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2017年10月16日付 2674号

働き方改革を推進し生産性向上図る、第22回事業者大会開く  全ト協

坂本会長 事業者大会の模様

 全日本トラック協会(坂本克己会長)は3日、仙台市の仙台国際センターで第22回全国トラック運送事業者大会を開催。喫緊の課題となっている労働環境改善や生産性向上、健康起因事故をはじめとする交通事故防止対策に関する事例発表を通じて知識を深めるとともに、「働き方改革を推進し取引環境改善・長時間労働抑制・生産性向上を図ろう」など10項目からなる大会決議を採択した。

 坂本会長は大会の全体会議冒頭、東日本大震災による被害は無残だったが、防潮堤の整備など着実に復興が進んでいると述べた上で、発災後に全国からトラックが緊急物資輸送に当たったことにより、社会から「いざとなったらトラック」という存在意義が理解されたと説明。

 一方で、現在のトラック運送業界では乗務員が不足しており、他産業に比べ労働時間が3割長く給与が3割低い現状を変える必要があるとし、国土交通省・厚生労働省が開催しているトラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会のパイロット事業から抽出された事例の全国展開などに取り組んでいく姿勢を示した。

 また、これまで一部で常態化していた手待ち時間や付帯作業のサービスは「おかしい」とし、11月に施行される改正標準運送約款を契機に運賃・料金を確実に収受していく必要があるとの考えを強調するとともに、国交省による荷主勧告制度の運用強化などに期待感を示した。

 さらに、共同輸配送やIoT(モノのインターネット)、自動運転技術などを活用した「物流革新」や、トラック事業における総合安全プラン2020に基づく安全対策の徹底などが不可欠であるとし、本大会が新しい時代を踏まえた業界の発展や会員事業者の経営改善のきっかけになることを期待すると述べた。

 分科会では、「健康起因事故等交通事故防止対策の推進について」「労働環境の改善と生産性向上方策について」の二つのテーマでパネリストの会員事業者が自社の課題や解決方策などについて事例発表を行った。

 各分科会のコーディネーター、パネリストは次のとおり。
 「健康起因事故等交通事故防止対策の推進について」《コーディネーター》=高柳勝二プロデキューブ社長《パネリスト》=荒川寛北上運輸取締役・坂池克彦ツカサ専務・渡辺次彦アトランス社長

 「労働環境の改善と生産性向上方策について」《コーディネーター》=小坂真弘日本PMIコンサルティング社長《パネリスト》=笠原史久NTSロジ社長・越野泰弘越野運送社長・荒巻哲也柳川合同社長

 分科会の後、一力雅彦河北新報社長による「再生へ 心ひとつに」と題する記念講演会が開催された。

 講演会終了後、全体会議を再開し、宮城県トラック協会の尾上寿昭部会長が「働き方改革を推進し取引環境の改善および長時間労働の抑制ならびに生産性の向上を図ろう」「適切な原価管理に基づく適正運賃を収受しよう」「若年労働力等を中心とした人材確保対策を推進しよう」など10項目からなる大会決議案を読み上げ満場一致で採択された。

 次回事業者大会は、2018年10月10日に高松市内で開催される。

同社西日本最大級の「関西GW(ゲートウェイ)」が竣工、無人搬送機の実験も  ヤマトHD

起動式の模様

 ヤマトホールディングス(山内雅喜社長)は5日、大阪府茨木市で総合物流ターミナル「関西ゲートウェイ(GW)」の竣工式を行った。

 GWは同社が掲げる「バリュー・ネットワーキング(VNW)」構想の中核的位置付けとなる拠点。関西GWは2013年の厚木、16年の中部に続く3番目のGWで、今回初公開となったスーパーフルトレーラ25による多頻度幹線輸送の本格的実施や止めない物流の実現により、サービス向上とコスト削減を提供する。

 関西GWは、名神高速道路・茨木インターチェンジから約5分の旧パナソニック工場跡地である茨木市松下町2の10に所在。敷地面積は6万4100平方メートル、建物が鉄骨造6階建て・延べ床面積9万100平方メートルで、西日本におけるグループ最大級の施設。グループ中期経営計画の主要施策である「働き方改革」も意識し、パナソニック製の無人BOX搬送機による、コールドボックス無人搬送の実証実験=写真上=に取り組む点が特徴。1時間当たり4万8千個の仕分能力を有する自動仕分機を導入したほか、他のGWと同様に◎積載状態のロールボックスパレットを到着ラインまで自動で運ぶ前詰め搬送機◎上層階の付加価値エリアと宅急便取り扱いエリアを1本で結ぶスパイラルコンベア―などを導入、全館LED照明の採用など環境面にも配慮した。

 ヤマト運輸の関西支社・北大阪主管支店をはじめヤマトロジスティクスなどグループ各社が入居し、同一宛先荷物の同梱化や組み立てなどの付加価値機能を提供する。土地および建物は大和ハウスの所有で、ヤマトグループが賃借する。総工費は約60億円。営業開始は11月1日を予定。

 竣工式には荷主や自治体、地元関係者ら千人超を招待。山内社長は主催者あいさつで、「関西GWの竣工で『VNW』構想のインフラは整った。他のGWと有機的に結合させ付加価値を生み出していくことで、顧客の物流改革を支援したい」と胸を張った。来賓あいさつでは、国土交通省の毛利信二事務次官が「関西GWの竣工による主要都市間のスピード輸送の実現は、総合物流施策大綱でうたう“強い物流”を実現する上で大変有意義なこと」と期待感を示し、パナソニックの津賀一宏社長は、宅急便の基幹システムなど、ヤマトグループが多くの同社製品を導入していることについて謝意を表しながら「当社にゆかりあるこの地で、当社の技術が物流の現場で働く人の役に立てるなら、これに勝る喜びはない」と祝辞を述べた。映像による施設の紹介に続き、山内社長、毛利事務次官、津賀社長、木川眞ヤマトHD会長、長尾裕ヤマト運輸社長、本間耕司ヤマトロジスティクス社長、森下明利ヤマト運輸労働組合委員長、福岡洋一茨木市長、樋口武男大和ハウス工業会長らによる起動式が行われた。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集、全ト協主催 第49回全国トラックドライバー・コンテンスト開催
      21~22日に学科・実技競技、150人の選手が出場
      坂本会長あいさつ「トラックドライバーの地位向上に貢献を」
      出場選手の平均年齢40歳台が半数占める
      出場予定選手名簿

  • ☆南アジア・オセアニア日通、タイにメコン開発センターを新設
    ☆セイノーHDが昭和冷蔵とショーレイフィットをグループ化、3温度帯物流確立へ
    ☆日通労連が定期大会、新会長に成田全日通委員長を選任
    ☆インタビューメーカー、ウェブ面接で内定率等向上
    ☆日通の創立記念式典で齋藤社長があいさつ、「従業員のやりがいが発展を続ける力に」
    ☆日通の創立80周年記念事業、「NEX-TEC伊豆」地鎮祭と献血バスの贈呈式
    ☆ヤマト運輸、全長25メートルの連結トラック「スーパーフルトレーラ25」を初披露
    ☆日立物流、Doog社と協業契約、追従運搬ロボットの倉庫内運用検証加速へ
    ☆全ト協・日貨協連の9月WebKIT実績、求車件数28%増で成約運賃指数も本年度最高に
    ☆日本郵政の長門社長が会見で民営化後の10年を振り返り、10年先20年先を見据えた成長戦略確立へ意気込み示す
    ☆JR貨物・通運連盟・鉄貨協、コンテナ輸送品質向上キャンペーンのキックオフミーティング開催
    ☆交運労協、創立30周年記念レセプション開催
    ☆通運連盟、労働力不足対応のシンポジウム開催
    ☆交運労協が定期総会、スケールメリット生かした活動を
    ☆国交省、物流の無人飛行機で目視外飛行の要件など検討
    ☆鉄道の日の大臣表彰

今週のユソー編集室

  • ▼今月22日に投開票を迎える第48回衆議院議員総選挙は、10日の公示日に立候補者として1180人が名乗りを上げ、465の議席を掛けた闘いが本格的にスタートした。
    ▼9月28日の衆議院の解散以後、新党の設立や都知事の代表就任、そして野党第一党の事実上の分裂など、公示日前から闘いの構図が二転三転しており、解散の意義を含め、有権者が置き去りにされているような気がしないでもない。
    ▼今年の12月末に満5年を迎える安倍内閣。その功罪はさまざまあろうが、2006年に誕生した第1次安倍内閣から11年の野田内閣まで、6人の首相がおよそ1年ごとに交代していた時代を考えると、政策推進に政治の安定は不可欠だ。
    ▼深刻な人手不足にあえぐ物流業界にとっても、今ほど政策の重要性が問われている時はない。選挙結果がどうであれ、経済は明日も回り続け、国民は生活し続ける。新政権が物流の問題にしっかり取り組むよう望みたい。

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