インタビュー 運輸労連 中央執行委員長 難波 淳介氏
改正労基法の条文修正を目指す 「100万人請願署名」 産業の未来変える
運輸労連では現在、自動車運転者の時間外労働上限規制への一般則適用などを求め「100万人請願署名」運動を展開している。運動の趣旨などについて、難波委員長に聞いた。聞き手 本紙編集委員・上原里智男
―「100万人請願署名活動」の趣旨と最終目標は。
政府は本年の3月28日に「働き方改革実行計画」を発表しました。計画では、長時間労働の是正に向け、労働基準法に時間外労働の上限規制が罰則付きで定められるとともに、現行の限度基準告示で適用除外とされてきた自動車運転者についても適用することが示されました。
自動車運転者への適用除外をなくすことは、私たちが長い間求めてきたことであり、やっと念願がかなったと思っています。計画を策定する際の議論では、連合にもだいぶ頑張っていただきましたから、その点も感謝しています。
しかし、適用される上限時間が、当初想定していた一般則の「年間720時間」ではなく、一般則の施行より5年遅れで「年間960時間(月平均80時間)」とされたこと、また、働き方改革に関する国会質疑では、休日労働は別枠との答弁がありました。
これでは、過労死基準を大幅に上回る時間外労働が容認されることとなります。私たちは同じ労働者なのですから、全ての労働者に同じ時間外労働の上限規制が適用されるべきです。従事する業務によって差ができてしまうのは、おかしいと考えています。合点がいきませんし、ふに落ちないというのが、正直な感想です。
4月3日には、「トラックフォーラム」として交通労連トラック部会と連名で、厚生労働大臣・国土交通大臣・全日本トラック協会会長の3者に対し、上限規制の見直しを求める要請書を提出しています。
要請書では「休日労働が別枠で取り扱われた場合、現行の自動車運転の業務に対する労働時間等の規制である改善基準告示と何ら変わらない水準が維持され続ける」と指摘し、自動車運転従事者が「脳・心臓疾患の労災補償支給決定件数」のワーストワンである現状も踏まえ、働き方改革の意義が失われてしまうと訴え、一般則施行5年後の「上限規制720時間以内」の適用などを要請しています。
その後、執行部内で何らかの行動を起こすべきだとの意見がまとまり、6月の中央執行委員会で秋の臨時国会に上程される改正労働基準法の修正を目的とした「100万人請願署名」の展開について確認、7月の定期大会で決議文の形で取り組むことを決定しました。
最終的には、集まった署名は衆議院議長と参議院議長に提出し、臨時国会で両院の厚生労働委員会に審議していただき、法案の修正を目指します。民進党の国会議員を中心に、多くの国会議員の方々に協力いただきたいと考えています。
インタビューの続きは電子版かコンビニプリントサービスでお読みいただけます。