働き方改革を推進し生産性向上図る、第22回事業者大会開く 全ト協
全日本トラック協会(坂本克己会長)は3日、仙台市の仙台国際センターで第22回全国トラック運送事業者大会を開催。喫緊の課題となっている労働環境改善や生産性向上、健康起因事故をはじめとする交通事故防止対策に関する事例発表を通じて知識を深めるとともに、「働き方改革を推進し取引環境改善・長時間労働抑制・生産性向上を図ろう」など10項目からなる大会決議を採択した。
坂本会長は大会の全体会議冒頭、東日本大震災による被害は無残だったが、防潮堤の整備など着実に復興が進んでいると述べた上で、発災後に全国からトラックが緊急物資輸送に当たったことにより、社会から「いざとなったらトラック」という存在意義が理解されたと説明。
一方で、現在のトラック運送業界では乗務員が不足しており、他産業に比べ労働時間が3割長く給与が3割低い現状を変える必要があるとし、国土交通省・厚生労働省が開催しているトラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会のパイロット事業から抽出された事例の全国展開などに取り組んでいく姿勢を示した。
また、これまで一部で常態化していた手待ち時間や付帯作業のサービスは「おかしい」とし、11月に施行される改正標準運送約款を契機に運賃・料金を確実に収受していく必要があるとの考えを強調するとともに、国交省による荷主勧告制度の運用強化などに期待感を示した。
さらに、共同輸配送やIoT(モノのインターネット)、自動運転技術などを活用した「物流革新」や、トラック事業における総合安全プラン2020に基づく安全対策の徹底などが不可欠であるとし、本大会が新しい時代を踏まえた業界の発展や会員事業者の経営改善のきっかけになることを期待すると述べた。
分科会では、「健康起因事故等交通事故防止対策の推進について」「労働環境の改善と生産性向上方策について」の二つのテーマでパネリストの会員事業者が自社の課題や解決方策などについて事例発表を行った。
各分科会のコーディネーター、パネリストは次のとおり。
「健康起因事故等交通事故防止対策の推進について」《コーディネーター》=高柳勝二プロデキューブ社長《パネリスト》=荒川寛北上運輸取締役・坂池克彦ツカサ専務・渡辺次彦アトランス社長
「労働環境の改善と生産性向上方策について」《コーディネーター》=小坂真弘日本PMIコンサルティング社長《パネリスト》=笠原史久NTSロジ社長・越野泰弘越野運送社長・荒巻哲也柳川合同社長
分科会の後、一力雅彦河北新報社長による「再生へ 心ひとつに」と題する記念講演会が開催された。
講演会終了後、全体会議を再開し、宮城県トラック協会の尾上寿昭部会長が「働き方改革を推進し取引環境の改善および長時間労働の抑制ならびに生産性の向上を図ろう」「適切な原価管理に基づく適正運賃を収受しよう」「若年労働力等を中心とした人材確保対策を推進しよう」など10項目からなる大会決議案を読み上げ満場一致で採択された。
次回事業者大会は、2018年10月10日に高松市内で開催される。