ガイドラインの骨子案、問題類型別に対策を例示 HP等で公開へ 中央協議会等
国土交通省と厚生労働省は9月25日、東京都千代田区の中央合同庁舎で、第7回トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会と第6回トラック運送業の生産性向上協議会を開催し、事務局がパイロット事業のガイドライン案を提示した。
ガイドラインは、2016・17年度に各都道府県で行われているパイロット事業の成果や課題を抽出して、他の事例への水平展開の参考とするためまとめる。17年度の事業が終了してからでは公表が遅くなるため、16年度の事業の結果も踏まえて骨子案をまとめ、協議会の場で並行して議論を進めていくこととしたもの。
骨子案では、ガイドラインを①はじめに②トラック事業を取り巻く状況③課題別の取り組み指針④各地方運輸局の問い合わせ先一覧―で構成するとしており、このうち課題別取り組み指針では、問題を類型別に分類し、原因や背景・対策・改善事例を盛り込む。16年度事業を踏まえた課題として、上表のとおり例示した。
ガイドラインの骨子案に対して各委員からは「できるだけ早く公表した方が良い」「中継輸送の例を盛り込んで欲しい」などの意見が上がった。これに対して事務局は、ガイドラインとしての公表は18年度となるものの、それに先立って国交省ホームページ上や全ト協の生産性向上セミナーなどを通じて、パイロット事業の成果と課題を公表していく考えを示した。中継輸送に関しては、パイロット事業としては行っていないため、別の形で公表する方針だが、本ガイドラインに集約することも検討していくとした。
会合ではその他、『直ちに取り組む施策』など働き方改革をめぐる動き、17年度のパイロット事業、生産性向上国民推進会議、適正運賃・料金検討会、荷主勧告制度の運用の改善などについて国交省が、生産性向上セミナーの開催状況について全ト協が、それぞれ報告した。
各委員からは、パレットの規格統一や高速道路の一時退出を可能とする1時間の時間制限の延長、改善のための費用負担に関する議論、標準約款の改正に伴う運賃・料金の範囲明確化を荷主の運賃値下げ圧力につなげないための方策などを求める声が上がった。
また、荷主団体関係委員から、『直ちに取り組む施策』に盛り込まれた、“ホワイト経営”事業者の見える化および優遇策について、「業者選定の参考になる」と肯定的な意見が寄せられた(関連記事8面参照)。
物流団体関係委員からは、経団連など110団体が示した『長時間労働につながる商慣行の是正に向けた共同宣言』(関連記事左欄)について、「これを実行してもらえれば非常にありがたい」と期待感をにじませる声が上がった。