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2017年8月21日付 2667号

16年監督実施のトラック事業場 83%で労基関係法令違反、改善基準告示違反67%  厚労省

 厚生労働省が9日に公表した自動車運転者を使用する事業場に対する2016年の監督指導・送検等の状況によると、監督を実施したトラック事業場の83.3%で労働基準関係の法令違反が認められた。

 16年は「トラック」「バス」「タクシー・ハイヤー」「その他」を合わせ4381事業場に監督を実施し、このうち82.9%で労働基準関係の法令違反が認められた。

 トラックでは、監督を実施した3105事業場の83.3%に当たる2585の事業場で違反が認められ、このうち1842事業場(監督実施事業場数に対する割合59.3%)で労働時間に関する違反が認められた。

 トラックの改善基準告示違反事業場数は2088事業場で監督を実施した事業場の67.2%。

 改善基準告示の主な違反項目は、「最大拘束時間」が1588事業場(51.1%)で最も多く、次いで「総拘束時間」1358事業場(43.7%)、以下、「休憩時間」1191事業場(38.4%)、「連続運転時間」987事業場(31.8%)、「最大運転時間」622事業場(20.0%)などとなっている。

 労働基準監督官が指導監督したものとして、1日の拘束時間が24時間となる日が2日連続するなどにより1ヵ月の拘束時間が最長400時間程度となっている運転者がいることに加え、時間外・休日労働が月100時間を超える運転者が複数存在したトラック事業者の例を挙げている。

 16年に労働基準関係法令違反で送検したトラック事業場・管理者の件数は54件で15年比2件増加。

 送検したトラック事業場・管理者の例として、36協定の限度を超えて1ヵ月で最長120時間程度の時間外労働をさせ運転者に脳疾患を発症させた事業場・営業所長の例などを示している。

ベトナム現地企業と提携契約で基本合意、資本・業務の両面で  第一貨物

会見で握手する武藤社長(右)とミン社長(左)

 第一貨物(武藤幸規社長)は8日、ベトナム・ホーチミン市に本社を構えるInternational Logistics(インターログ、グエン・ドウイ・ミン社長)との間で、資本参加を伴う業務提携契約に向けた基本合意に関する覚書を締結した。

 インターログはホーチミン市・ハノイ市・ハイフォン市・ダナン市にインランドコンテナデポや倉庫などの拠点を持ち、国際貨物輸送・通関・倉庫などの事業を展開している。設立は2005年8月で、従業員数は約120人。2016年度の売上高は1426億1900万ベトナムドン。

 ベトナムへは多くの日系企業が進出しており、国内やASEAN域内などの国際物流について、混載輸送など高品質物流サービスに対するニーズが高まっている。第一貨物は14年4月にハノイ市に駐在員事務所を設立し、現地混載ニーズの調査研究や進出日系企業の市場調査を進めていたが、インターログと資本参加を伴う業務提携契約を結ぶことで、こうした物流ニーズに対応することが狙い。

 業務提携契約の締結は本年10月にホーチミン市で行われる。業務提携契約の締結後、第一貨物の社員1人がインターログ社へ出向・常駐するほか、短期間の研修社員として第一貨物とインターログのそれぞれ1人ずつが、相互派遣を行う予定。

 資本参加については、インターログ社が現状の200万株から250万株への増資を行い、第一貨物は本年度と20年度の2回に分けて、増資分の50万株を取得。併せて役員を派遣する予定としている。20年の株式取得前には再度時価評価を行うが、現段階では株式取得の費用として総額1億6500万円を見込んでいる。

 8日に山形市の第一貨物本社で会見した武藤社長は「ベトナム国内には約1500社の日系企業が進出しているが、それら各社が求める高品質な輸送ニーズに応えていきたい。当社の強みであるトラック混載と、インターログの強みであるコンテナ混載を組み合わせ、ドア・ツー・ドアの一貫輸送を提供したい。ベトナム国内でのトラック混載はあまり例がなく、今後普及が進むのではないかと考えている」と提携の趣旨を説明。海外展開については「当社単独で行うのは無理がある。現地企業と提携し、現地のことは現地に任せコラボレーション効果を発揮する、身の丈に合った海外展開を進めていく」との基本姿勢を示し、具体的なASEAN進出については「東南アジアを突破口に成長力を強化したい。貨物輸送だけでなく、周辺事業の幅も広げていきたい。流れに乗り遅れないようにする」と語り、インターログが計画しているマレーシア進出に共同で取り組む可能性を示唆した。

 会見に同席したミン社長は「日系企業との取引が拡大しており、第一貨物と協力関係が築けることはうれしい。混載によるドア・ツー・ドア輸送を拡大していきたい」と期待感を示した。

今週掲載トピック一覧

  • ☆インタビュー、全日通労働組合中央執行委員長・成田幸隆氏
    ☆四文字 『トラックの「高速料金」』

  • ☆国交省総合政策局の英浩道物流政策課長が記者会見、新たな総合物流施策大綱のプログラムは年内策定
    ☆西濃運輸が特積みの鉄道モーダルシフトで物効法の計画認定、JR貨物と連携
    ☆国交省、8月4日付で標準貨物自動車運送約款等を公布 施行は11月4日
    ☆国交省発表の宅配便実績36年間の推移、年平均伸長率11%で14~16年度も大幅な伸びに
    ☆国交省が新型航空保冷コンテナの研究開発スタート、ヤマト運輸などが受託
    ☆全ト協の4~6月景況感の判断指標はマイナス19.2で前回から3.9ポイント悪化 宅配の利益低下などで
    ☆物流連が9月に開催するインターンシップの参加企業説明会、定員240人をすでに超える応募
    ☆日通インドネシアが「電機・電子関連」の保税物流センターのライセンス取得、「食品関連」に続く2分野目
    ☆トナミ労組が富士登山ツアー開催、昨年迎えた組合70周年記念事業の一環 仲間との友情・連携の輪を深める
    ☆丸運がベトナムのハノイ市に現地法人設立、日本・中国・ベトナムの3拠点間のクロスボーダー取引も視野に
    ☆SBSHDの鎌田社長が第2四半期決算会見、「“ヤマトショック”で通販事業者からの引き合い強まった」
    ☆陸災防が10月18日にフォークリフト荷役技能検定を実施、1級試験は初
    ☆佐川フィナンシャルが輸入通関事業者向けに関税等立替サービスを開始、諸費用も対象
    ☆物流各社の第1四半期決算

今週のユソー編集室

  • ▼お盆期間が終了し、今週から通常営業に戻る企業も多いのではないだろうか。期間中は首都圏を中心に東日本で天候が崩れ比較的涼しい夏となっているのに対し、西日本では晴れて暑い日が続いたようだ。
    ▼国土交通省が発表したお盆期間(5~16日)の高速道路の交通状況(速報)によると、1日当たりの最大交通量は前年お盆期間より3%増加したが、1日当たりの平均交通量は逆に1%減少している。
    ▼混雑状況では、10キロメートル以上の渋滞が532回で37回増加した反面、30キロメートル以上の渋滞は41回となり、6回減少した。東京・名古屋・大阪の各都市では前年より雨の日が多かったが、交通量に対する大きな影響は見られなかったようだ。
    ▼お盆期間が終わり、物流は再び大きく動き始める。一方で子供の夏休み期間は一部を除きまだ続いており、平月よりも交通量は増えている。トラックによる事故を起こさないよう、引き続き細心の注意を払いたい。

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