益とも過去最高を確保し、通期予想を上方修正したと述べるとともに、従前から取り組んでいる適正運賃収受・料金改定交渉の効果については17億4千万円にのぼり、うち「待機料」の収受額は1400万円であったことを明らかにした。

 好調な決算内容になった要因として◎日本セグメントで北米向け自動車関連貨物、アジア向け電子部品等の航空貨物の取り扱いが伸長したこと◎海外経済の回復に伴い、海外各セグメントが堅調に推移したこと◎物流サポートセグメントにおいて原油価格の上昇に伴い石油・LPガスの販売単価が上昇したこと―などを挙げ、営業利益が前年同期比31.8%の大幅増を記録した点については◎航空輸出の取り扱い増加や鉄鋼・自動車関連貨物の輸送需要の増加などから日本セグメントが改善したこと◎海外各セグメントで増益を確保したこと―などを説明。

 竹津副社長は「第2四半期の着地としては、世の中の堅調な荷動きを着実に取り込めたと評価している」と感想を語った。

 一方で「労働力不足により外注費の増加傾向が鮮明になりつつあり、下半期は費用の上昇が予想される」と述べ、適正運賃収受・効率的な作業体制・管理に努めていく姿勢を強調した。

 財務部担当の林田直也取締役執行役員は、この外注費について、単体ベースで4.4%増となり、売上高の4.3%増を上回る伸長率を示し、一部で「逆ザヤ」現象が起きている案件もあり、下半期もこの流れは続くものと見ているとの見通しを明らかにし、しっかりとした作業管理を徹底し、全体の中で利益を出していきたいと語った。

 また、適正運賃収受・料金改定交渉の効果額は単体では16億3100万円、連結計では17億4千万円であったとし、17年3月期の25億円と比較して着実に取り組みが進展している手応えを見せた。

 このうち「待機料」の収受額は1400万円となり、始めたばかりの取り組みであり、引き続き、浸透を図っていくとの考えを示した。

 このほか、国際関連事業売上高比率は37.1%で2.4ポイント向上、燃油費単価上昇による影響額は10億9千万円で、単価の実績は軽油が1リットル当たり86円12銭の13.6%増(10円33銭増)、為替の影響は売上高で16億1千万円、営業利益で1千万円のマイナスの影響があったと説明した。

17年度の宅急便予想個数は前期から4100万個減少、単価大幅に改善へ  ヤマトHD決算会見

会見する芝﨑専務

 ヤマトホールディングス(東証一部上場、山内雅喜社長)の芝﨑健一専務執行役員は10月31日、東京都千代田区の国土交通省で開いた決算会見で、第2四半期連結決算の内容などについて説明した。

 芝﨑専務執行役員はその中で、上半期は宅急便取扱個数の増加などにより、売上高が7月時点の予想を118億円上回る7298億円となった一方、宅急便単価は3月末と比較して5円低下し554円になったことなどから、利益面では7月時点の予想の範囲内に収まったと説明した。

 約1100社にのぼる大口の法人契約の見直しについては、現状で約9割の交渉を終え、100社を超える契約の終了が発生。このため通期の宅急便取扱個数については、7月に示していた予想数値を500万個下回る18億2600万個とし、16年度との比較では4100万個減少する見込みであることを明らかにした。

 反面、下半期には宅急便基本運賃の値上げや法人顧客との運賃交渉の成果が反映され、単価は590円程度まで大幅に上昇すると見ており、利益面の通期予想は7月に公表した数字を達成できるとの見通しを示した。

 一方で、総額約242億円に上る新たに認識した労働時間への一時金については、すでに16年度末時点で190億円の処理を終えており、本年度は第1四半期に52億円を処理し、対応を終えているとした。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって 「吉」か「凶」か(92)『トラックドライバー不足再考(その10)』

  • ☆2017年秋の叙勲・褒章
    ☆センコーと新潟運輸が韓国・釜山に新物流センター建設
    ☆SGHDが決算会見、宅配便適正運賃収受活動で単価17円増の528円に
    ☆JR貨物が決算会見、過去最高益達成も鉄道黒字化へ「楽観できない」
    ☆日通、ネット通販の海外販売をパッケージで支援する「海外展開ハイウェイ」運用開始
    ☆佐川急便、北海道・旭川市で乗り合いタクシーを利用した貨客混載開始
    ☆ヤマト運輸、日立グループと連携し新車載端末導入へ
    ☆全ト協・日貨協連がWebKIT10月速報発表、求車登録14万件超える
    ☆千葉労働局・千葉運輸支局がトラック輸送の取引環境等改善千葉県協議会を開催、17年度パイロット事業の内容を決定
    ☆国交省が標準貨物自動車運送約款改正のQ&A発表、事業者へ約款変更後30日以内の届け出を呼び掛け
    ☆国交省、利用運送の標準約款も一部改正
    ☆国交省、モーダルシフト等補助金の2次募集開始
    ☆SGリアルティとIHIが江東区に大型施設整備へ、佐川急便最大の中継センターに
    ☆JR貨物、鉄道貨物振興奨励賞と住田物流奨励賞の受賞論文を発表
    ☆日通、単身引越のキャンペーン展開
    ☆物流各社の2018年3月期第2四半期連結決算

今週のユソー編集室

  • ▼国内最大のファッションECサイト「ZOZOOWN」を運営するスタートトゥデイは1日から、送料を購入金額に関係なく一律200円に設定し、併せて「送料無料」の表現を今後やめると発表した。
    ▼10月に試験的に行っていた、購入者が送料を自分で決められる「送料自由化」の結果を踏まえたもので、その平均送料が96円だったことから、今後物流全般の効率化などを図り、その金額に近づけるよう努力していくとしている。
    ▼同社の前澤友作社長はこれについて、「送料無料はキャンペーンワードとして過度に周知され、誤認識を与えてしまった反省がある。無料では届かないことを社会的に認知してもらいたい」と語っている。
    ▼まるで物流業界関係者のようなその言に、わが意を得たりと手をたたく業界関係者も多いことだろう。そういえば、ちょうど新しい服が欲しかったところだ。どこで購入するかについては、もう迷う必要はないのかもしれない。

戻る